Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 週末 精一杯の作業量
    昨夜のテレビ番組「水玉の女王 草間弥生の全力疾走」(NHKスペシャル)に見入ってしまい、命がけで制作に取り組む草間弥生の姿勢に感銘を受けたおかげで、今日は工房で朝から夕方まで休むことなく作業に没頭してしまいました。先日窯出しした大きな陶彫作品の修整、次なる成形に備えて畳大のタタラを7枚作り、残り僅かとなった陶土をつくるため土錬機を回して菊練りを行い、乾燥した成形作品を仕上げて化粧掛けを施して窯に入れる…これは一日の作業量としては精一杯です。草間弥生効果と言うべきか、自分の単純さに我ながら呆れますが、仕事が進んだことは確かです。おまけに夜は近隣のスポーツ施設に出かけて精一杯水泳をやってきてしまいました。今日はもうやり残したことはありません。RECORDを描いて、このNOTE(ブログ)で終了です。ただし今日やったことは全て作業で、制作ではありません。作品を作り上げる制作工程は悩みつつ思索を繰り返しますが、今日は健康的な作業ばかりだったので、そこまで仕事が捗ったとも考えられます。気候が涼しくなったこともあると思います。これからが秋本番で、制作は佳境を迎えます。明日も頑張ろうと思います。
    土が石化するとき
    陶彫で作品を作っていると避けて通れない最後の作業工程があります。陶彫作品の仕上げとして陶土の作品は窯に入れられて高温で焼成される工程です。自分の作品は釉薬をかけずに焼き締めていく方法をとっています。釉薬をかけるとすれば、成形された作品を乾燥後に素焼きして、一旦窯から取り出して釉掛けを施し、再び本焼きを開始します。ただし、自分の作品はしっかり乾燥させた後、いきなり本焼きを行います。そのため時間をかけてゆっくり温度を上げる窯の設定にしていて、素焼きの工程を省いても何とか焼成ができるようにしてあります。ただし、幾度となくNOTE(ブログ)に書いていますが、最後の工程には手を触れられないので、成功かどうかは神仏に祈ることしかありません。それが陶彫の面白いところでもあり、苦しむところでもあります。窯を開けると作品はまったく違う相貌になっていて自分の作品とは思えません。陶芸の本によると土が石化すると書かれていますが、まさに石のようになった作品を前にして炎の魔術としか思えない不思議さに今でも心を動かされます。石のように変貌した作品は、土の危うさから身を固めた強さが備わり、外からの衝撃がなければ朽ちることもなく未来に存在していけるのです。先日の窯出しで再び陶彫への思いが新たになりました。
    横浜の「バーナード・リーチ展」
    仕事中に家内から携帯電話がかかり、夕方「バーナード・リーチ展」に行こうと誘われました。家内は邦楽器店に楽器を修理に出すついでに横浜駅に立ち寄り、駅前のデパートで開催中の展覧会に行くことを予定していて、横浜駅近郊に職場がある自分に連絡をしてきたのでした。自分は職場で会計処理に忙殺されていたのですが、夕方6時過ぎには職場を出られそうと思ったので、6時15分にデパートの展覧会場前で待ち合わせることにしました。バーナード・リーチは英国の陶芸家で、日本に縁の深い人です。日本の民芸の中に英国のセンスを持ち込み、また英国に日本的な美を伝えた人でもあります。飴色や鉄色した釉掛けの陶器が有名ですが、今回自分は「鉄絵組合陶板 生命の樹」に惹かれました。楕円を描く象徴的な樹木の枝に多くの鳥が憩う画面で、見ていると枝のリズムが心地よく感じられます。樹木の下にいる馬や人物は労働に勤しみ、さらにその下では魚が泳ぐ様子が描かれていました。生活に根ざした美を追求したリーチ。柳宗悦の民芸運動に参加し、富本憲吉や河井寛次郎、濱田庄司との親交により東西民芸の橋渡しをしたリーチ。今日は一日の終わりにいい思いをしました。仕事で疲れた心を元気にさせてくれるひと時だったと思いました。
    窯を開ける瞬間に思うこと
    陶彫制作の最終段階である焼成。窯に作品を入れた時から、窯の中が気になって仕方がないのです。今回の窯入れは、自分の作品では最大の大きさで、窯内に隙間がほとんど出来ません。しかも乾燥中にヒビが数箇所見つかって、焼成前に壊そうかどうしようか迷った作品です。駄目になるのを承知で3日前に窯入れしました。翌日、出勤前に工房に立ち寄って窯の温度を確認し、帰宅後にも工房に行って窯を見てきました。次の日も同じです。職場に行けば焼成のことを忘れていますが、職場を離れると窯がどうなっているのか不安が付き纏います。今朝も工房に行って温度を確認しました。今晩なら窯が開けられると判断しました。割れるか歪むか、また大きく裂け目が入っているか、いずれにしても駄目なら即刻気持ちを入れ替えて再制作に取り掛からねばなりません。その準備は出来ていました。そしていよいよ窯を開ける時がきました。何十年も窯と付き合っているくせに、この気分をどんなコトバで言い表せばいいのか、同じ陶をやっている人ならわかると思います。ドキドキ、ワクワク、ハラハラが一気に胸を駆け巡ります。窯の蓋のハンドルを回す時、蓋を少しばかり開けた時、きっと駄目だと自分に言い聞かせていたら、何と潰れずに作品は元のカタチのまま焼成されていました。あれ?と息を呑みました。ヒビは確かに入っていましたが、これは修整できる範囲でした。さらによく見てみないと何とも言えませんが、そのままそこに暫し立ち竦んでしまいました。何だか嬉しいよりも疲れが先行して気持ちの高揚はありませんでした。新作の窯入れは始まったばかり。幸先のいい出発でしたが、今後もドキドキ、ワクワク、ハラハラがやってきます。スリリングな面白さがあると言えば、それまでですが、窯入れが続く時はそんな冷静な気分にはなれない自分がいます。
    嗜好品を集め出す
    飲んだり食べたりすれば捨ててしまう缶やペットボトル、包装紙などを拾い集めています。実はモチーフとして考えているグッズで、来月のRECORDにしようと思っているのです。RECORDとは一日1点を作っていく小さな平面作品の総称を言いますが、その日に消費したものを描くのは、描く行為も含めると時間的に厳しいので、今からモチーフの収集をしておこうと思っています。つまりゴミの再利用です。RECORDで具体的なモチーフを目の前にして描くのは初めてで、日頃見慣れているモノを観察し、何か新鮮な視点を持てればいいなぁと思っています。スーパーマーケットの棚に並ぶ嗜好品の数々が不思議と美しいと感じたことが契機になっていて、見過ごしてしまうモノに焦点をあててみるのも一興かもしれません。