2014.11.04 Tuesday
11月のRECORDのテーマは「覗き穴から凝視する宇宙」にしました。つまり「穴」です。小さな穴から深淵を覗き込むイメージが頭を過ぎり、深淵には何かが蠢いていて、その好奇的趣味を描いていこうと思っています。今年のRECORDのテーマもあと12月を残すだけになりましたが、不気味さや不安が漂うテーマが多いように感じています。幾何抽象を用いることは、今年に限っては無いのではないかと思います。自分の心情が情状的になっているのかもしれません。何か得たいの知れない生命体を描きたいし、またそうしたグロテスクな血塊を吐き出したい欲求があるのです。ただ自分の自然に沸きあがる感情を、極端に操作しようとは思っていません。感情以上にデフォルメしたものを描いてしまうと、嘘偽りになってくるし、寧ろ戯画化したことで技巧ばかりが目立つ結果になりかねません。超幻想世界を可視化することは、自分にとって難しいことと常日頃から感じていて、あまり具象絵画に近づかないようにしているのです。描いたものが説明的になることも怖れています。そんなことを考えながら今月のテーマに取り組んでいきます。
2014.11.03 Monday
三連休の最終日は美術大学の芸術祭(芸祭)に行きました。最近工房によく来ている中国籍の大学院生がいます。彼女の案内で芸祭訪問をしました。毎年恒例になっているものですが、今回は自分の母校ではありません。母校でなくても若い世代の生々しい制作が見たくて出かけるのです。自分の創作活動の出発点は大学にあります。その気分は学校は違えど同じなのです。彫刻科では素材をコントロールして、自己イメージに近づけようとする学生の姿が、その作品から見て取れました。自分はそこで振り返りをして、自己奮起を促すのです。今日は彫刻科の他に日本画科と版画科に優れた作品がありました。いずれも具象傾向の作品で、対象に真摯に向かい合っている学生の心情が画面から迸っていました。案内してくれた彼女が所属するグラフィックデザイン科も優れていました。すぐに広告界で使えそうな作品があって感心しました。大学は校舎ごとに高低差があるため坂道が多く些か疲れました。高い丘に点在するモダンな校舎は、外見は美しく見えますが、通ってくる学生は大変だなぁと思いました。模擬店で働く学生や展覧会場で番をする学生も、いずれも穏やかな表情をしていて、それだけ学生生活が充実している状況が見て取れました。各人が納得の出来る進路選択を願わずにはいられませんでした。
2014.11.02 Sunday
三連休の中日は、3年前に他界した叔父の追悼会があるので、制作は早朝から2時間程度になりました。この三連休は制作時間が限られていて、だからこそ制作に集中して取り組まなければならず、出来る範囲の中で制作工程を先に進めるしかありません。亡き叔父はカント哲学者でキリスト教徒、そのため仏教で言う三回忌が今回の追悼会になったわけです。久しぶりに集まった親類縁者でしたが、終始打ち解けた雰囲気の中で、お互いの状況をじっくり話し合う良い機会になりました。実は哲学者の叔父が今も健在だったなら自分は話をしたくて仕方がないのです。叔父が亡くなった後になって、漸く自分は哲学に興味が持てて、様々な哲学者が提唱する芸術について、また死生観について考えが及ぶようになりました。これについて叔父の思索を聞いてみたいし、また学問に身を捧げるようになった叔父自身の動機をも知りたいと思うようになりました。自分の初の個展に現れた叔父は、この方向でやりなさいと創作活動の向かう先を示してくれましたが、今だったら叔父の短い投げかけに食下がり、もっと叔父からコトバを引き出すことができるだろうと考えています。やっと辿り着いた哲学のスタートライン、自分にとっては残りの生涯や創作活動に核を与えてくれる学問です。二束の草鞋生活に負けまいと走り続けて、ろくに考えもせず欲求のままに作り続けた作品に対し、漸く作りながら思考する、思考しながら作り出すことがわかってきたところです。今なら叔父は私の作品に何を感じ取ってくれるでしょうか。今日の追悼会であまりにも身近だった哲学者の存在を感じずにはいられませんでした。
2014.11.01 Saturday
11月になりました。昨夜から今朝にかけて職員旅行で箱根湯本に行っていました。1年に1回は職場でバスを仕立てて一泊旅行に出かけます。昨年とは立場が違うので、少しばかり気疲れもしましたが、普段職員がどんな思いをもって仕事をしているのか、昨晩は皆が多少酔っていても、きちんと話を聞くことが出来て良かったと思いました。この職場を束ねているのは自分なんだと改めて考えつつ、感情の機微が交差する場面もあり、ともあれ全員が気持ちよく仕事ができるように今後も頑張っていきたいと思います。さて、11月になって三連休の初日です。職員旅行では自分だけ早めに旅館を出て電車で帰宅しました。理由は菩提寺が行う晋山式の招待状が舞い込んでいて、午前中の式に出席をしようと決めていたのです。2年前親しくさせていただいた住職が急逝し、現在まで若い住職が代理をしていましたが、今日その住職が三十三世心譽隆文上人となりました。加えて400年慶讃法要も行いました。稚児行列もありました。滅多にない菩提寺の行事なので、自分としては参加して良かったと思いました。午後は少しでも陶彫制作をしようと思っていましたが、疲れが出て工房には行けず、自宅で休んでいました。夜は近隣のスポーツ施設に行って水泳をしてきました。ようやく身体が回復したように思えます。明日の制作は朝のうちになりますが、頑張っていきたいと思います。
2014.10.31 Friday
今日で10月が終わります。時が経つのは早いもので、例年ではそろそろ窯入れを始めている時期になります。今月の制作状況ですが、まず鑑賞ではエネルギッシュだった9月を上回ることが出来ませんでした。今月は展覧会は3つ、演劇は1つという状況でしたが、内容としては面白かったと思っています。前衛芸術家ヨーゼフ・ボイスの展覧会や彫刻家ジャコメッティを題材にした革新的な演劇を見ることができたことが強く印象に残っています。肝心な制作は10体の尖塔の彫り込み加飾までの完成がありましたが、塔の大変な下部は9月に作っていて、今月は仕事量的には楽な上部だったので、やはり9月を超える制作には至らず、万事が緩んでいたのかなぁと思います。ただ今月のペースが通常なのかもしれず、週末やウィークディの夜に結構制作をしていることがあったので、一概に緩慢だったとは言い切れません。とりわけ今月は2人の大学院生の活気溢れる制作が週末の工房であり、自分は追い打ちをかけられているように感じました。怠け心を彼女たちに無言で叱咤されているような気配があったことで、自分の中では決して緩慢と思えない制作状況だったのではないかと振り返っています。ともあれ来月も頑張っていこうと思います。