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  • 「クレーの日記」再読開始
    このところ書店で新しい書物を買うことはせず、自宅の書棚に眠っている数々の書物を取り出して再読することにしています。その中にはもう既に書店で売られていないものもあって、今となっては貴重な本があるかもしれません。今日から読み始める「クレーの日記」は再版を続け、今も書店で扱っています。ただし、私の手元にある「クレーの日記」(P・クレー著 南原実訳 新潮社)は1985年に購入しているので、やや黄ばんだ古書になっています。当時どこまで読んだものか見当がつかず、最初から読み始めることにしました。P・クレーは自分のNOTE(ブログ)で度々扱っている、言わば自分にとってお気に入りの芸術家です。自分のイメージを広げたい時や創作に迷う時に、P・クレーの画集を開いて雁字搦めになった自分を解放しています。自分は若い頃からクレーが好きで、塑造で具象的な彫刻を作っていた時代もクレーの絵をよく見ていました。この「クレーの日記」は自分が滞欧生活を切り上げて帰国した年に購入しているので、海外で得たものの裏づけとして読んでいたのではないかと思います。今、再び手にとって読み始めた特異な芸術家の日記は、どんなことを自分に齎せてくれるのでしょう。楽しみつつ時間をかけて読んでいきたいと思っています。
    「ゴーギャン オヴィリ 一野蛮人の記録」の読後感
    昨年暮れから通勤鞄に入っている「ゴーギャン オヴィリ 一野蛮人の記録」(ゴーギャン著 岡谷公二訳 みすず書房)をやっと読み終えました。ずいぶん長く携帯していた書籍です。当時フランス領だったタヒチを初めとする島々で、彼の地を統治していた憲兵と原住民の間に入って、ゴーギャンはさまざまな感想や思索に耽り、また白人社会に抗議を繰り返していた様子を伺うことができました。島の生活がどんなものであったのか、ゴーギャンの眼を通して具体的に語られていて興味は尽きません。ゴーギャンの色彩や画面構成に高校時代から惹かれていた自分は、彼の地に行って身体を張って培ってきた表現力に感銘するばかりです。ただ、本書は芸術家としてのゴーギャンばかりではなく、当時の社会や西欧文明に対する批評家としてのゴーギャンをも感じさせます。こうしたゴーギャンの文献が表に出るのには相当な時間が必要だったようですが、在りのままのゴーギャンを捉えたいという編者の意思が感じられる一冊だと思いました。また、明日から新たな書籍の扉を開きたいと考えます。まだまだ自宅の書棚に眠っている書籍は数多くあります。
    葉山館の「ベン・シャーン展」
    昨日、「ベン・シャーン クロスメディア・アーティスト」展を見に神奈川県立近代美術館葉山館に行ってきました。ベン・シャーンはアメリカの下町やそこで生きる人々を丹念に描き、それによって社会的な背景までも炙り出した画家です。自分は大学生の頃にK・コルヴィッツやE・バルラッハというドイツ表現派の芸術家に心酔していた時期がありました。社会的なテーマを扱うリアリスムの作家の彼らと併行してベン・シャーンにも興味を抱き始めたのでした。アメリカの禁酒法や大恐慌の時代で、労働者階級の移民を写真に収め、それを独特な色彩で絵画に転換するベン・シャーン。また水爆実験の被害を受けた第五福竜丸を扱った一連の絵画は、日本では有名で絵本にもなりました。社会的な主張はメディアを問わず、絵画や写真の他にグラフック・アートにも表現を求めた、当時としては類稀な作家と言えます。特異な画風という印象を持ちますが、よくよく見ると構成から描写に至るまであまりにも巧みで、計算されたというより天性の表現力を見につけた作家ではなかろうかと感じました。画面がキマッているというのか、全て描ききれていないところもそれで良しとする説得力がありました。個々の作品で気になるモノはまた機会を改めますが、見れて良かったと思えた展覧会でした。
    週末 制作の後、葉山へ
    今日も寒い一日でした。朝から工房で制作をしていましたが、あまりにも寒くて中断をしました。数日前から風邪気味なので身体を休めようと思ったのです。若い工房スタッフも手が悴んで絵が描けないようで、中断には同意してくれました。朝の工房内温度は2度で、ほとんど外と変わりません。自分は昨日より体調が少し回復しているものの大事を取ることにしました。午後、ゆっくり休むはずが家内と美術館に出かけてしまいました。神奈川県立近代美術館葉山館でアメリカ人アーティストの「ベン・シャーン展」が今月29日まで開催しているのを思い出し、今日しか行ける日がないと思ったのでした。葉山館は休日のせいか混んでいました。鑑賞者には若い人が目立っていました。社会問題を扱い、日本にも縁のあるアメリカ人アーティストは、日本人には馴染みがあるのかもしれません。工房より緩やかな美術館という環境の中で、ゆっくり鑑賞して帰路につきました。「ベン・シャーン展」の詳細については別の機会に書きます。
    週末 新作の印のデザイン2つ
    体調が芳しくないのを押して朝から工房で制作をしていました。今日の工房内はとても冷えて、ストーブ1台では物足りない状態でした。「発掘~混在~」の木を削ったり彫ったりする作業はまだまだ続きそうです。夜は「発掘~混在~」と今年のRECORDに押す印のデザインに入りました。集合彫刻では陶彫部品が数十点あり、ましてや毎年のように集合彫刻を作っていると前に作った部品と新作部品の区別がつかなくなる嫌いがあります。それを避けるために毎年作った部品に印をつけているのです。印は新しく作ります。それを和紙に押印して番号をつけて部品の裏側に貼っていきます。印で彫刻の制作年がわかるようにしてあるのです。今回は「発掘~混在~」の陶彫部品に貼る印と、今年のRECORD用の印を作りました。自分はきちんと篆刻を学んだわけではないので、印と言っても自己流のデザインです。意識としてはP・クレーの抽象絵画に出てくる象形文字のようなものを作っています。これは結構楽しんでやっています。印も新作ごとに作っているので次第に増えてきました。これだけ揃うと印だけで展示をしたくなります。書家の印とはまるで異なる世界で、印という媒体を通した絵画作品と考えています。