Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • ニーベルソンの黒い壁
    アメリカを代表する女流彫刻家ルイーズ・ニーベルソンの作品は一度見たら忘れられない印象が残ります。黒く塗られた箱状の作品。その中にやはり黒く塗られた様々なカタチが詰め込まれていて、それが壁のようにそそり立っている彫刻。呪術的な祭壇のようでもあり、廃墟のようでもあり、ひしめいた人々のようでもある雰囲気に何とも言いがたい不思議な感動があります。20世紀のプリミテイブアートです。アフリカに古くから伝わる民族的仮面に似た造形要素をもっています。自分の陶彫もニーベルソンの立体から影響を受けていると感じています。自分は学生時代からずっとアメリカの彫刻家としてイサム・ノグチ、ニーベルソン、カルダーの3人に注目してきました。3人3様のところがアメリカらしくていいと思っています。その中でも自分はニーベルソンに近い作品を作っていると自負しています。       Yutaka Aihara.com
    チャドウイックの彫刻
    イギリスを代表する彫刻家の一人にチャドウイックがいます。ゆったりとした曲面をもつムーアに対して、チャドウイックは面で構成された塊に細い足のついた人体を作っています。自分はこの形態感が好きで、いろいろな美術館でチャドウイックの作品を見かけると、つい佇んで見てしまい時間が経つのを忘れます。重量のある鉄や銅で出来ているにも関わらず、軽みを感じさせるフォルムです。細い足で大きな塊を支える構造が不安定とも浮揚ともとれて不思議な空間を感じさせてくれます。自分の作品にもそんな意外性を表わすことができないものかと思いをめぐらせています。            Yutaka Aihara.com
    グロピウスの建築
    「バウハウス」はドイツの都市ヴァイマルの工芸大学と美術大学を統合して作られたと本で読んだことがあります。国立の学校でした。初代校長は建築家のグロピウス。ドイツ工作連盟を調べていくうちにグロピウスの存在を知り、その機能的な鉄とガラスによる彼の建築を写真図版で見ました。今でこそこれは集合住宅に見られる工法ですが、中世から脈々と続く石作りのバロックやゴシック建築の中にあって、出来た当時はシャープさと軽さをもった画期的な建築物だったはずです。「バウハウス」はヴァイマルを閉鎖してデッサウに移転しますが、このデッサウ校舎がよく紹介されるグロピウス設計のものです。この時は市立の学校になっていました。ともあれグロピウスは近代建築に並々ならぬ影響を与えた人だったように思います。建築がモダニズムに動いた時代で、これで現代の建築工法が始まったとも言えます。
    「バウハウス」の魅力
    自宅の書棚に「バウハウス」について書かれた本が結構あります。ドイツ語による原書もあるのですが、もうオーストリアから帰って20年経ち、とてもドイツ語を読む気になれません。写真図版を見てちょっとしたコメントに眼を通すだけです。ドイツ表現主義を学んでいく上で、表現主義が時代遅れになる時期に組織された教育機関、そこで表現主義から構成主義または生産性を高める機能主義へと変換していく歴史の流れを体験した教育機関として「バウハウス」は避けて通れぬ存在です。自分にとって魅力ある芸術家であるカンデインスキーやクレーが教壇に立ち、すべてが建築に総括される学校が「バウハウス」です。建築やデザイン、表現主義や構成主義などこれほど魅力的な学校はありません。時間があると書棚に手を伸ばし、何冊かある「バウハウス」の本の頁をめくっては眺めています。自分の造形の原点になっているように思います。
    成人の日に思うこと
    三連休の最終日は成人の日でした。外はかなり寒く曇っていましたが、教え子たちは式典に出かけたはずです。自分の時の成人の日はどんな過ごし方をしたのか覚えていません。着飾って出かけた記憶がありません。彫刻をやっていたのかも…。周囲から大人といわれても実感がなく、突然成長するものでもないと思っていたことは覚えています。ただ今日という日は大人を自覚をする契機になればよいと思います。大人って何だろうと考えるのもよいと思います。自分にとって大人とは社会を意識することでした。社会の中で生きていくこと、自分が中心ではなく他者の存在を認めることが即ち大人でした。自分にとって大人とは何かを自分のコトバで自分に言い聞かせることだと思います。他人の受け売りでは当事者意識は芽生えません。ただし、自分はこの歳になって逆に「コドモゴコロ」を忘れずにいたいと考えています。すべてを先入観や固定観念で見てしまいがちな大人ですが、そこのところだけは新鮮な視点をもつべきかなと思います。              Yutaka Aihara.com