Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

  • Tag cloud

  • Archives

  • 週末 新作の陶彫制作開始
    ここで言う新作は「発掘~群塔~」のことではありません。もうひとつの新作のことで、題名はまだ決めていません。実は土台は数年前に作っていました。砂マチエールを施した黒い直方体4体が土台になります。そこに陶彫部品を40個ほど組み合わせる構造になりますが、その陶彫部品を全く作っていないのです。所謂途中で放置した作品というわけで、当時の完成予想図を思い出しながら、今後制作をしていこうと考えています。イメージを完全に掘り起こすことは難しいので、多少異なる作品になっていくことは仕方がないと思います。何故放置したのか、これは途中で気に入らなくなったわけではなく、今になって土台を見ても制作当時の意欲が感じられるものです。真相は土台の制作を始めたところ、次のイメージが出てきて、それに囚われてしまい、優先順位を変えなければ精神的に参ってしまいそうだったので、急遽次のイメージによる作品に取りかかったのでした。併行してこの作品も作っていこうと思っていたのですが、時間的に無理が生じ、そのまま放置に至ったのでした。やっと今になって土台に接合する陶彫部品を作り始めました。今夏の完成を目指して頑張っていこうと思います。今日の作業はそれだけではなく、午後に「発掘~群塔~」の木彫部分の材料を買いに出かけました。厚み10数センチの板材を彫っていきます。彫り始めをいつにするか、これも考えていかなければなりません。やることが多すぎて骨が折れますが、限られた日程の中で何とかやっていくつもりです。
    週末 「群塔」制作サイクル
    昨年も「発掘~層塔~」を作り上げていく過程で、土練・タタラ・成形・彫り込み加飾・乾燥・仕上げ・化粧掛け・焼成のうち、放置しなければならない乾燥と焼成を除いて、それぞれの制作工程が効率よく回るための制作サイクルを考案しました。次々と陶彫部品を作るために数点をグループとして段階を変えて取り組むのが制作サイクルです。現在もタタラを作るため小分けした陶土が3個、彫り込み加飾をする段階の作品が4点、仕上げや化粧掛けをする段階の作品が13点あります。昨年の意識が続いていて、今年は自然に制作サイクルが出来上がっている状況です。ただ、昨年と異なるのは現在の作品には木彫が入ってくるのです。陶彫部品の制作サイクルをどこかでストップして、木彫に取り組まなければならず、これはなかなか厳しいなぁと思っています。今日はその制作サイクル遂行のため、陶土3個をタタラにして、それを使って5点の小さな成形を行いました。既に成形してあった陶彫部品4点のうち1点の彫り込み加飾を行って今日の作業を切り上げました。朝9時から夕方4時までの作業時間は今まで通りです。明日も続行です。
    「シャトーブリアンからの手紙」鑑賞
    時々ミニシアターに出かけ、大手の映画館で上映される機会のない名作を味わっています。先月も橫浜で「悪童日記」を観ました。「シャトーブリアンからの手紙」は橫浜では終わっていた作品ですが、川崎の新百合ヶ丘にあるアルテリオ映像館が上映中だったので、早速観てきました。第二次世界大戦下のフランスの一地方が映画の舞台でした。ドイツ人将校がフランス人により背後から暗殺されたことが発端になり、ヒトラーがその報復に150人のフランス人捕虜を殺せと命令を下したことでドラマが展開していきます。躊躇するドイツ人将校たちと人選を余儀なくされたフランス人副知事。冷酷に描かれるドイツ人の中にも人命に対する畏怖の念が錯綜し、銃殺で失神するドイツ兵がいると思えば、故国の自由を叫んで潔く死んでいくフランス人政治犯たちがいました。結婚したばかりの学生や17歳の少年も銃殺刑に処される場面もあり、これは人間の尊厳を謳う映画であることは間違いありません。大きな戦争の中では、小さなエピソードであったかもしれないシャトーブリアンでの事実。これは当時の記録者の複数の事実を繋ぎ合わせて映像にまとめ上げた秀作と言えます。映画を見終わった後、観客に暫し静寂が訪れました。
    「青と金色のハーモニー:ピーコック・ルーム」
    画家ホイッスラーが建築家トーマス・ジェキルと協働制作した室内装飾「青と金色のハーモニー:ピーコック・ルーム」を一度見てみたいと思っています。現在、横浜美術館で開催中の「ホイッスラー展」には映像での紹介がありましたが、ジャポニスムを意識した装飾が見事で、青海波風のパターンに惹かれてしまいます。扉に描かれた孔雀も装飾化が美しく、また壁に描かれた2羽の孔雀は蒔絵を思わせる流麗さがあります。実物を見ていないので、直接感銘を受けたわけではありませんが、映像によってもその美しさは伝わってきます。ホイッスラーは最初の家主レイランドに断りもなく、家主が不在中に全面的に装飾をやり直した記録が残っています。支払いを巡ってホイッスラーはこの家主と不仲になり、次の家主フリーアによってこの室内装飾はロンドンからアメリカのデトロイトに移築され、さらにワシントンのフリーア美術館に移築される運命を辿りました。「青と金色のハーモニー:ピーコック・ルーム」は3回の移築によって保護されている室内装飾なのです。陶磁器を飾る棚がリズミカルに並び、天井絵にも孔雀の羽根のパターンがあります。ジャポニスムに魅了され、空間全てを東洋趣味で覆ったホイッスラー。いつか機会があればフリーア美術館の「青と金色のハーモニー:ピーコック・ルーム」を訪れてみたいと願うのは私ばかりではないでしょう。
    橫浜の「ホイッスラー展」
    先日、横浜美術館で開催されている「ホイッスラー展」を見てきました。ホイッスラーはてっきり英国生まれの画家と自分は思っていましたが、米国生まれだったことを知りました。ホイッスラーが生きた時代は、印象派以前のクールベ等が活躍したリアリスムの時代から印象派画家たちが日本の文化芸術に関心を示した時代に亘り、ホイッスラーもジャポニズムに魅了された一人になりました。当時、ホイッスラーの唱えた「芸術のための芸術」とは、ホイッスラー自身の言葉を借りれば「絵画作品は独自の価値をもつべきであり、芝居や伝説、あるいは特定の地方と結びつく関心に依拠するべきではない。」という原理のことで、神話や伝説に題材を求めた絵画から写実表現へ向かわんとして、「芸術は全ての不純物から独立しなければならない。」と唱えるに至ったようです。ホイッスラーの題名にも音楽用語であるハーモニーやノクターンが純粋な美的価値観を表すものとして再三登場しています。ホイッスラーは、当時の絵画に主題ではなく真の美を求めた革新の画家だったと言えます。その後の時代に続くホイッスラーの絵画の中で、自分は「16点のテムズ川の風景エッチング集」が気に入りました。線描のタッチの抑揚が何とも心地よくて、色彩がないにも関わらず色彩豊かな情景が表れていると感じました。こんなふうに描いてみたいと意欲を掻き立てられるものがありました。ジャポニズムについては後日にしようと思いますが、潤いで満たされた画家の静かな絵画世界に触れて、快い気持ちになれたのは事実です。