2026.02.03 Tuesday
「聖母像の到来」(若桑みどり著 青土社)の「第9章 聖母像の変容」は8つの単元から成っていて、今回は「1問題の所在」と「2暦、聖書、『マリア観音』をもつ潜伏キリシタン」の2つの単元を取り上げます。「マリア観音は、納戸神にみられる日本化、土俗化とはまったく逆の方向に発展した隠れキリシタンの聖母像である。それはすでにエスタブリッシュ(※確立する)されている、アジアの普遍宗教としての仏教のなかの『観音』の姿をとった。~略~『マリア観音』という名称は大正時代以後のものであって、それ以前には存在しなかったということである。『マリア観音』という名称が、近代の学者の命名であり、キリシタン信徒のものではないという事実は、非常に重要である。~略~マリアには、さまざまな場所に『顕現』する性質が信仰の初期から報告されているのだが、他のものになる、化身の性質は聞いたことがない。化身という概念は、キリスト教には存在しない。しかし、仏教の化身という作用に慣れているキリシタン民衆が、仏をマリアの化身とうけとるということはあり得るだろう。観音のもつ『化身』という指摘は非常に重要であり、すくなくとも、定説となっている『見立て』論よりは、はるかに民衆の信仰心に近いものであると考える。『化身』とは、ある本質が姿を変容することを意味するのであるから、本質は変化せず、しかも、信徒の状況に合わせて姿を変えるのであれば、辺土における変容の中でも、マリアが、その機能をかわることなく発揮することができると民衆は考えたかもしれない。~略~マリアと観音信仰との『融合』が起こったのは、まず何よりも双方が『子を抱く母性』を表象し得る形象と本質をもっていたという共通性のゆえであるという指摘には、筆者にはまったく異存はない。まさしく、マリアの像は、常に子どもを抱く母の像であった。これに対応できる仏教の仏が観音であったから、マリア観音の姿をとったのである。~略~『マリア観音』をもっている集団のほうが、心性の中でも、歴史的時間の中でも、より確実に救済を確信できる立場におり、より展望の開けた精神世界をもっていたという推測が可能になる。ということは、逆に、納戸神は、秘匿可能なイコンとして創造されたものである。すなわち、比較的途絶した環境で生まれたものであったことから、その世界は閉ざされており、『マリア観音』とは、秘匿できない環境、ある程度の公開を余儀なくされた環境の中で、仏教的形姿をもつ像を採用したのであって、その世界は開かれたものであることを余儀なくされていたという差異を示している。いずれにせよ、納戸神と『マリア観音』は非常に異なった環境における信仰形態を示すものである。」今回はここまでにします。
2026.02.02 Monday
今月は退職校長会メンバーによる「如月展」があり、昨晩私は案内状の宛名印刷を行ない、今日郵便局で料金別納にして投函してきました。個展と違い、現在11名の出品者がいるため案内状の数が限られているので、まず教職関係者と私の個展に来られた方を優先しました。「如月展」は今回で第47回展となり、つまり47年続いている息の長いグループ展であることは名誉なことだろうと思います。私が教職に就く前から存続していたのを知らされると、これはもう奇跡としか言いようがありません。「如月展」は誰でも出品できるわけではなく、横浜市立中学校校長を退職していないと出品資格がないのです。当然出品者は高齢化することが分かっているのと、美術科校長が少ないために、画廊で開催するグループ展なのに美術作品がほとんどないこともグループ展存続に関わるマイナス要因でもあります。それはさておき、今回の私は旧作品の雛型を出品することにしました。これはどこにも出品したことがなく、20数年前の制作なのを差し引けば、外に出すのは初めての作品になります。私は雛型をあまり作りません。作っていたとしても完全なオリジナルの雛型ではなく、オリジナルとは別の作品として小さいなりにも空間を主張しているのです。今回出品する作品はテーブル彫刻を始める際に、どのような具合になるのか、この目で確かめるために作ったものです。案内状が少ないために、「如月展」の展覧会情報をこのホームページで告知しておきます。第47回「如月展」会期:2026年2月16日(月)~2月22日(日)11:30~16:30(搬入を16日11:30~14:00、搬出を22日14:00~16:30)会場:ギャラリーミロ(横浜市中区吉田町4-1 tel045-251-5229)最寄りの駅はJR関内駅、市営地下鉄関内駅、そこから歩いて数分です。私は22日の搬出日には一日画廊におります。ご高覧くだされば幸いです。
2026.02.01 Sunday
2月になりました。今日は日曜日です。日曜日には創作活動についてNOTE(ブログ)を書くのが習慣になっているので、今日は今月の制作目標について書くことにします。今年の夏に東京銀座の「うしお画廊」で発表する新作は、陶彫と木による集合彫刻1点、これは6個の陶彫部品で構成される作品で画廊の中央に置く予定でいます。陶彫と木による小品4点、これは今まで継続している「陶紋」の連作になります。壁に掛けるレリーフ作品4点、これは昨年の夏「ギャラリーせいほう」で発表した「痕跡」に続く作品になりますが、連作にするのは微妙なところです。これが今年の個展の全容ですが、陶彫を素材とする作品はほぼ出来上がっていて、今後精魂込めなければいけない作品は壁に掛けるレリーフ作品です。そこで今月の制作目標はレリーフ作品を7割程度完成に近づけることです。その作品に取りつけるレリーフは杉板材に穴状の形を刳り貫いて炙っていきます。杉板材の刳り貫き作業は数枚出来上がっていますが、まだ全体の3割です。刳り貫く杉板材は幾何抽象の傾向になっていますが、よく見られる抽象作品のように完成図があって作業を進めているわけではなく、大まかなイメージに基づいて、その都度詳細イメージの上書きをやっています。もう一つ重要な要素は杉板材と画面の間に隙間を作って、照明による陰影の効果をも狙っています。これは「痕跡」の展示の時に、その効果を確信したもので、杉板材を浮かせる面白さに惹かれてしまいました。今月も毎日電動糸鋸盤を駆使して杉板材と格闘していきます。7割程度の完成であれば、4点のパネルの上に刳り貫いた杉板材を配置して、全体の雰囲気を把握することが出来るなぁと思っていて、立体による陶彫集合彫刻との関係性と言うか、響き合いを感じることで、自らの世界観が一歩進むのではないかと思っています。今月は美術鑑賞をどこかで入れようと思っています。毎日元気に工房に通えるように身体の管理もしていこうと考えています。
2026.01.31 Saturday
週末になりました。土曜日はその週の振り返りを行なうのですが、今日は1月の最終日なので、今日は1ヶ月分の振り返りを行ないます。ともかく今月は寒波が日本列島に到来したこともあって、寒かっただけではなく、首都圏は雨が降らない乾燥した1カ月だったと振り返っています。日本海側の大雪に見舞われた地域は大変な状況になっているようで、雪掻き等の重労働を強いられている状況がテレビから流れてきます。首都圏ではほんの少々雪が降っただけで大混乱になるので、晴天続きなのは寧ろ幸運だったと考えるべきでしょう。今月は31日間あり、工房に通った日は29日間ありました。休んだ2日間は元旦と、叔父の三回忌で2日取り、残りは工房に通っていました。寒さのせいで制作時間を短くしていたため、新作は思っていたより進みませんでしたが、それでも毎日創作活動が頭にあったことが良かったのではないかと思います。長年使っていた電動糸鋸盤の一部が壊れて、懇意にしている業者に修理をしてもらいました。今月は壁に掛けるレリーフ作品を4点作っている最中なので、電動工具が壊れると困った事態になるのです。現在電動工具は調子よく稼働しているので心配事はなくなりましたが、私事でもうひとつ、治療済みの奥歯の被せものが取れて、その治療に歯科医院に出かけました。体調は週2回の水泳で何とか保っていますが、歯の治療が今月の病院通いになりました。鑑賞は2本の映画に行きました。「爆弾」(TOHOシネマズららぽーと)と「ペンギンレッスン」(シネマジャック&ベティ)の2本でした。今月は美術館には行けず、美術鑑賞は来月に回そうと思います。読書は隠れキリシタンの歴史的背景やその状況をまとめた論文を読んでいます。外からやってきた異教が幕府の弾圧に遭い、日本古来の民俗的な神と融和して伝承された独自の歩みをしていて、興味が湧きました。私は特定宗教を信仰しているわけではありませんが、宗教が大きな力を持っていることは分かっています。それを学問的に分析することが好きなのです。そんなことを考えながら、寒く乾燥した1月を過ごしました。
2026.01.30 Friday
いつもなら土曜日に1週間の振り返りを行なっています。明日の土曜日が今月の最終日になり、明日は今月1ヵ月の振り返りを行ないたいので、今週の振り返りは今日行います。今週も毎日工房に通っていましたが、日本に寒波が居座っているため寒い日が多く、工房での作業は午前中にしていました。日本海側に比べれば、首都圏は雪の影響はないものの手が悴むことがあり、身体を気遣えば丸1日の作業は出来ないなぁと思っています。断熱材のない壁で建てられている工房は、ほとんど外と温度が変わりません。大型ストーブ1台では作業の合間に手を温めることしか出来ず、これは作業を短縮することで対処するしかありません。さて、今週は新作の壁に掛けるレリーフ作品の部品を作っていました。昨年夏に発表した「痕跡」に続く作品で、穴を開けた杉板材を炙って炭化させた部品を平面に配置するものです。ただし「痕跡」よりも杉板材を増やす予定です。そのため、電動糸鋸盤を駆使する毎日で、来る日も来る日も刳り貫き作業に時間を費やしています。作業時間を短くしたのも影響していますが、杉板材刳り貫き作業に随分長いこと取りかかっているなぁと思っています。まだこれは当分続きそうですが、出来上がりを楽しみにしながら頑張っていこうと思っています。今週は木曜日に家内と映画を観に行きました。私たちがよく出かけるミニシアターは横浜の中心街にあり、伊勢佐木町は仕事で居住している外国人が多い街です。ミニシアターには流石に外国人はいませんが、レストランに入ると外国人の姿をよく見かけます。ここは私が教職をスタートさせた街であり、まだ下町情緒が色濃く残っていたところでしたが、黄金町バザールというアートによる街づくりが行われて、歓楽街の雰囲気はなくなっていきました。横浜には表の顔というべきみなとみらい地区があり、裏町といっても差し支えない黄金町や日ノ出町、伊勢佐木町、野毛などがあって、私には表裏合わせて馴染みの場所でもあるのです。私はそんな横浜の多様性が大好きで、自慢の故郷といっても過言ではありません。