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  • アニメ「メトロポリス」雑感
    昨晩、何気なく見ていたテレビからアニメ「メトロポリス」が流れてきて、思わず見入ってしまいました。手塚治虫原作、大友克洋脚本、りんたろう監督によるSF映画で、私は映画の存在は知っていたものの、これは初めて観ました。「メトロポリス」と言えばフリッツ・ラング監督によって1927年に公開されたドイツ映画が有名ですが、アニメ作品はその映画とも異なるストーリーでした。私が滞欧中に観たドイツ映画「メトロポリス」のゴシック調の摩天楼やら資本主義と共産主義の対立構造が、SF映画黎明期にしては革新的なものではないかと思ったものでした。とりわけアンドロイドの美しい女性が登場する場面は忘れられません。アニメ「メトロポリス」は、人間とロボットの共生社会の歪が描かれていて、現代社会の抱える問題にもなり得ると思いました。このアニメ全般にある背景の丁寧な描写や色彩が美しく、近代的なメカニックや地下街の混沌とした情景描写は制作者たちの気概を感じさせてくれました。この映画にも人間離れした可憐な女子が登場していました。これは手塚治虫へのリスペクトでしょうか。背景の素晴らしさに比べ、ややストーリーが分かりづらい部分もあり、声優の人選がどうかなぁと思う節もありました。ロボットによって恩恵を受ける人間がいる一方で、働き口を奪われた人もいて、これは私たちのリアルな世界でも訪れる可能性が大きいのではないかと思います。人間の自己中心主義が独占欲や傲慢さを生み、それ故にロボットが犠牲になっていく社会は、ロボットをアニミズムの対象として見ることに限らず、人間同士の中でも起こり得る人権の問題を孕んでいて、ちょっとした恐ろしさを感じました。アニメ「メトロポリス」は名作的要素がありながら、今一つ大衆浸透力に欠けるのは何でしょうか。映画をご覧になれば、分かり難く素っ気ない台詞等で誰でもが抱くであろう疑問があるのも確かだと思いました。
    週末 新作修整&最新作陶彫成形
    新作の修整と最新作の陶彫成形は、同時に進めていきます。新作の修整や梱包作業は創作活動ではないため、それだけではどうも気分が上がらないのです。今日は朝から工房に篭りました。久しぶりに美大受験を考えている高校生がデッサンを描きに工房に来ました。デッサンはスポーツや音楽の練習などと同じで、日々の鍛錬が実を結びます。コロナ渦の影響で時間が空いてしまったため、なかなか形態把握や描写の感覚が戻らず、彼女は苦労していました。私は一人で黙々と制作しているよりも、誰かがいてくれた方が張り合いがあって気分が乗ります。それでも普段の疲労が取れず、一日を工房で過ごすのに辛い時間帯がありました。今年の個展に発表予定の屏風がありますが、作品厚板の裏側の塗装が出来ていないため、今日は6点のうち2点の裏側を仕上げました。作品の裏側は見えない部分ですが、そこもきちんと仕上げておくのが私の流儀です。作品の裏側は見えないため撮影には必要がなかったので、先日の撮影日にはやっていませんでした。塗装は梱包前に仕上げておこうと思っているのです。塗装がある程度進んだところで、最新作の陶彫部品の成形と彫り込み加飾を行ないました。陶彫で直方体を作り、大小の矩形を彫り込みましたが、彫った面は微妙な曲面にして変化を求めました。新しいイメージによる作品としては第1号ですが、次はもう少しハイレベルでしかも困難を伴う陶彫部品を作ろうと思っています。集合彫刻のそれぞれの部品は自分の調子を見極めながらやっていくのです。そのうち新作陶彫部品の梱包のために木箱を用意しなければなりません。また今回も昨年から繋がった材木問屋の戸を叩かねばなりません。来週末も新作の修整や梱包作業と創作活動を同時並行でやっていきます。
    週末 相続手続き&最新作陶彫第一歩
    6月最初の週末を迎えました。今夏の個展で発表するであろう新作は全て出来上がり、先週末に写真撮影をしたところですが、新作は修整が多く、梱包を含めて今月の週末にやっていくつもりです。発表するであろうとしたのは、コロナ渦の影響で不確定なことが多く、ギャラリーがまだ個展開催を決めかねているのです。いずれにしても個展が予定通り行なわれても準備万端としたいところであり、今月の週末は全て個展に向けた準備に充てようと思っています。今日はそうしたこととは別に、ずっと税務管理をしてくれていた旧知の税理士を午前中に呼んでいました。母が亡くなり、母が所有していた財産に対する相続が発生することになったため、税理士に来ていただいたのでした。私は父が亡くなる少し前に、両親を連れて公正人役場に行っており、そこで父と母双方に公正証書を取得するように働きかけていました。祖父母が亡くなった時に、財産を巡って父の兄弟間で紛争になり、祖父母から口約束だけだった財産相続が、結局父の精神的負担になったことを私はずっと覚えていました。私の代ではそうしたくないと思っていたため、遺言として法的に根拠を持つ公正証書が必要だったのでした。これがあるため相続の手続きはすんなりいきそうで、この後どのくらい相続税が発生するのかを税理士に割り出していただこうと思っています。母の死後、次にやらなければならないことはこれです。骨の折れることですが、これも私の退職前に済ませたいことのひとつです。午後は工房に行って、個展展示用の作品の修整を行なっていましたが、同時に来年発表予定の最新作の第一歩を踏み出しました。既に出来上がった作品の修整だけでは、創作的気分が上がらず、最新作のことを考えていきたいのです。暫くは個展準備と最新作の創作活動、この両方を進めていこうと思っています。それにしても今日は疲れました。家内も疲れていました。夕方、気分転換を兼ねて梱包材を買いに家内と外に出ました。今までなら夕飯を外食で済ませていましたが、コロナ渦の影響で外食はずっと控えています。仕方がないと思いつつ、私は創作活動によって日頃のストレスが抑えられていることに幸せを感じています。
    6月RECORDは「橙」
    今年のRECORDのテーマは色彩です。「白」、「灰」、「藍」、「紅」、「緑」に続いて今月は「橙」にしました。これは橙色と言う意味で、橙の果実を指すものではありません。果実を指すのであれば、橙が橙色に色づくのは冬なので、今の季節には橙は相応しくないのです。因みに果実の橙はミカン科の常緑木で、面白い特徴があることを知りました。橙は正月飾りに使われる縁起物ですが、その理由が分かりました。橙は実が何年も木についていて落ちることがないのです。冬に橙色になり、暖かくなると青くなります。それを繰り返すため、橙は「回青橙」と言われ、長寿に見立てて縁起物の扱いをされるようになったのです。そのまま食べても苦みや酸っぱみがあって美味しいとは言えませんが、色彩の微妙な感じは美しいと思っています。色彩をテーマにするようになって、私は日本の伝統色を調べるようになりました。その名称が面白くてイメージが膨らみます。工房に出入りしている若いスタッフの中に日本の伝統色に興味を持って、そこからコトバを紡いでいる子もいます。確かに季節感や情緒を感じさせる名称が、いかにも詩的な興趣をそそるのかもしれません。橙色もそうですが、微妙な色彩ニュアンスがあって、1ヶ月のテーマとしてはイメージが限定されて難しいかなぁとも思っています。ただ、単純な12色の色相環ではなく、日本の伝統色を意識しているのには絵画世界を創りやすい心情が働いているとも言えます。色彩には心理的なものを表現できる強みがあり、それをRECORDで獲得できないかぁと思っているのです。現在は仕上がっていないRECORDが山積していて、悩ましい状態が続いていますが、少しずつ挽回を図りたいと思っています。
    イメージの更新
    新作のイメージはどういう場面で湧いてくるのでしょうか。私の場合は現行の作品制作が佳境を迎えているか、また課題に突き当たって困難を極めている時に、ふと湧きおこることが多いと感じています。現行の制作に落ち込んでいる時に、天上から新たなイメージが降りてきた経験もあります。現実逃避なのかとその時は思いましたが、そう感じてしまうほど藁にも縋りたい気分だったのでしょう。新たなイメージが湧きおこった時に、紙に描き留めておく作家も多いと思いますが、私は敢えて記録に残しません。記録より記憶を大事にしていて、数多いイメージの中から取捨選択があるまで心に留めておくのです。イメージは繰り返し登場してきます。一度で忘れるイメージもあります。その中でほぼ決まってきたイメージはさらに更新をしていきます。創作活動においてイメージを心に描いている時が一番幸福な時かもしれず、また作品が完成した時に当初のイメージを確認する時にも幸福を感じます。作品完成の確認は先日の図録用写真撮影の一コマでした。それはじっくり見て考えるものではなく、瞬時に感じてしまうものなのです。現在は新たなイメージが更新されて、さらに具体的な形態が浮かび上がっています。最初のイメージは箱の中に収まる世界を陶彫による集合体で表現しようと思っていました。イメージが更新されるにつれて次第に箱という枠が外れてきましたが、それでも矩形を留めています。箱は床置きにしようと思っていて、地を這うイメージはそのまま継続されています。最新作は床に広がる世界です。まだコトバで説明できない朦朧としたところもありますが、とりあえず来週末に最新作になる陶彫部品を1点作ってみようと思っています。厳密な全体設計図はなく、手を動かしながら具現化を辿っていく方法を私はとっています。