Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 作品をどんな壁の前に置くのか
    作品が立体であるゆえに周囲の環境が影響します。自分の陶彫作品を置く場所は周囲に壁があった方がいいと思っています。作品によっては広い環境の中に置いた方が映える作品もあるでしょう。野外が向いている作品もあると思います。自分も野外という環境が与えられたら、そこに相応しい素材と表現を選ぶと思いますが、今の作品なら屋内の何もない空間に置いて欲しいと願っています。壁は白い壁と決めていますが、あるいは土壁でも漆喰でも快い緊張が生まれるかもしれません。コンクリート打ちっぱなしの壁なら、また違う印象の作品になるでしょう。立体作品の楽しさはまさにそこにあります。作品をどんな壁の前に置くのか。環境を意識することは作品そのものと同じくらい大切なことだと思います。
    作品をどんな床に置くのか
    立体作品を作っていると、作品が置かれる環境、たとえば床に注目する時があります。だいたいはギャラリーの床で、それは板目であったり、タイル張りであったりします。床は目立つ存在であってはいけないと感じていますが、もしも石畳や芝生の場合は、作品にもたらす影響が多々あろうかと思います。どんな環境に作品が置かれるのか。周囲の風景も関係しますが、まずは大地の材質感を気にして、作品素材との関係を考えるのも刺激的だと思います。床から考える立体作品。大地から考える立体作品。雰囲気に慣れているお馴染みのギャラリーではなく、時として作品を様々な場所や床に置いてみたくなるのです。
    立体をどう解釈するか
    365点の連作で、とくに今月になって展開を始めたのが、「立体」と「立体感」の考え方です。イラストボードを葉書大にカットした画面を日々描いているので、2月と3月は完全に平面作品としてまとめてきました。つまり「立体感」を陰影で表したものです。絵画的な考え方で、いわゆるデッサンのような仕上がりになっています。今月は「立体感」ではなく「立体」として平面に表そうと試みています。モチーフを斜めにして陰影をつける今までの方法ではなく、正面から捉えて「立体」であるのを暗示させられないかと考えているのです。彫刻家ジャコメッテイがモデルの顔を正面から捉え、鼻から後頭部にかけての空間を表そうと平面上で格闘したことが矢内原伊作の著書にあります。それが契機になっています。自分は抽象化されたモチーフですが、レリーフにならずにどうしたら平面上に「立体」が表せるのか、今後の課題になるでしょう。
    365点の連作、焦らず休まず
    2月から始めている365点の連作は、ようやく70数点が出来てきました。とつおいつ筆を進ませ、時に滞り何気なく嫌気がさすこともあった作品も気づけば70点を超えていました。日々作品が似てしまうのは仕方なしとして、これは大作に取り掛かる前の雛形の、さらに前段階で行うアイデアの集積のように捉え直すことにしました。シリーズとしていくつかの立体を考えるならば、こんな感じでいこうと数日同じパターンを繰り返す、すると何となく思考が深まっていき、いいものが出来るのです。繰り返しにならないように気遣っていたものが、繰り返しも可とすると気が楽になります。毎日新鮮でいたいと願いつつ、牛歩のように展開していく作品を見ると、これしか自分には出来ないのかと思い、こんな連作でやっていこうと決めました。焦らず休まず勤勉に創作すること、これだってきっと大変なものです。
    ダビンチの発明品
    東京国立博物館で開催している「レオナルド・ダビンチ〜天才の実像〜」展では「受胎告知」のみならず、平成館でやっているダビンチの考えた法則や発明品には夢があってとても楽しめます。画家として活躍する一方、様々なことを考え、実行していたことを思うと、天才ダビンチの天才たる所以が見えてきて驚くばかりです。この多面性をもった巨匠の足跡は私たちに多くの遺産を残してくれました。とくに私が面白かったのは空を飛ぶ装置で、リアルではないところが気に入りました。