2019.03.04 Monday
昨晩、常連になっている横浜のミニシアターにドイツ、フランス、ポーランド合作の映画「小さな独裁者」を観に行きました。これはドイツ人兵士ヴァリー・ヘロルトの実話に基づいた物語で、図録によると「1945年4月、敗色濃厚のドイツでは戦いに疲弊した兵士たちによる軍規違反が相次いでいた。部隊を脱走して無人地帯をさまよう兵士ヘロルトは、道ばたに打ち捨てられた軍用車両の中で軍服を発見。それを身にまとって大尉に成りすました彼は、ヒトラー総統の命令と称する架空の任務をでっち上げるなど言葉巧みな嘘を重ね、道中出会った兵士たちを次々と服従させていく。かくして”ヘロルト親衛隊”のリーダーとなった若き脱走兵は、強大な権力の快楽に酔いしれるかのように傲慢な振る舞いをエスカレートさせ、ついにはおぞましい大量殺人へと暴走し始める…。」とありました。映画で描き出されるのはヘロルトと彼に従う人物たちの思惑が生み出す共犯関係の中で、権力に対する決して単純ではない関係性が、この映画の大きな主張にもなっているところかなぁと思いました。巧妙な嘘を重ねていくヘロルトにドキドキしながら映画に見入っていた私は、途中から彼に感情移入が出来なくなってしまいました。例え発端は偽りの事象でも、イデオロギーに突き動かされることが失われると、私の心は一気に自身のバランスを取り戻し、映画の後半にある傍若無人な振る舞いと享楽がどんなものであるのかを理解するに至りました。尋常ならざる権力とは何か、思想統制を図りつつあるのであれば、やがて他者の人権を蔑ろにした画一的な社会へ舵をとることも現代社会ではあり得ます。そんな危険な世相をこの映画では訴えているのではないかと感じた次第です。
2019.03.03 Sunday
今日は朝から雨が降っていました。春は雨が降るたび木々が芽吹き、工房周辺の植木畑にも自然の彩を添えていきます。三寒四温とはよく言ったもので、昨日までの暖かさは長く続かず、今日は暖房がなくてはいられないほど寒い一日になりました。朝から工房で制作三昧でしたが、真冬の寒さと異なり、早春の寒さも結構身体に応えるものがあって、ストーブの傍を離れられなくなります。新作の陶彫部品は全体計画で言うと95%が終わっていて、残り3個が出来れば完成になります。今日はそのうち2個の成形を行いました。彫り込み加飾は次回ですが、順調にいけば来週で終わります。ただし何度も言っているように陶彫は焼成が済んで漸く終了となるので、しっかり出来上がるのは今月末になるでしょう。今日も午前9時から午後4時までの7時間を工房で過ごしました。昨日と違い7時間が短く感じたのは、昨日のような疲労が少なかったおかげかもしれません。夕方は家内を誘って、常連になっている横浜のミニシアターに出かけました。今月は美術館よりも映画館に多く行くようになるかなぁと思っています。今晩観た映画はドイツ、フランス、ポーランド合作の「小さな独裁者」で、全編ドイツ語による映画でした。若い脱走兵が逃亡途中で、ナチス将校の軍服を発見し、それを纏ったことで将校として誤解され、そのまま特殊部隊のリーダーとして成り上がっていく物語でした。巧妙な嘘を重ね、総統からの指令だと偽り続け、やがて脱走兵収容所で残虐な処刑を行いました。ここにはナチスの戦争映画に登場するユダヤ人が出てきません。同国人たちが殺しあう場面ばかりなのです。軍服がもつ威厳と揺れ動く心理状態の狭間で、本作は主人公の不可思議な輪郭をそのまま観客に委ねているように感じました。何が彼を尋常ならざるところに追い詰めていくのか、そのストレスを紛らわせる享楽も描いていて、これは戦争映画というより人間の心理描写を中心に据えた映画ではないかと思いました。仮面は時に本物より本物らしく振舞わせる装置となって、アイデンティティーを操る結果になるとも考えられます。詳しい感想は後日改めさせていただきます。
2019.03.02 Saturday
春めいた気候になり、工房での制作もやり易くなりました。今日はウィークディの疲れが残るものの、新作の完成を目指して朝9時から夕方4時間まで通常の7時間を工房で過ごしました。だいぶ暖かくなってきましたが、それでも朝のうちはストーブを焚いていました。作業の内容としては大きめなタタラを数枚用意したり、乾燥した陶彫部品に仕上げや化粧掛けを施したりして、相変わらずの制作工程でしたが、何よりも工房内の空気が柔らかく、解放された気分にさせてくれました。新作はいよいよ大詰めになり、今月は組立作業に入ろうかと思っています。そのためのボルトナットや修整剤が必要になってきます。新作のタイトルも考えなければなりません。併行してやや小さめのテーブル彫刻を作っていこうと考えています。テーブルには砂マチエールを貼り付けて、接合する陶彫部品との調和を図っていくのが私の常套手段です。テーブルの柱になる木彫をしなければならず、こうして仕事を羅列していくと、やるべきことがいっぱいあって、気分的に焦りを感じます。今月はどこまで出来るでしょうか。陶彫による集合彫刻は、部分を作っている時には焦りはありませんが、全体構成を考えるような段階になると、あれもこれもやらねばならない仕事が見えてきて、ゆっくりしている暇はないなぁと思ってしまいます。例年のことなので格別驚くことではありませんが、これからが大変な時期になると予想できます。職場は職場で年度末を迎えて気忙しくなり、工房は工房で創作活動が佳境を迎えて一気に熱を帯びてきます。今月最初の週末で、先を見通し、まず何からやるべきか、ひとつずつ足元を固めていくようにしたいと思っています。明日は成形を頑張ろうと思います。
2019.03.01 Friday
多忙が懸念される3月になりました。何といっても年度末です。ウィークディの仕事は今年度のまとめとして、全職員と面接をして、来年度人事の素案を考えなければならず、気忙しさはピークに達します。仕事に対する思いは人それぞれで、適材適所を見定めながら、まずは働きやすく個人の能力が最大限に発揮できる職場を目指していくつもりです。創作活動は組織ではなく、私個人が進めるものですが、自分で活動時間を決め、仕事の段取りを決めています。出来るだけシステマティックに制作が出来るといいなぁと思っています。さしずめ今月は大きな新作の完成を目標にしています。やや小さめのテーブル彫刻も始めたいと思っています。今月の後半に年度末休業が取れる機会があるのですが、仕事が立て込むため休みが取れるかどうか微妙なところです。鑑賞も制作工程の間隙をぬって美術館や映画館に足を運びたいと思っています。昨年は一日年休を取得して埼玉県川越に遊びに行きました。今年はそんな余裕があるのでしょうか。一番心配なのは一日1点ずつ制作をしているRECORDで、ウィークディの仕事や週末の陶彫制作に精気を奪われて、下書きだけの山積みが一向に減りません。遅い時間帯にRECORDを作るため食卓に向かっていると睡魔が襲ってきます。このNOTE(ブログ)を書く時間も眠気との闘いです。「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。」とあるのは清少納言の枕草子の冒頭のコトバですが、この季節はコトバ通りぼんやりとしたパステルカラーの空気感の中で、いつまでも眠気がとれないイメージがあります。うつらうつらした中で読書もやっていきたいと思います。
2019.02.28 Thursday
2月は28日間しかない短い1ヵ月で、今日が最終日です。2月の後半は朝夕寒さが緩んで凌ぎやすくなりました。毎朝の起床や出勤が気温上昇に伴って楽になり、その分私は花粉症に悩まされています。朝起きると鼻がむず痒いのが気になりますが、ひと頃前より花粉症は緩和してきました。これは加齢によって身体の全器官が緩んできたのかなぁと些か自嘲的に思っています。さて、2月を振り返ってみると、新作の陶彫制作を頑張っていたにもかかわらず、陶彫部品が全て完成しなかった点が残念でした。やや小さめのテーブル彫刻には手もつけられずにいて、欲張った制作目標は自分の首を絞めることにもなると実感しました。それでも来月もやはり上向きの制作目標になってしまいそうなのは否めません。鑑賞は充実していました。美術展では「顔真卿」展(東京国立博物館)、「奇想の系譜展」(東京都美術館)、「河鍋暁斎」展(サントリー美術館)、「竹内浩一の世界」展(郷さくら美術館)の4つ、映画鑑賞では「ペギー・グッゲンハイム アートに恋した大富豪」、「私は、マリア・カラス」(全てシネマジャック&ベティ)で2本ともドキュメンタリー映画でした。週末は母の用事で税理士や不動産会社の人が自宅に来たりしていましたが、それでもこれだけ鑑賞の機会を持てたのは良かったのかなぁと振り返っています。RECORDは山積みされた下書きの解消にはならず、毎晩苦しんでいます。読書は美術評論家の現代彫刻に関する随想を読み始めました。通勤の友として気楽に楽しく読んでいます。もう一冊、職場にカンディンスキーに纏わる抽象絵画論が置いてあって、これにも時折目を通しています。まずまずの2月の成果だったと思っていますが、満足できなかった部分は来月で何とかしたいと考えています。