2020.05.31 Sunday
毎年、この時期に個展の図録用に彫刻作品の写真撮影を行っています。数えればもう15回目になりますが、この日が新作のゴールになるため、私は朝から気持ちが休まることはありません。集合彫刻である私の作品は、今日漸く完成して初めて組み立てるのです。つまり完成作品の全貌が見られる最初なので、私にとってファーストインパクトがどうなのか、そこで一瞬にして作品の良し悪しを私自身が決定づけてしまうことになるのです。陶彫部品を構築することに慣れているとはいえ、作品が最初のイメージ通りになっているのか、造形的主張はブレずに出ているのか、成功か否かの判断を下すことにもなります。大抵はほぼ成功し、そこそこ満足できる結果になりますが、課題もまた見えてきます。だからこそ次へ繋がることにもなると言えます。今回も例外はなく全体的に上手くいったと思っています。陶彫の動きが一層生物的になり、地中海の遺跡から発想した当初のイメージは、10年以上も経過して別の要素が加わり、地下に蔓延る生命体のようになってきたと感じました。地を這うモノが廃墟と化した架空都市を覆っていくイメージは、「発掘~聚景~」の根幹を成すものです。逆にテーブル彫刻「発掘~突景~」は三角形を基本とする中空に浮かんだ物体をイメージしました。今日は朝から男性アーティストが2人、女性アーティストが1人、美術に関係した高校生3人、家内と私、それにカメラマン2人の合計10人で作業を行いました。今までの撮影日の中では最も多い人数が集まりました。まずは駆けつけてくれたスタッフの皆さんに感謝申し上げます。皆さんの協力なしでは私の作品は組立てられないのです。調子の良いことを言えば、この人たちが個展の搬入と搬出に関わっていただければ、個展の準備もスムーズにいくと思っています。またこの人たちが私の工房を利用していることもあって、それぞれが異なる素材を使って創作活動を展開しています。こうした関係は大切で、お互い励まし合っていきたいと願っています。
2020.05.30 Saturday
母は4月7日に他界し、4月13日に葬儀を行いました。享年94歳。大正、昭和、平成、令和を生きた人でした。今日は我が家の菩提寺である浄性院で四十九日法要を行いました。葬儀の時よりやや多い人数で法要を行い、母の遺骨は墓石の下に収められました。それまではリフォームした1階自宅のダイニングの大きな窓の近くに母の遺骨を置いていました。母はどうやら大往生で成仏したらしく、自宅のダイニングに遺骨があっても不自然な雰囲気はありませんでした。魂入れをした位牌は新しく購入した小さめの仏壇に納めました。人には必ず終焉がやってくるのを改めて認識し、その時までをどう生きるのかを私は何度も考えていました。それは社会人としての自分よりも、創作者としての自分の方が生涯を振り返った時に、生命の輝きを感じさせてくれるのではないかと思っているのです。私は公務員なので必ず退職がやってきます。組織を動かしていた自分はそこで終了します。仕事で繋がっていた仲間もほとんどが職場だけで終わりになり、私を含めてそれぞれが次のステップに進むのです。退職後は家計を支えることから解放され、単純に生きがいを感じさせてくれるもの、私にとっては創作活動ですが、そこに居場所を見つけて人生を謳歌していくことになります。母の四十九日法要で、自分なりの今後の人生をイメージしたところですが、そのイメージが今日は隣り合わせになっていて、明日は作品の図録用の写真撮影を行ないます。そのための準備が必要で、実際には法要の前後に工房に行って、陶彫部品のナンバリングをしていました。朝6時から9時まで接合用ボルトナットの塗装をしました。法要から帰った午後12時半くらいから夕方6時までは和紙に押印したものに番号を書きいれ、陶彫部品の見えない箇所に貼りつけました。家内にテーブル彫刻の組み立てを手伝ってもらいました。柱に補強具が必要なことが分かりました。何とか明日の撮影には漕ぎ着けられそうですが、まだ修整ができていないところがあります。それは撮影には問題なさそうなので、とりあえず今日の準備はこれで終わりにしました。
2020.05.29 Friday
今日は5月の最終日ではありませんが、今月のことを振り返ってみたいと思います。5月末は週末で、明日の土曜日は母の四十九日法要があり、明後日は図録用の作品撮影日になっていて、そのことについてNOTE(ブログ)に書こうと思っているため、今日は2日早いのですが、外出自粛の5月を振り返る機会にしました。今月はゴールデンウィークがあり、さらに週末に加えて在宅勤務の際にも工房に足を運びました。制作時間は例年より確保されていたように思いましたが、最終的にはかなり慌ただしくなってしまったのが不思議でなりません。それでも何とか個展に出品する作品を揃えるところまできました。通常なら日々の仕事に追われ、しかも鑑賞に美術館や映画館に行っているわけですが、今回は外出自粛のためそれも出来ず、創作活動一本に絞って取り組んだはずなのに、余裕はまるでありませんでした。亡き母の用事として仏壇や位牌を選んだり、母の年金の手続きもしてきました。また自宅のリフォーム工事の最終チェックもあって、私的にもけじめがついた1ヶ月だったと思っています。そんなことが相まって妙に疲れた1ヶ月でしたが、職場が新型コロナウイルス感染防止のためにさまざまな対応を迫られたのも、ずっと後まで記憶されるのだろうと思っています。RECORDは厳しい状態が続いています。下書きの山積みが大きくなっていますが、図録用の撮影が終わったら、気を取り直して頑張ろうと思っています。読書はイサム・ノグチ関連の書籍を持ち歩いていますが、読書時間が不定期なため、なかなか進みませんでした。来月こそ今月の足りなかった部分を挽回していこうと思っています。
2020.05.28 Thursday
新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために緊急事態宣言が出され、横浜でも漸く解除に漕ぎつけたところです。職場も来週からほぼ通常通りになりますが、新たなクラスターが発生しないように万全な構えでいきたいと思っています。仕事が縮小され、在宅勤務が始まったところで、仕事に全てを費やしてきた人たちは、どうしていいのか分からない事態になったようです。私の職場でもそういう人はいるのではないかと思っています。私たちの職種は、家庭を顧みず仕事に打ち込む人が顕著に目立っているため、超過勤務時間がマスコミで話題になって、働き方改革を進めるように本部から通達があったのでした。そこで考えたことですが、果たしてこの外出自粛の期間は失われた時間なのでしょうか。家族との会話を取り戻し、自分にとって何が本当に必要なのか、自分が満足し、幸福を感じられるものは何なのか、改めて考えてみる時間が与えられたとすれば、緊急事態宣言の出された期間も不幸中の幸いと言っても差し支えないのではないでしょうか。私は社会人になった時から仕事一途な人間ではありませんでした。この職種にいると私みたいな人間は少ない方で、確かに仕事は面白いし、自分の頑張りが結果に繋がる職種であるため、仕事に埋没してしまう傾向があります。これは他の職種よりも幸せなことで、仕事のために全てを犠牲にした生活になってもおかしなことではありません。私は自己表現を自分の礎にして生きてきたので、仕事の組織とは別に自分の世界を持っていて、それが仕事一途な人間とは別の生き方を私に提供してくれていたのです。私にとって緊急事態宣言の出された期間は、天から与えられた時間と感じ、決して暇ではなく充実したものでした。私の生き方は間違ってはいないと今更になって再確認させてくれた自粛期間でした。
2020.05.27 Wednesday
私は個展の度に新しい図録を用意しています。図録は大きさも頁数も決めてあって、毎年内容だけを変えているのです。今年で15冊目になります。カメラマンによって撮影され、全頁カラー版にしているのは理由があります。私の彫刻は集合彫刻で、陶彫部品を組み合わせて自分の世界観を表現しています。作品を組み立てるのには多くの人の手が必要で、そのためにスタッフに声をかけているのです。個展の搬入や搬出でも多くの人の手を借りて、組み立てや解体をやっています。そうしなければ作品の全貌が見られないのです。図録をきちんと作る理由として、画像でないと作品が人に見せられないために作っていると言っても過言ではありません。今回の図録には新作「発掘~聚景~」と「発掘~突景~」に加えて小品「陶紋」の4点を掲載します。「陶紋」は通し番号で作っているので、52番から55番の作品になります。毎年同じ形式ですが、作品が異なるために毎年レイアウトを考えています。野外工房での撮影、室内工房での撮影、作品全体と部分の撮影、作品目録と私のプロフィール、さらにこのNOTE(ブログ)からの抜粋を3日分選んで載せています。3日分はそれぞれ彫刻制作に纏わるものばかりを選んでいますが、その時読んでいる書籍やタイムリーな事柄も含まれます。母の死去や新型コロナウイルスについても若干触れている箇所もあります。これが契機になってこのNOTE(ブログ)を読んでくださっている人もいると聞いています。私の造形作品もNOTE(ブログ)も勝手気儘なものなのに有難い気持ちでいっぱいです。何とか来月の個展が開催できるといいなぁと思っている次第です。