2007.03.11 Sunday
トルコの東アナトリアに位置する標高2150Mのネムルト山頂に遺跡があると聞いて、現地でミニバスツアーに参加しました。私たち夫婦の他に西欧から来た数人の旅行者がいました。小さなバスで山頂を目指し、やがて首のない5体の神像が立つ山頂に到着しました。アポロンやゼウスの巨大な頭部が下に落ちていました。後で調べるとコンマゲネ大国アンテイオコス1世の陵墓で紀元前60年代頃のものであるらしいことがわかりました。焼け付くような日照りの中で、西欧から来た女性旅行客の意識がおかしくなりかけていたようで、彼女が山頂に忘れ物をして、それを取りに戻ったりしました。そのうちバスのタイヤがパンクして、私たちは麓の河沿いで時間つぶしをしました。こんな時間に囚われることのない旅は二度とできないのでしょうか。
2007.03.10 Saturday
カッパドキアを知ったのは学生時代に神田の古本屋街で立ち読みした古い美術雑誌に掲載されていた白黒写真からでした。地球上のものとは思えない不思議な世界に驚いて、思わずその古本を買ってしまったのでした。そのカッパドキアに1985年に行きました。まさか自分が写真で見た不思議な空間にいるとは信じられないくらいでした。トルコの中央アナトリアに位置していて、奇岩群にキリスト教徒が住み着いた場所があり、その人的に開けられた窓や扉がアートな空間を作っていました。ともかくカッパドキアという傑作な地名と独特な景観に身も心もすべて取り込まれ、現実とは思えない空間に酔ってしまいました。夢うつつな時間が流れ、近くに宿を取り、日暮れていく幻想空間にまた酔っているうちに、景観の精粋が心身にしみ込んで、ようやく次の場所に移動しようという気がおきてきました。ここで食べた奇岩のカタチをしたスイーツの強烈な甘さを舌に残しつつ、カッパドキアを後にしました。
2007.03.09 Friday
トルコで一度は行ってみたいと思っていたのが、公衆浴場(ハマム)でした。カッパドキア観光のついでに寄ったユルギュップという小さな町で、このハマムを体験しました。公衆浴場と言っても日本の浴場とは異なり、腰巻をつけて、大きな平たい石の上に横になるというもので、石の下から熱が伝わって温かくなる仕組みになっていました。かなり身体が火照ってきたところに腰巻をつけた男が現れて別室に通され、身体中に石鹸をつけられてゴシゴシこすられました。この男は日本で言う三助で、自分の身体が揉みくちゃになるほど洗いました。もうこの体験はこれで充分と思いました。男女は時間で入れ替わるそうで、トルコの人にとってはリラックスタイムなのかもしれません。
2007.03.08 Thursday
トルコの地下都市を訪ねたのは20年以上も前のことなので、記憶が徐々に風化しています。訪ねた地下都市の名称はカイマクルとデリンクユでした。どちらがどうだったか忘れてしまいましたが、蟻の巣のように地下へ続く洞窟を地元の少年が案内してくれました。入り口には巨大な円形の石の扉がありました。この扉を転がせて入り口を塞いで、外敵から人々の暮らしを守るようになっていたのですが、扉がオブジェのように見えました。地下は8階まであって、ワインの製造所や教会などがあり、とくに印象的だったのは教会の床が十字架の形になっていたことです。通気口もありました。自分は狭い所が苦手で、人一倍圧迫感をもってしまうのですが、この地下都市では興味が先立って、閉所に対する強迫観念が吹き飛んでしまいました。それどころか自分の創作にこの地下都市の造形を取り入れられないものか、真面目に考えていました。そのくらいインパクトのあるひと時でした。
2007.03.07 Wednesday
自作に「発掘〜円形劇場〜」という陶彫レリーフがあります。HPのギャラリーにアップしています。ヘレニズム時代の遺跡をトルコやギリシャを訪ね歩くうち、円形劇場の見事な景観に心が奪われました。トルコのペルガモンは山の急傾斜にあり、眼下に広がる壮大な風景を舞台背景にして演じられるドラマはさぞ楽しかったであろうことが偲ばれます。エフェソスの円形劇場も巨大で、擂り鉢状の観客席から見える一本道が港に続いている景観に感動を覚えました。港から舟で来た人々がエフェソスに入ると円形劇場が真正面に見える演出に、当時の人々はこの都市の高度な文化を見たことでしょう。とにかく劇場は中心になる舞台に向かって円形の観客席が作られているので造形物としても極めてまとまりのある構造をもっています。張りつめた空気をそこに留めてしまう要素があって、遺跡としてもつい注目してしまうのです。それが発想の源になって、HPにあるような作品が生まれました。