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  • 東京小金井市の「江戸東京たてもの園」散策
    今日から飛び石で夏季休暇の5日間を取得することにしました。今年の夏季休暇は例年のような旅行は控えています。新型コロナウイルスの感染拡大が今も猛威をふるっているため、地方へ出かけることは止めました。まして海外などあり得ない話です。夏季休暇初日の今日は、東京小金井市にある「江戸東京たてもの園」に行ってきました。以前、家内が友達と出かけて楽しかったと言っていたので、家内を案内役にして車で出かけました。私は建築が好きなので、きっと私が気に入るだろうと家内は言っていましたが、まさにその通り、暑さを忘れて移築された有形文化財である建造物群を楽しみました。暑さを忘れてと書いたのは、今日熱中症警戒アラートが東京都で発令されていて、野外を歩く際には水分補給などの注意が必要でした。場内アナウンスも熱中症や三蜜を避けるように注意喚起を呼びかけていました。ただ週末ごとに工房で汗を流している私には、今日の暑さはあまり身体に応えず、寧ろ気軽に場内を歩き回っていました。豪農であっただろう藁葺きの母屋は、川崎にある民家園でよく見かける構造になっていました。ここでは明治の頃に建てられた西洋風の間取りを取り入れた家屋に興味が湧きました。商店や大衆風呂がある一角も面白いなぁと思いました。その中でもとりわけ興味関心があったのは、建築家前川國男邸でした。外観は切妻屋根の和風に見えますが、左右対称の極めてシンプルな構造になっていて、内部は吹き抜けの居間が中央にあり、そのモダンさに憧れにも似た気持ちになりました。当時の建築の記録が残っていて一冊にまとめられているので、早速購入してきました。その報告書を基に改めて感想を述べたいと思います。ともかく暑い日だったので、昼食はエアコンの効いたデ・ラランデ邸1階にあった喫茶室に寄りました。そこでカレーライスとデザートを注文しました。私は今年初めてのカキ氷を食べましたが、氷がフワフワしていて美味しいと感じました。家内はカキ氷の中にアイスコーヒーを入れる洒落たデザートを食べていました。インスタ栄えのする食事に舌鼓を打って、充実した一日を過ごしました。明日は工房で陶彫制作を頑張ろうと思います。
    8月RECOERDは「苔」
    今年のRECORDの年間テーマは色彩です。西洋の色相環に代表される基本的な12色の他に、日本には和色大辞典があって情緒のある色彩名が並んでいます。アクリルガッシュにはそうした日本の色彩名がついた絵の具のシリーズがあって、画材店に行くと目移りがします。アクリルガッシュを入れた私の収集箱には、徐々に日本の色彩が増えてきて、それを眺めているだけでも幸せを感じます。8月のRECRDのテーマを「苔色」にしました。苔は京都の寺院の庭園で大切扱われているコケ類(コケるい)や蘚苔類(せんたいるい)、蘚苔植物(せんたいしょくぶつ)の総称を言うようです。湿気の多いところを岩石面を覆うように苔は生え、寺院の庭園一面に広がる苔は美しい景観を齎せてくれます。「苔むす」という言葉は悠久の時間を示すもので、国歌「君が代」の歌詞にも登場しています。そんな微妙な色彩を扱うには、周囲の状況も描かねばならないと思っています。実際の苔を見ると同時に、日本画に表現された古木や岩に存在を示す苔にも注目していきたいと思っています。苔を描くことで風景が幾星霜にもわたって続いてきた自然のありさまを表現しているのでしょうか。日本には潤いのある自然があり、苔むした石に私たちは情緒を感じてきました。苔の暗く翳った色彩は、まさに日本の色彩と言えます。
    私にとって創るとは…
    つくるという漢字表記は3種類あります、作る、造る、創るの3種類ですが、このNOTE(ブログ)で私が言いたい主旨なら、創るという漢字が一番相応しいと思っています。創るは創造行為を示すものだからです。私は週末には工房で彫刻をやっていて、ウィークデイの夜には自宅でRECORDと称する小さい平面作品をやっています。昼間は横浜市の公務員として働いていて、人々によって構成される組織を動かしています。ここでは人と人との繋がりが極めて重要で、コミュニケーションで業務が成立していると言っても過言ではありません。仕事の性質上テレワークが出来難く、コロナ渦の緊急事態宣言が解除されてからは全員が出勤してきています。こうした職場なのでコロナ渦の影響は決して小さいものではありませんでした。現在も判断に迷う場面が多々あります。ところが私の創作活動はこれとは真逆で、コロナ渦の影響は全くありません。人との繋がりが極めて薄く、普段から孤立無縁な状態で作業をしているからです。せいぜい1年に1回開催している個展で、人とコミュニケーションをとるくらいです。創作活動全体から言えば90%以上は、一人で引き篭もり状態です。夏になって漸く創作活動の結果を携えて東京銀座に出かけているので、これが残りの10%だろうと思っています。私にとって創るとは何なのか、一人でイメージを起こし、一人でイメージを具現化し、作品にまとめ上げる行為は一体何なのか、今夏はコロナ渦の影響で個展に来る人が少なく、そんな中で考えたことは、持続する造形思索があれば、それで良しとした自分の思考回路です。それはどんなところから発想したものだろうと改めて思い返しているのです。創作活動に意味を見出そうとすれば、現代の社会情勢やらアートの歴史を達観すると、自分がこんなことをやっている意味があるのかどうか、分からなくなってしまいそうで、一種の虚無感に襲われることもあります。そこは敢えて考えず、自分が面白いと感じたから創るだけなんだと自分を言い聞かせているのも確かです。私にとって創るとは、とどのつまりは自己満足なのかもしれません。
    RECORD追い込み
    一日1点ずつポストカード大の平面作品を作っている総称をRECORD(記録)と言っています。2007年2月から一日も欠かさず毎日制作していて、今年で13年目を迎えます。陶彫による集合彫刻を作り出したのは、30年以上前になりますが、今やRECORDも彫刻に匹敵するくらいの表現媒体になっています。私が50歳になった時に、彫刻とは異なる世界を創ってみたいと思って始めたのでしたが、試しに暫く続けてみようかなぁと思っているうちに、今まで継続してしまったというのが実感です。最近は生涯の友として意欲が萎えるまでやっていこうとしていて、止めるに止められない意地か見栄のようなものがあって、気持ちが突き動かされるのです。毎日のことなので、もっと気楽なデザインでもいいのではないかと思うこともありますが、下書きを描いているうちに自分の気楽さが許せなくなり、どんどん構成を追求してしまうのが私の癖です。私はなんと生真面目で生き辛さを持った人間なのだろうとホトホト自己嫌悪に陥っていますが、夜になると睡魔が襲ってきて、構成の追求がままならない状況です。下書きで一日のやるべきことが事切れてしまい、完成まで達することが出来ないのが悩みです。加えて自宅のリフォーム工事がRECORDの仕事場を奪ってしまっていた時期があって、下書きだけが今も山積みされているのです。この夏はRECORDの下書きを仕上げまで持っていこうという目標を立てました。今月に入ってからRECORDの追い込みに拍車をかけています。昼間の仕事が少なくなる夏の時期だからこそ可能な制作目標です。夕方から彩色をしたり、仕上げのペンを入れたりと夕食前に時間を惜しんで制作しています。下書きがあるので土台からイメージする必要がありません。この時期にどのくらい解消できるのか分かりませんが、頑張っていきたいと思っています。
    横浜の「スーパークローン文化財展」
    横浜駅に隣接するそごう美術館で「スーパークローン文化財展」が開催されています。これは東京藝術大学で開発された高精度な文化財再現技術で、スーパークローン文化財と呼んでいるのは、最先端のデジタル技術に、人の手わざや感性を取り入れた伝統的な模写技術を駆使しているからです。スーパークローンとしてオリジナルを超越し、新しい価値をそこに創ることは、単なる模写と違い、文化を継承する手段としては最高のものを提供してくれるだろうと察しています。展覧会に並べられた文化財再現作品は、成程素晴らしいものばかりで、丹念な調査を基に緻密に模写された造形に感動を覚えました。テロリストによって破壊されたバーミヤン東大仏の壁画の復元など、シルクロード文化財の再現作品の数々の展示がありました。さらに私が関心を持ったのは、法隆寺釈迦三尊像の再現でした。法隆寺の中で見るお馴染みのアルカイックスマイルの仏像でしたが、再現された像がそごう美術館にありました。ビデオにその鋳造の場面が映し出されていて、職人による工程を見ていると暫し時間を忘れてしまいました。法隆寺金堂壁画の消損前の縮小再現作品では、その神々しい図柄に我を忘れました。囲いのあった高句麗の「四神図」の展示で、家内はゾクっとしたと言っていましたが、一人ずつ入る小部屋の内部は「朱雀」「玄武」「白虎」「青龍」が四方それぞれの石壁に描かれている状況を、まさにクローンとして再現されていて、私も不思議な感覚を持ちました。昨年訪れた大塚国際美術館のタイル画による名作再現にも驚かされましたが、今後はこうしたスーパークローン文化財の需要はますます高まっていくと考えられます。人類が残した貴重な文化財が、時空を超えて私たちの眼の前に現れる体験は、幸福な瞬間と言えるでしょう。