2019.05.08 Wednesday
昨日のNOTE(ブログ)に続き、今回も映画の話題です。大型連休中に観た映画で、常連の横浜のミニシアターにおいて連日チケットが完売していた映画がありました。私も最初に行った日は観られず、翌日に漸く観ることが出来た映画で、観終わった後で、この作品が今年度のアカデミー作品賞に輝いた理由が分かりました。映画のタイトルは「グリーンブック」。「グリーンブック」とは1960年代のアメリカ南部を旅行する黒人必携のガイドブックのことで、黒人に対する人種差別が合法的に行われていた時代に登場した書籍です。映画は実在した人物の実話を基に描いていて、黒人天才ピアニストであったドナルド・ウォルブリッジ・シャーリーは18歳でボストン・ポップス・オーケストラでデビューし、音楽、心理学、典礼芸術の博士号を取得していました。もう一人のイタリア系アメリカ人トニー・バレロンガはナイトクラブに用心棒として勤める、腕っぷしが強くハッタリもきく人物でした。このピアニストと雇われ運転手が差別の色濃い南部へコンサートツアーに出かけるロード・ムービーが「グリーンブック」の中核となる物語です。図録には「ヤクザなトニーは当時の白人労働者階級らしく、黒人に対する偏見に満ちている。ヨーロッパの洗練を身につけたドンは黒人のソウル・フードであるフライド・チキンも食べたことがない。この水と油の2人の珍道中が楽しくおかしい。」(町山智浩著)とありました。やがてトニーはドンの音楽に惹かれ、ドンはトニーの問題解決力を頼りにする親密な関係を築いていきました。映画全編を通して人種差別という大きな社会問題が浮き彫りになっていくように、映画では演出されていましたが、この作品がアカデミー作品賞を取ったり、大勢の観客が押しかけるのは、この差別というテーマが現代も問題として残っていることを意味しているのではないかと私は考えます。「現在、トランプ政権によって人種間の分断が進み、ヘイトクライムや、警官による黒人への暴力事件が増加している。『グリーンブック』が描く、人種を超えた相互理解の大切さは今も変わらない。映画の最後に、本物のトニーとドンの生涯変わらぬ友情の証を見たとき、人はあふれる涙をおさえることができないだろう。」(町山智浩著)と図録は結んでいました。まさにその通りだと私も感じます。
2019.05.07 Tuesday
大型連休を利用してエンターティメント系の映画館に出かけ、映画「キングダム」を観てきました。工房に来ていた美大生は「漫画を原作にした実写版映画は、結構コケることが多いんですよ。」と言っていましたが、「キングダム」はなかなかどうしてクオリティの高い作品に仕上がっていると私は感じました。映画を観るまであまり期待をしていなかったのは事実ですが、広大な中国でのロケや兵士や騎馬による大規模な編成など、漫画の世界観を余すところなく描き切っていて、ハリウッド映画に見られるような鬼気迫る凄まじいアクションも盛り込まれていました。物語は中国の紀元前にあった春秋戦国時代で、7つの強国が犇めいていた背景があり、やがて秦が中華統一を果たすまでの経緯を描いています。主人公は戦災孤児だった信と秦の始皇帝になる政で、この2人の立身出世が物語の中核を成しています。原作者で漫画家の原秦久氏は、中国の歴史書「史記」を基に、史実とフィクションのバランスをうまく取りながら物語を作っていることが伺えて、始皇帝研究の学者からのメッセージも図録に掲載されていました。映画の中心は政の弟が反乱を起こし、王宮を我がものにしていたことに対し、信や政たちが王宮奪還を成し遂げるまでを描いていました。50数巻が既刊されている漫画からすれば、まだ導入部分といったところですが、今後続編はあるのでしょうか。それぞれの俳優が肉体改造をして、力の籠った演技をしていたので、ぜひこの壮大な歴史絵巻をこのまま続けてほしいと願っています。日本のアクション映画の水準を測り見るような思いを持ったのは私だけではないはずです。
2019.05.06 Monday
大型連休は今日が最終日です。10連休は新天皇の即位があって実現したもので、私は陶彫制作や美術や音楽鑑賞、さらに映画鑑賞に日々充実した休日を過ごすことが出来ました。工房のロフト拡張工事も始まりました。2人の鉄工業者が今日も朝早くから工房に入っていて、鉄骨による天井の補強をやっていました。美大に通う若いスタッフも朝から来ていて、イラストレーションの課題に取り組んでいました。私は若いスタッフとともに夕方5時まで陶彫制作をやっていました。8時間も制作に集中したのは久しぶりでした。10連休の目標としていた制作が、やや遅れ気味だったところを昨日と今日で達成した感じがして、疲労困憊の中で満足を覚えました。若いスタッフや鉄工業者に背中を押されるように作業に励んでいたことが良かったのだろうと思います。今日は「陶彫」シリーズの成形5点と、そのうちの2点は彫り込み加飾を終わらせました。「陶紋」シリーズは毎年数点ずつ個展に出している小品で、最初の作品からずっと通し番号をつけています。今年の個展には47番から51番の「陶紋」を出品する予定です。残り3点の彫り込み加飾は、可能ならウィークディの夜の制作にしたいと考えています。陶彫作品は成形や彫り込み加飾が終わっても乾燥を待たなければならず、さらにヤスリで仕上げて化粧掛けを施すのです。それから漸く焼成になります。その時間を考慮すると、出来るだけ早めに彫り込み加飾を終わらせ、乾燥させたいと思っているのです。週末は砂マチエールを施したテーブルに油絵の具を染み込ませたり、「発掘~双景~」の陶彫部品の連結のための調整として、もうひとつは陶彫部品を作らねばならないと考えていて、「陶紋」の彫り込み加飾はウィークディの仕事から帰った夜の時間帯にやらざるを得ないのかなぁと思っています。いずれにせよ今年も例年の通り時間に追われていることは確かです。10連休あったとしても、決して予断を許さない制作工程に唖然としてしまいますが、これは毎年作品のハードルを上げているせいかもしれません。例年頑張り甲斐があるなぁと感じています。
2019.05.05 Sunday
今日から工房のロフト拡張工事が始まりました。朝9時から鉄工業者が来て、ロフト部分の鉄骨の補強を行なっていました。まず現在の鉄骨に、さらに追加して新たな鉄骨を連結するための補強金具を据え付けていきました。業者が2人がかりで朝から夕方まで作業していました。これから毎日工房に鉄工業者が入る予定です。実は新作の制作も佳境を迎えていて、補強金具を据え付ける現場を避けて、私もあちらこちらに移動しながら懸命に作業をしていました。ロフト拡張工事中に窯入れを予定していて、その日は電気が使えない旨を業者に伝えてありますが、私の場合はウィークディは公務員管理職の仕事があるので、週末明けの月曜日がノー電気ディになるのかなぁと思っています。業者が作業している現場から作品は全て移動しているため、工房の隅にぎっしり置いてあり、些か窮屈ですが、こればかりは仕方ありません。私は昨日から取り組んでいる砂マチエールの作業を午前中に終え、硬化剤が固まるのを待つばかりになりました。油絵の具を染み込ませる作業は来週にしようと思います。午後になり「陶紋」シリーズの制作に入りました。陶土を掌で叩いてタタラを数枚準備しました。明日は「陶紋」を5点成形をしようと思っています。「陶紋」シリーズは小品で、個展では売れ筋の作品のつもりで作っていますが、ここ最近はあまり売れません。それでも毎年5点は作るようにしています。「陶紋」シリーズはサイズが小さいだけで、手間は大きな陶彫作品と変わりません。ただ、ウィークディの夜の制作に「陶紋」は適していると思っていて、彫り込み加飾は夜でもいいかなぁと考えています。今日は若いスタッフが久しぶりに工房に現れました。大学の課題があって工房を使わせてほしいと言うので、今日と明日は美大生がやってきていますが、ほとんど工事現場と化した工房でデザインの課題をやっている彼女は、提出期限が相当切羽詰ってきているんだろうと思いました。私も切羽詰ってきているので、明日も継続です。
2019.05.04 Saturday
大型連休も8日目になり、残すところ後3日になりました。今日は工房のロフト拡張工事が入るはずだったのですが、業者の都合で明日から工事が入ることになりました。連休が終わってウィークディの勤務が始まっても工事は続けるそうで、工房のスペアキーを鉄工業者に貸すことにしました。今日は朝9時から夕方4時まで、通常の週末と同じ時間帯での制作になりました。先日来、途中で終わった彫り込み加飾を早々に完成させ、今日のメイン作業は「発掘~曲景~」のテーブルに砂マチエールを施す工程に入りました。砂マチエールは、デビュー作「発掘~鳥瞰~」の時から私が好んで使っている技法で、かれこれ20年以上もやっています。最初は油絵の具に砂を混ぜて使っていましたが、絵の具が大量に必要になるため、これを何とかしたいと考えたのが現在の方法です。絵の具を塗る前に、硬化剤で支持体に砂を貼り付けていきます。砂は出来るだけ薄く塗り込んでいきますが、左官業者と違って均一に塗ることはしません。そこは絵画作品のように厚みに変化を持たせます。塗る面積が広い場合は工房スタッフを呼びますが、今回は小さなテーブルなので私一人で充分です。彫り込んだ木彫の穴に砂を貼り付けていくのは、ちょっとした技術が要りますが、慣れてくると苦もなくやれる作業です。砂マチエールの作業は今日と明日で終えられるかなぁと思っています。砂が固まると、次に油絵の具を塗っていきますが、塗るというより染み込ませるといった方が相応しい按配です。油絵の具は溶き油を多めにして砂に馴染ませていきます。さらにドリッピングをやったり、霧状に吹きかけたりして、陶彫の表面との調和を図ります。陶彫と同じ素材感を出そうとすると面白味に欠けるので、やや対峙した色彩にしてみたり、また同系色を入れてみたりして実験を繰り返します。これはまさに彫刻ではなく絵画です。今日と明日は絵画を制作している意識で過ごそうと思います。明日も継続です。