2021.02.04 Thursday
「形式論理学と超越論的論理学」(エトムント・フッサール著 立松弘孝訳 みすず書房)の小節のまとめを行います。第二篇「形式論理学から超越論的論理学」の第1章「論理学の心理学主義と論理学の超越論的基礎づけ」の中の第59節から第60節までのまとめを行います。第59節では明証についての考察がありました。「明証とは、〔対象〕自身を与える志向的能作である。さらに正確に言えば明証とは《志向性》の、すなわち《何かについての意識》の卓越した一般的形態であり、明証的に意識された対象的なものはこの形態の中で、それ自身が把握されたもの、それ自身が見られたもの、つまり〔主観の側では〕意識的に対象自身の許に存在する、という仕方で意識されているのである。あるいは明証とは本源的な意識のことだ、と言ってもよい。」第60節では明証性ならびに対象性についての考察がありました。まず明証性を中心に論考している箇所を引用いたします。「明証性は意識生活全体に関わる総合的ー普遍的な志向性の在り方であり、これによって意識生活は一つの普遍的な目的論的構造を具備し、《理性》を重視することによって、正当性を証明し(それと同時にさらに正当性を習慣的に獲得し)そして非正当性を破棄する(そうすることでそれらの不正を獲得した所有物と認めるのを止める)一貫した傾向をもつのである。」次に対象性と明証性に関与した論考を引用いたします。「対象性の範疇と明証性の範疇は相関関係である。志向的に総合され一貫して保持される志向的統一体としての、しかも究極的には可能な《経験》の統一体としてのーさまざまな対象性の各基本的種類には《経験》の、つまり明証性の、基本的種類が属しており、さらに対象自身の完全性が向上した場合には、志向的に示される明証性のスタイルの基本的種類も属することになる。」そもそも論理学とは何かを論じる中に、さまざまな要素が含まれていて、それらをひとつずつ論じて、全体として論理学の体系を作ろうとする本書の意図は分かっているつもりでも、詳細な部分で自分の思考がついていけなくなることがあります。今日はここまでにしたいと思います。
2021.02.03 Wednesday
今月のRECORDのテーマを「菌の触手」に決めました。新型コロナウイルス感染症のことが私の頭から離れることがなく、緊急事態宣言が延長されたことで、職場関連の仕事に支障が出ています。遠出を含め職場外に出る出張に行っていいものかどうか、いろいろな職員が管理職の判断を待っています。政府や自治体から不急不要の外出を控えるように言われていますが、必要な出張は感染症の防備をした上で、私は出張命令を出すことにしました。そんなことが職場では日常的に行われているため、コロナ禍がいつも私を苦しめているのです。そこで2月RECORDのテーマは「菌の触手」とさせていただきました。あくまでも詩的なコトバとして考えたいテーマですが、テーマの背景にある菌について調べてみました。菌は細胞外で増えていくもので周囲に餌があれば、どこでも繁殖することができるものだそうです。それに対し、話題のウイルスは他の生物の細胞内に侵入して寄生しないと増えていかないもので、菌とウイルスが異なるものであることが分かりました。また触手とは何か、これは無脊椎動物の口の周囲にある小突起で、触覚や捕食の働きをするものであり、比喩として欲しいものを得ようと働きかける時に使うコトバです。日常生活を鑑みると「ウイルスの感染」というテーマにしたいところですが、あまりにもダイレクトで味も素っ気もないので「菌の触手」とさせていただきました。今月は負の連鎖に陥りそうなちょっとダークなテーマですが、世相に惑わされることなく、作品として成り立つようなRECORDにしていきたいと思っています。
2021.02.02 Tuesday
「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の第一部「19世紀における『画家=彫刻家』と『芸術家=職人』の登場」の第2章「芸術家と職人」について「3炻器と木彫」のまとめを行います。副題に「民衆芸術に息づいていた素材の復活と『素材の尊重』」とあり、画家ゴーギャンが炻器と木彫に興味を持ち始めたことで、その結果として民衆芸術の復興に努めることになったことが分かりました。民衆芸術と近代彫刻の融合は、私にとっても面白いテーマであり、日本の民芸運動の中に私が新しい美意識を感じるのも、これとは無縁ではないと思っています。「(ゴーギャンは)はじめに彫刻家ブイヨのもとで大理石彫刻を二点制作した後、木彫を始めた。最初に古典的な《ヴィーナスの誕生》を制作するが、続いてドガの影響で現代的主題に移り、《散歩をする婦人、小さなパリジェンヌ》のように直彫りで手仕事の跡を残すような木彫を行ったことは興味深い。そこには木の素材にふさわしい表現を模索し、『素材の真実』を尊重する姿勢の表れを見ることができるだろう。」また当時、日本の器が紹介されたヨーロッパで、陶工と彫刻家を兼ねた作家たちが試行したものとゴーギャンは異なっていたことを示す文章もありました。「彫刻家として出発し、日本の炻器に魅せられて、日本風の器を制作したり、自らの彫刻を炻器で表現したりしたのはジャン・カリエス(1855ー1894)であった。炻器のもつ素朴な力強さを自らの表現に生かそうとした点で彼は、ゴーギャンと共通していた。しかしシャプレやカリエスが炻器を通じて日本の自然主義とも手を結ぼうとしていたのに対し、ゴーギャンは、終始西洋的な芸術理念に支配されていた。この職人的芸術の価値を高めようとしながら、それは彼らのような『芸術家=職人』としての意識に基づいたものではなく、自らはあくまで『芸術家』なのであった。」ゴーギャンが炻器や木彫においても斬新で特異な作品を生み出した背景はこんなところにあったのかなぁと思いました。これで第一部「19世紀における『画家=彫刻家』と『芸術家=職人』の登場」は終わります。
2021.02.01 Monday
2月になりました。相変わらず寒い日が続いています。最近、寒さが身に沁みるのは実際の気温だけではなく、私自身があと2ヶ月で退職を迎えることもあるからです。残された仕事はしっかり片付けておこうと思いつつ、4月以降の生活の変化がイメージできず、そうしたことにちゃんと向き合えていない自分がいます。とは言ってもまだ2ヶ月あります。創作活動は退職を迎えようが関係なく、生涯を賭けてやっていくものなので、今月も制作目標を立てて取り組んでいきたいと思います。2月は4回の週末があり、建国記念の日が11日(木)、天皇誕生日が23日(火)にあるため、合計すると10日間、創作活動の可能な日となります。美術館に鑑賞に行けるのかどうか微妙なところですが、10日間全部を通して制作を続行するなら、陶彫制作に本腰を入れようと思っています。大きな新作はまだ半分も出来ていない状況で、先月の土台作りで陶彫部品を配置する土台の雰囲気が把握できたので、土台を刳り貫いた穴に合わせた大小の陶彫部品をどんどん作っていきたいと考えています。一日1点制作をノルマとするRECORDは、下書きが先行する私の悪癖が出てきてしまったので、今月で元に戻したいと考えています。RECORDは冬場の寒さ疲れで夜は睡魔に襲われ、その時間帯に意欲が湧かないことがあると感じていますが、これは言い訳に過ぎません。どんな季節でも何とかしてきたので、心を強くもってやっていきたいと思います。読書は先月からの継続ですが、難解な論理学の専門書は、私が管理職としての立場でいるうちに読み終えたいと願っています。この書籍は自宅のゆっくりした中では太刀打ちできないと考えているからで、職場の私の部屋で、休憩時間ではあるけれどピリっとした空気の中で読んでいこうと思っています。論理学の書籍を紐解くと、私にとって読書は決して癒しではなく学習そのものだと感じます。もう一冊のゴーギャンの彫刻に関する書籍は、かなり楽しめて申し分がありません。新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が延長される見通しですが、今月も感染予防に留意して過ごしたいと思います。
2021.01.31 Sunday
1月最終日になり、今月を振り返ってみたいと思います。今月創作活動がやれる期間として、まず正月の休庁期間が5日間ありました。その5日間を含めて週末のほとんどすべてを、新作の厚板材による土台作りに費やしてしまいました。陶彫制作では今月2日に1点、今日31日に1点作っただけです。窯入れは3回やりました。鋭角な二等辺三角形を基本とする箱型土台は10点完成し、ちょうど全体構成の半分が出来たことになります。制作工程でいうと、土台作りが進んだものの陶彫制作が遅れ気味で、来月は陶彫制作を頑張る必要があります。今日の日曜日は穏やかに晴れわたる一日になり、冬場でもこんな一日が多くあれば制作は進むのだろうと思いました。今日は美大受験生が工房に来ていました。彼女は受験までにあと1年間の猶予があります。染織専攻を希望しているため、鉛筆デッサンに弾みをつけています。彼女は色感が豊かで生真面目な性格なので、染織に向いていると私は思っていて、彼女の真っ直ぐな姿勢は私の背中を押してくれています。一日1点ずつ夜の時間帯に制作しているRECORDは、やや遅れがちで下書きが先行する私の悪い癖が出てしまいました。今月の半ばまでは毎晩1点ずつ、日々流れていく時間に追いつけていたのですが、ウィークディの仕事に疲労を感じるようになってから、その日のうちにRECORDが完成しなくなりました。早いうちに挽回したいと思っています。鑑賞は地元の美術館で開催している「トライアローグ」展(横浜美術館)に行ってきました。その他では学生が発表していた展覧会に足を運びました。中学生によるアニメーション・フェスティバル(横浜市庁舎アトリウム)、大学生による美術大学卒業制作展(多摩美術大学八王子キャンパス)に行ってきました。新型コロナウイルス感染症の影響で緊急事態宣言が出て、展覧会に行くのも慎重にならざるを得ない状況でした。前任の職員同士の結婚式にも招待されましたが、出席表を送った後で行くべきかどうすべきかを悩むこともありました。展覧会も結婚式も実際に行ってみれば良かったと思える内容でしたが、取り越し苦労は尽きません。通常に戻れば劇場や映画館にも足を運びたいと思っています。読書では相変わらず難解な論理学に関する書籍に挑んでいます。今月は建築家の楽しい写真集を読み終えて、画家ゴーギャンに関する書籍を読み始めました。来月もコロナ渦は変わらず、生活スタイルの変化も望めないだろうと思っています。