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  • 「エレクトラ」の壮絶な復讐劇
    昨年11月13日付のブログに今日書こうとした内容がありました。この「エレクトラ」はウィーンで初めて観たオペラで、上演時間が短いにもかかわらず、旋律が理解できずに退屈さえ覚えてしまったものです。幕が上がるといきなり激しい旋律が流れ、愛人と共謀して父を殺害した母に対する娘エレクトラの復讐に満ちたセリフが綴られていきます。ずっと緊張を強いられる叫びともとれる恨みが延々と続きました。オペラ初体験者にとって、これはつらいものです。この旋律、つまり不協和音を理解するまでかなり時間がかかりました。調和のとれた旋律に物足りなさを感じるほどオペラ通になって、ようやく自分の中の音楽史が更新されました。でもシェーンベルクやベルクを理解するのにさらに時間を要しました。現代美術と似ていて、新古典主義から印象派、さらに表現主義、キュービズムやダダイズムやらを自分の中で咀嚼し理解する過程と同じと思いました。
    「椿姫」の豪華な宴
    散りばめられた有名な旋律、華麗な舞台、男女の葛藤、どれをとっても楽しめるオペラと言えます。パリの社交界で繰り広げられる豪華な宴は、女性の衣裳を見ているだけで、その雰囲気は容易に想像がつきます。ウィーン国立歌劇場で観た「椿姫」は思わず口ずさみたくなるメロデイーと、花のような衣裳に身を包んだ社交界の人々の踊りで、まさにヨーロッパ文化の坩堝の中にどんどん引き込まれてしまいました。オペラ鑑賞の第一歩はこの「椿姫」がお勧めです。歌あり、踊りあり、ドラマあり、悲劇ありの全てが揃ったオペラで、たとえイタリア語であっても物語の大筋は理解できます。オペラは耳に心地よいものという印象を最初に持った方がいいと思います。私はR・シュトラウスを最初に聴いて、それからしばらくオペラから遠ざかってしまった経験があります。
    「アイーダ」の凱旋シーン
    ハリウッド黄金期の映画「十戒」や「クレオパトラ」を彷彿とさせるのが、ベルデイ作曲のイタリア歌劇「アイーダ」です。「アイーダ」の方が制作年代が古いので、ハリウッド映画の方が影響を受けているのかもしれません。スケールの大きさは比類のないもので、野外で演じられることも度々あります。ウィーン歌劇場で観たオペラの中で、舞台美術や群集の動きが楽しめたオペラでした。オペラ歌手は声量が求められるので華奢な人は少なく、むしろ堂々とした体格をもっています。今にも死にそうな演技には少々無理を感じますが、「アイーダ」にいたってはあまり気になりません。凱旋シーンは圧巻でした。俗っぽい演出という見方もありますが娯楽性も必要なものかなと思います。
    「タンホイザー」の精神性
    ウィーンに住んでいた20数年前に、いったいどのくらいオペラを観たのか定かではありません。夕闇迫る頃になると決まって立見席の列に並んでいました。ドイツを代表する作曲家ワーグナーのオペラは、耳に心地よいオペラを何度か聴いた上でないと、あの分厚く長い演奏についていけないと今でも思っています。音楽やドラマに精神性を感じるに至るまで、聴く訓練が必要なオペラとも言えます。その中でも「タンホイザー」は聴き慣れた曲があるので、ワーグナーの楽曲の中でも楽しく聴ける演目です。ストーリーは宗教的な教義が底辺にあり、愛する人の犠牲死によって、今までの罪から救済されるというものです。なかなか日本人には理解できない要素をもっていますが、堂々とした音楽や歌手の圧倒する声量を身体中で感じ取るのもいいものだと思っています。
    個展のお礼状
    今日は個展のお礼状を印刷しました。赤錆色をしている陶彫の作品を、ずっと撮影をお願いしているカメラマンによって薄桃色にアレンジされ、なかなかお洒落なお礼状になりました。春らしいポストカードです。その中には既に売れてしまった作品も含まれていて記録としても残ります。ようやく今年の個展に幕引きをした感じです。新しい作品は始まっていますが、あくまでもイメージだけで、実際の作業には取り掛かっていません。5月の連休くらいから作業をしたいものです。連休には例年のように栃木県益子の「陶器市」や茨城県笠間の「陶炎祭」に出かけていって制作に弾みをつけたいところです。はやく連休にならないかと心待ちにしています。