2020.08.04 Tuesday
一日1点ずつポストカード大の平面作品を作っている総称をRECORD(記録)と言っています。2007年2月から一日も欠かさず毎日制作していて、今年で13年目を迎えます。陶彫による集合彫刻を作り出したのは、30年以上前になりますが、今やRECORDも彫刻に匹敵するくらいの表現媒体になっています。私が50歳になった時に、彫刻とは異なる世界を創ってみたいと思って始めたのでしたが、試しに暫く続けてみようかなぁと思っているうちに、今まで継続してしまったというのが実感です。最近は生涯の友として意欲が萎えるまでやっていこうとしていて、止めるに止められない意地か見栄のようなものがあって、気持ちが突き動かされるのです。毎日のことなので、もっと気楽なデザインでもいいのではないかと思うこともありますが、下書きを描いているうちに自分の気楽さが許せなくなり、どんどん構成を追求してしまうのが私の癖です。私はなんと生真面目で生き辛さを持った人間なのだろうとホトホト自己嫌悪に陥っていますが、夜になると睡魔が襲ってきて、構成の追求がままならない状況です。下書きで一日のやるべきことが事切れてしまい、完成まで達することが出来ないのが悩みです。加えて自宅のリフォーム工事がRECORDの仕事場を奪ってしまっていた時期があって、下書きだけが今も山積みされているのです。この夏はRECORDの下書きを仕上げまで持っていこうという目標を立てました。今月に入ってからRECORDの追い込みに拍車をかけています。昼間の仕事が少なくなる夏の時期だからこそ可能な制作目標です。夕方から彩色をしたり、仕上げのペンを入れたりと夕食前に時間を惜しんで制作しています。下書きがあるので土台からイメージする必要がありません。この時期にどのくらい解消できるのか分かりませんが、頑張っていきたいと思っています。
2020.08.03 Monday
横浜駅に隣接するそごう美術館で「スーパークローン文化財展」が開催されています。これは東京藝術大学で開発された高精度な文化財再現技術で、スーパークローン文化財と呼んでいるのは、最先端のデジタル技術に、人の手わざや感性を取り入れた伝統的な模写技術を駆使しているからです。スーパークローンとしてオリジナルを超越し、新しい価値をそこに創ることは、単なる模写と違い、文化を継承する手段としては最高のものを提供してくれるだろうと察しています。展覧会に並べられた文化財再現作品は、成程素晴らしいものばかりで、丹念な調査を基に緻密に模写された造形に感動を覚えました。テロリストによって破壊されたバーミヤン東大仏の壁画の復元など、シルクロード文化財の再現作品の数々の展示がありました。さらに私が関心を持ったのは、法隆寺釈迦三尊像の再現でした。法隆寺の中で見るお馴染みのアルカイックスマイルの仏像でしたが、再現された像がそごう美術館にありました。ビデオにその鋳造の場面が映し出されていて、職人による工程を見ていると暫し時間を忘れてしまいました。法隆寺金堂壁画の消損前の縮小再現作品では、その神々しい図柄に我を忘れました。囲いのあった高句麗の「四神図」の展示で、家内はゾクっとしたと言っていましたが、一人ずつ入る小部屋の内部は「朱雀」「玄武」「白虎」「青龍」が四方それぞれの石壁に描かれている状況を、まさにクローンとして再現されていて、私も不思議な感覚を持ちました。昨年訪れた大塚国際美術館のタイル画による名作再現にも驚かされましたが、今後はこうしたスーパークローン文化財の需要はますます高まっていくと考えられます。人類が残した貴重な文化財が、時空を超えて私たちの眼の前に現れる体験は、幸福な瞬間と言えるでしょう。
2020.08.02 Sunday
今日は朝から工房に篭りました。新作の3点目の陶彫部品の成形を行ないました。現在は床から立つ直方体を作っています。比較的大きめな直方体を立ち上げましたが、今後は大小さまざまな直方体を考えています。大きめな直方体は2段目も作ろうと思っています。積み木のように陶彫部品を積んでいく予定です。高層ビルが並び立つ状況がイメージにあります。その土台となるものは厚板材を加工して作るつもりです。厚板材は昨日、建材店で購入してきましたが、そのうち追加購入もあります。新作の出発点としては、まだまだ先が見えず、今のところは陶彫部品をひとつずつ作りながら、これでいいのかどうか確認しているところです。頭の中に設計図はあっても、彫刻は素材感を伴うので実体として目に見えるリアルがないと判断が出来ません。アナログの極めつけの世界とでも言いましょうか。私が存在とは何かを問う哲学に惹かれるのはこんなところにあるのかもしれません。今まで曲面を有する陶彫部品を作り続けてきましたが、直方体も面白いなぁと思うようになりました。曲面形態は動物的であったり、植物的な動きが出て、全体として有機的な生命体を印象づけました。今回は直方体が基本となるので、今までのような動きは表現できません。陶の醍醐味は曲面にあると今までの私は考えていたので、これはちょっとした挑戦になるのです。直方体なら金属でも制作可能です。それを敢えて陶で表すのにはそれなりの理由があります。それは定規で引くハードエッジな線や面ではなく、あくまでも人の手によって作り上げる、真っ直ぐな線や平たい面から得られる微妙な歪みや緊張感なのです。人の手が及ばない焼成がある陶彫を使って、何も幾何形体を作ることはないのではないかと思われるところですが、私は彫刻を魂の産物と捉えている古風な作り手なので、人の手で何とかモノにしたいと思っているのです。今日は梅雨明けの夏空が広がり、工房は蒸し風呂のような暑さになりました。毎週来ている美大受験生もいました。夕方、暑さに耐えた彼女を車で家まで送っていきました。
2020.08.01 Saturday
週末になりました。今日から8月です。梅雨明けが遅れ、先月末までぐずついた天気が続いていました。8月は5日間の夏季休暇が取得できます。7日あたりから翌週にかけて夏季休暇を取ろうと思っています。毎年アジア各地や国内に旅行に行っていましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で今年は旅行に行きません。その代わり美術館等へ日帰りで出かけたいと思っています。今月は新作になる陶彫を只管作ること、その陶彫部品を設置する土台も試しに作ってみることを彫刻制作では目標に掲げたいと思っています。さらに今月に限って彫刻制作より重きを置いているのはRECORD制作です。今月は下書きの山積み解消を目標にします。今までになく制作が遅れているため、これを放置できない状態になってしまいました。今年は色彩をテーマにしているので、アクリルガッシュの不足が心配ですが、画材店に行った折に多めに仕入れてこようと思っています。RECORDは一日の勤務が終了し、夕食の後で制作するのが習慣になっていますが、今月は昼間に制作時間を取ります。夏季休暇も利用します。もうひとつ、久しぶりに書店に行って書籍を購入したいと思っています。今取り組んでいる書籍があるので、新しい書籍は買ってすぐ読めるわけではありませんが、自宅リフォームの際に大きな書棚を設えてくれたので、そこに空いた棚があり、こんな書籍があったらいいなぁと希望しているのです。今日は新作のための厚板材を購入してきました。横浜そごう美術館で今日から始まっている「スーパークローン文化財展」にも足を運びました。この詳しい感想は後日改めます。夕方工房に行って、明日の陶彫成形のためにタタラを数枚準備してきました。8月になって、初っ端からいろいろ出かけてしまい、愈々気分を入れ替えることにしました。今月も頑張っていこうと思っています。
2020.07.31 Friday
7月の最後の日になり、今月を振り返ってみたいと思います。タイトルに社会情勢としたのは、新型コロナウイルス感染拡大が続いており、首都圏では感染者が増え続けている状況で、東京を除外した「Go Toキャンペーン」のトラベル事業が始まり、不安と隣り合わせの1ヶ月だったことで、こうしたタイトルを思いついたのでした。今月は私の個展開催もありました。来廊者数は例年の3分の1程度で、それでもよく東京銀座に足を運んでくださったと感謝しています。私にとって個展開催は創作活動上のターニングポイントであることは間違いありません。造形思索は継続しているものの、ここで作品制作の本腰が新作に移っていきます。今月は美術館等へは行かず、残念ながら鑑賞は出来ていません。そろそろ美術館へ行きたいという思いは募っています。来月こそは充分感染症の自己防衛をして美術館へ行こうと思っています。一日1点ずつ作っているRECORDは相変わらず厳しい状態で、下書きの山積みが増えてきています。来月は夏季休暇はあっても旅行に出る予定がないので、RECORD制作に集中しようかなぁと考えています。RECORDは小さい平面作品ながら陶彫による集合彫刻に匹敵する作品群で、10年以上も一日も休まず作り続けている表現媒体です。夕食後にRECORDに立ち向かうと睡魔に襲われ、下書きが終わると瞼が落ちてしまうのです。このNOTE(ブログ)とRECORDという夜の仕事はなかなか苦しいものになっていて、加齢のせいとは思いたくないのですが、以前に比べると確実に気力が萎えているのが分かります。それでもRECORDを止めようとは思っていません。読書では彫刻家イサム・ノグチの生涯を描いた書籍と、論理学に関する難解な書籍を交互に読んでいます。これは来月も継続です。とくにフッサールによる論理学の書籍は、その世界に入り込まないと理解力が覚束ないのです。自宅で気持ちが緩んでいる時には到底読めるものではありません。これは職場に出てきた時に読むようにしようと思っています。来月も頑張ろうと思います。