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  • 「おいしいアート」の楽しさ満喫
    横須賀美術館で開催している「おいしいアート展」を見てきました。カスヤの森現代美術館に行った折、同伴した若いアーティストがスマートフォンで検索し、近くの美術館で不思議なタイトルの美術展をやっていると教えてくれたので、急遽横須賀美術館に向かったのでした。「おいしいアート展」は文字通り食事や食材を扱った古今東西の名作を集めたもので、学芸員による企画が決め手の展覧会だと理解しました。「食べる」ことは私たちにとって欠くことの出来ない行為であり、それを表現した作品は数多くあるということは、誰もが知っています。現代のコーナーではオブジェやスーパーリアリスムや図解的な作品が展示されていましたが、個人的趣向として駒井哲郎の瀟洒な銅版画や藤田嗣治の動物が登場する宴会シーンを描いた作品が面白いと感じました。「食べる」というテーマはまだまだ展開の余地はあるでしょうし、楽しさも倍増しそうです。今後のユニークなテーマに期待したいと思います。
    ボイス世界観の再考
    先日見に行った「ヨーゼフ・ボイス展」が契機になり、改めてボイスの世界観を考えてみたいと思います。ボイスに関することは過去何回かNOTE(ブログ)にアップしていますので、今回は再考とさせていただきました。20世紀の美術史を振り返って見ると、芸術の価値転換を図った芸術家を何人か思い浮かべることが出来ます。たとえば芸術を成立させる制度を変えたM・デュシャン、消費社会におけるポップな芸術を推進したA・ウォーホル等々ですが、ボイスの芸術変革は彼らとは次元が異なるように思えます。ボイス研究家の山本和弘氏の文章で次のような箇所があります。「ボイスが用いる素材は~略~徹底的に私たちの日常の生活の中にありふれたものである。~略~これらの有用性は、当然のことながら日常の生活において消費され、打ち捨てられて終わる機能ではなく、それらの機能性の究極の目的である本来的な道具性、つまり、より良く生きることにかかわることの顕在化が全てのボイスの作品で図られている。」この文章を読み解く上で自分の頭を過ぎったのは、現在読んでいるハイデガーの「存在と時間」です。存在そのものを思索した哲学書とボイスの関連は、そう易々とできるものではありませんが、ボイスの行為の意図に何か存在的なものが潜んでいるようにも思えます。突き詰めていけるような思考を自分は持ち合わせていないのが残念です。
    横須賀の「ヨーゼフ・ボイス展」
    横須賀にあるカスヤの森現代美術館で「ヨーゼフ・ボイス展」が開催されていました。ボイスの作品は見てすぐ分かるものではありません。展示されていたモノは、自己表現するにあたってボイスが発想し、制作またはパフォーマンスの行為をした残像や遺物のようなモノで、在りし日のボイスの足跡を伝えています。社会全体に向かって発信された造形としての思想は、価値を問うモノだったり、環境保護を提案するモノだったりしています。ボイス自身が語っている次の言葉がボイスの作品を解く手がかりになります。「発展過程としての彫刻 ひとはみなアーティスト わたしが彫刻を仕上げて、固定した状態にしないのはそのためだ。ほとんどの作品は化学反応、醗酵、色の変化、腐敗、乾燥といった過程の中にある。」(K・ティスドールによる聞き取り)自分が展示の中で印象的だったのはボイスの足を石膏取りした作品です。造形作家若江漢字氏が滞独中にボイスと共作したこの作品を巡って一冊の書籍にしているので、自分は既読しています。もちろんオリジナルを見るのは初めてで、仏陀の足形のようで楽しい作品でした。鉄製シャベルを撮影したポスターが気に入ったので、一部いただいてきました。これを額装しようかなぁと思っています。
    前衛芸術家を惜しむ
    職場に置いてあった各新聞が伝えていた「赤瀬川原平さん死去」というニュースに残念な思いを隠せません。たしか赤瀬川さんは自分の母校の先輩にあたる人です。東京町田市にあるご自宅の「ニラハウス」は近所に親戚が住んでいるため、何度か建物の外見を拝見していました。屋根にニラが生えている家は建築家藤森照信氏の設計によるもので、その奇抜さは近所でも有名です。テレビの美術解説で赤瀬川さんをお見受けして、その分かり易く楽しい話にワクワクしたことも数多くあります。著書「老人力」も読み、何年か前のNOTE(ブログ)に書いています。「超芸術トマソン」や「路上観察学会」や千円札を印刷した作品が通貨模造取締法違反に問われたりしたことは、美術雑誌等で知っていました。享年77歳は日本人の平均寿命からしても、まだ早いと思いますし、ユニークで面白い意見や感想を今後も発信して欲しかったと悔やまれてなりません。ご冥福をお祈りいたします。
    週末 10体の尖塔完成
    新作「発掘~群塔~」の最初の陶彫成形となった10体の塔が、彫り込み加飾まで終わって今日完成しました。10体は全て先が尖った塔で上下2体にそれぞれ分かれています。これは窯入れの大きさを考慮したもので、途中ボルトナットで接合できるようにしました。ということで合計すると今まで20体の陶彫部品が乾燥を待っていることになります。制作工程は次の段階に入ります。この10体の尖塔は全て床置きになりますが、次の段階の成形は屏風に接合される部品です。群塔になった集合体同士が血管のような網状になったモノで結ばれる状態を作っていきます。いよいよ板材を用意しなければならない時期になりました。群塔になった集合体をどう散らせていくのか、全体構成の中で考えていきます。作品は立体になることを念頭に幅や高さをイメージしながら恰も集落を形成するかのような心象風景に近づけていこうと思っています。楽しいと思える瞬間は、この当初のイメージをどう具現化するかをあれこれ考える時です。雛型を作ろうかどうしようか悩むのも楽しいひと時です。来週末は予定があって制作時間が思うようにとれないので、暫くは頭の中で考えを巡らすつもりです。今日の工房は涼しい空気に包まれていましたが、2人の大学院生の真摯な課題制作があって、終始空間が緊張していました。喜ばしい関係が出来ていて本当に充実した一日が過ごせています。溌溂とした彼女たちに感謝です。