2014.10.20 Monday
「存在と時間Ⅱ 」(マルティン・ハイデガー著 原佑・渡邊二郎訳 中央公論新社)第二篇は時間性を論じています。時間となれば、やはり終焉という概念が入ってくることになり、存在論として死をどう扱うのかに論考が移っていきます。既読したショーペンハウワーにもニーチェにも死生観の捉えがありました。自分はこのテーマになると俄然読解力が増して、頭脳が明晰になります。まだ自分では意識できない死の認識ですが、いつ訪れてもおかしくないもので、必ずやってくる死に対し、自分の最大の関心の対象であることに間違いありません。本文の中から死という語彙が登場する箇所を引用します。「これまでの論証は、まだ存在していないということと『先んじて』ということとを、純正の実論的意味にとらえていたであろうか。『終わり』とか『全体性』とかは、現存在に現象的に適合して語られていたであろうか。『死』という表現は、生物的な意義をもっていたのであろうか、それとも実存的・存在論的な意義をもっていたのであろうか、いや、そもそもそれは、十分に確実に限界づけられた意義をもっていたのであろうか。」ここから死に対する存在論的考察は始まります。さらに印象に残った箇所を引用します。「死人とはちがって『遺族』からもぎとられた『故人』は、葬式とか埋葬とか墓参とかの仕方で、『配慮的な気遣い』の対象なのである。しかもそのことの理由は、これはこれで、故人が、その存在様式において、環境世界的に道具的に存在していて、たんに配慮的に気遣われうる道具というものよりも『なおより以上』のものだからである。」
2014.10.19 Sunday
今日は工房に若いアーティストが3人やってきて、私を含めて4人でそれぞれの課題に向けた制作に没頭しました。まるで学校のような按配です。3人は女性なので、トイレの備品等に私は気を配っています。作業台に可愛い菓子箱も置きました。作業に集中し始めると、彼女らのお喋りはなくなり、たちまち空間は緊張してきます。私は新作の陶彫による塔の先端部分を成形し、グラフィックを専攻する一人は大きなパネルに波形や波頭を隙間なく描き続け、染織を専攻する一人は巨大な板染めを行っていました。普段油絵を描いている一人はアクリルガッシュによる裸体に手をいれていました。それぞれが近々発表や展示を控えていて、みんな表情から余裕が消えています。私も新作が早くも佳境に入り、来年5月の図録撮影日を意識するようになりました。これも若い人たちのおかげと言っても過言ではありません。若い人たちの制作に対する真摯な姿勢が、私に良い意味で影響を及ぼしています。今日も朝から午後5時までたっぷり制作しました。今までは4時に切り上げていたのですが、彼女らの要望で1時間延長したのでした。このペースでいくと制作目標通りに仕上がり、順調な滑り出しになりそうです。また来週末頑張ろうと思います。
2014.10.18 Saturday
創作活動には絶好の気候で、工房内は暑くも寒くもなく、爽やかな雰囲気が立ち込めています。そのおかげか千客万来で、今日は私を含めて4人で作業に没頭しました。最近工房に頻繁に来るツートップは東京芸大と多摩美大の大学院生2人で、来月のグループ展搬入や卒業制作に向けて、それぞれが予断を許さない状態らしく長時間の作業をこなしています。その影響もあって自分も負けまいと作業していて、この社会的促進は良い効果を齎しています。2人とも負けん気が強く弱音を吐きません。自分も似たところがありますが、作業を終わらないわけにはいかず、今日は夕方4時までにしようと声をかけたら、もう1時間の延長を2人から言われました。5時に工房を出て、2人を誘って外食しながら今日の作業を労いました。2人はいずれも美貌の女子たちで、この子たちのどこに創作に賭ける強烈なパワーが潜んでいるのかよくわかりません。もう一人は私の職場で働く人で、初めて油絵に挑んでいる人です。2時間程度の制作ですが、興味を持続させるのに適当な時間ではないかと思っています。今日の工房には本当にいい時間が流れていました。自分は今月のノルマである陶彫部品の塔10本のうち6本が完成しました。あと4本です。混合した陶土が無くなったので、土錬機を回し、土練りをしました。明日は残りの成形を行う予定です。明日も千客万来になるようです。
2014.10.17 Friday
日本新聞協会が15日より1週間を新聞週間としています。私は自分の職場で数社の新聞に目を通しています。管理職になってから自らの業種に関わる記事は常に注目しています。文化欄にも目を通します。幸い職場に自分用の部屋を頂いていて、そこに数社の新聞が毎朝置かれます。朝の打ち合わせの後、ざっと目を通し、必要な箇所は複写して自分のノートに貼っています。このスクラップによって自分の業種の現在の課題を考えることが出来、今後の経営の参考にしています。もうひとつは文化欄で、美術、演劇、映画、音楽、文学と興味関心のある記事をチェックしています。美術展や最近行った映画や演劇は新聞の情報によるものです。新聞の情報には解説がついていますが、それを案内役とする場合と自分の感覚で確かめたいために敢えて読まない場合があります。美術展の場合は街に貼られたポスターやインターネットで知って、展覧会を見た後、新聞の批評を読み、自分の捉えと批評との相違を楽しむこともあります。自宅では朝日新聞を取っています。最近になって朝日新聞の記事を巡って厳しい批評がさまざまなところから寄せられています。そのため信頼回復のための記事が掲載されて紙面を大きく割いていましたが、新聞社としての奢りだったのか、また記事を起こす上で何か掛け違いがあったのかわかりません。ただし、それはどの職場でも陥る可能性があると思っています。祖父の代から朝日新聞に親しんできた自分は、この件で他社に変えようとは思っていません。これからの反省を踏まえた再生が重要になってくると思っています。日々掲載される情報をチェックし、文化欄の評論を楽しみにしています。
2014.10.16 Thursday
今月のRECORDのテーマを「縺れ絡まり滞る魂魄」としました。当初は彷徨う霊魂がイメージとして浮かびましたが、私は取り巻く周囲に配慮的な気遣いをしながら、ハイデガー曰く「現存在は等根源的に真理と非真理の内にある」を無言で唱えながら生きているのだと気づきました。この周囲の雑多な状況をどんな表現にしようかと思い始めたら、魑魅魍魎が跋扈する社会的現実より、やはり当初のイメージで戯画化する方がRECORDに相応しいと決めました。シンボライズすることで感情の襞に入り込める表現もあります。魂魄とは霊魂のことで死後の世界にあるものですが、現世の状況を投じて、縺れたり絡まったり停滞したりする人間関係の機微を表現できれば幸いです。今月もテーマを決めてから半ばを過ぎてしまいました。広報が遅れたことをご容赦願って、引き続き頑張っていきたいと思います。