2013.06.12 Wednesday
「ルドン 私自身に」(オディロン・ルドン著 池辺一郎訳 みすず書房)を読み終えました。本書の中に収められた「芸術家のうちあけ話」はルドンの自叙伝ですが、両親や彼を取り巻く友人がほとんど登場しない内面的な回顧になっています。それはルドン自身が神秘的で内在的な世界に辿りつく過程にも通じていて、なるほどルドン自身が自分の生い立ちに対し、こんな描き方をするのかと納得してしまいます。日記として他の芸術家を取り上げて批評を試みている箇所は、ルドンの優れた鑑識眼に驚くばかりです。現代の視点からすれば理解可能な芸術観の価値の変遷が、自身の生きた時代に先見性のある理論をもって著されていることに、ルドンの芸術の本質を掴む思索家としての力量を感じさせます。芸術家本人が著したものとしては読み応えのある一冊だと思いました。
2013.06.11 Tuesday
RECORDは葉書大のちいさな平面作品のことですが、一日1点ずつ作っていくため文字通り日々記録していく作品の総称を言います。掌サイズの小さな作品ですが、塵も積もれば山になり、現在2000点を超えています。毎月テーマを決めているので、現在はその日の印象を描くことにはなっていませんが、前日作った作品から展開する画面を考案するため夕食の時間帯に毎晩頭を悩ませています。食卓に飛び乗ってくる猫のトラ吉を追っ払い、TVを観ている家内を横目に、一人で悶々としていることもあります。それでも楽しいと感じることも時折あります。決して気楽ではありませんが、やらねばならないトレーニングのような気分で取り組んでいるのは確かです。今月のテーマは「結」にしました。6月は結婚のシーズンという世俗的な背景もありますが、それよりもっと幅広く「結」を捉えていきたいと思っています。
2013.06.10 Monday
1980年から85年となれば、今を遡ること30年前になります。オーストリアの首都ウィーンは地下鉄の交通網がシュタットバーン(市街電車)に取って代わろうとしていました。そんな頃に自分は市街から遠い10区に住んでいました。最初の年は3回引っ越して80年の終わり頃に10区に落ち着いたのでした。借住まいの近所に有名なアイスクリーム店があって、夕方になると毎日買いに出かけました。今となってはウィーンのことを知るのは、毎年正月に放映されるニューイヤーコンサートをTVで観るだけですが、先日ウィーンに住む日本人の旧友からメールがきて懐かしい思いに浸りました。家内が早速返信をしていました。彼はまだ演奏活動をしているのでしょうか。自分のホームページにヒットしてくれたおかげで、こんな機会が持てたことを嬉しく思います。先日一時帰国したドイツ在住の先輩といい、今回の旧友といい、薄れつつあった記憶が次第に甦っていくのを感じています。定年を迎えたら、もうひとつの人生をヨーロッパでやり直そうと決めています。ウィーンを再訪する日がくると信じて、公務員としての仕事に励む毎日です。
2013.06.09 Sunday
作品の梱包用に手間暇かけて木箱を作っています。かつて段ボールに収納してあった陶彫部品ですが、段ボールが変形をしたため、中にある作品が破損する危険性が考えられたので、全て合板による木箱に変えることにしたのです。陶で出来た作品は外部からの衝撃によって壊れることがあり、作品を上手に保存するために木箱作りに着手しました。木箱の中で陶彫部品ひとつずつにエアキャップを巻いて収納しています。「発掘~地殻~」の部品は40個あります。大きめの部品と小さめの部品を組み合わせて、ひとつの木箱に収めていますが、それでも簡単に終わる作業ではありません。木箱作りは創造的な仕事ではないので、陶彫の成形や彫り込み加飾と併行してやっています。そうしないとモチベーションが下がってしまうのです。今日は午前中、新作陶彫の彫り込み加飾を行い、午後になってから木箱を作りました。木箱作りは次回も継続です。
2013.06.08 Saturday
今月は休日出勤が多い1ヶ月です。週末は新作の陶彫成形や加飾、今夏発表する作品の梱包を行っていますが、土曜日に職場に出勤する機会が多く、時間を有効に使っていきたいと思います。今日もその出勤日に当たっていて職場を出たり入ったりしました。空いている時間は工房に行って制作を行っていました。落ち着かない制作時間ですが、二足の草鞋を履く身としては、こういう流れに慣れています。細切れになった時間をどのように使うか、制作が中断しても問題のないことをやって効率化を図っています。思索をしなければならない創作行為は出来ませんが、陶彫制作には単純作業も多いので、そうした技術的な仕事を優先させています。出勤の合間の時間はあっという間に過ぎていきます。明日は落ち着いてじっくり制作に取り組みたいと思います。