2019.11.08 Friday
一昨日、地元にある横浜美術館で会議を行っていました。神奈川県全土から関係者を集めて開催した大きな会議でしたが、そこでウィークディにも関わらず、美術館の企画展に多くの鑑賞者が来ていたことを知り、私も企画展が見たくなっていました。会議中に抜け出して見に行くことは、主催者側の人間としてさすがに不可能でしたが、日を改めて行こうと決めていました。多くの美術館は金曜日に夜間延長があって、仕事帰りに立ち寄ることが出来ます。横浜美術館も例外ではなく、夜8時まで開館していて有難いなぁと思っています。週末に陶彫制作をしている私にとって、勤務時間終了後に人気の展覧会に立ち寄ることが出来るのは、本当に良い機会を与えてもらっていると感じています。今晩、勤務時間終了後に横浜美術館で開催中の「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」展に行ってきました。やはり夜間は鑑賞者もまばらで、ゆっくりと鑑賞することが出来ました。同展は印象派が中心ですが、現在通勤中に読んでいる「モディリアーニ 夢を守りつづけたボヘミアン」(ジューン・ローズ著 宮下規久朗・橋本啓子訳 西村書店)に登場する画家たちの作品が、オランジュリー美術館からやってきていたので、興味を持って見ることができました。モディリアーニも数点の油絵が来日していましたが、本展の目玉は何と言ってもルノワールだったと思いました。詳しい感想は後日改めます。日本人は本当に印象派が好きなようで、現代アートに比べるとさまざまな年齢の人が訪れていました。仕事の後で、瀟洒な未来都市であるみなとみらい地区にある横浜美術館に来るのは、何と贅沢なことか、美術館を出るとイルミネーションが輝いていて、観覧車も美しく彩られていて、夜の散策には絶好の場所だなぁと思いました。これで明日は週末の制作に突入できれば最高なのですが、明日は私の職場では休日出勤日に設定していて、通常通りの仕事が待っているのです。やれやれ。週末の制作はちょっとお預けで、もう一日仕事に頑張ろうと思います。
2019.11.07 Thursday
月曜日の夕方に新作第1号となる大きめの陶彫部品を窯に入れました。毎年やっている制作工程最後の作業ですが、同じ作業にも関わらず毎回緊張をしてしまいます。3日間陶彫部品を窯に入れ放しにして、今晩窯出しをしました。焼成中は毎朝出勤前に工房に行って、窯の温度を確認していました。私が所有しているのは電気窯で、温度が自動調整されているため、焼成中はずっと窯を見ていなくても大丈夫なのです。二足の草鞋生活を送っている私は、薪窯やガス窯のように温度調節が常に必要な窯は持てません。茨木県笠間に住む友人が窯内のゼーゲルコーンを見ながら一晩中温度調節をしている様子を見て、羨ましいなぁと思ったことがありました。また、酸化と還元を使い分ける手法にも私は憧れを持っています。私は自作では釉掛けをしません。昔、釉薬のテストピースを作る実験をしたことがあったので、ほんの僅かな釉薬が工房に置いてありますが、20年間まったく使っていません。釉掛けをしないのは陶芸として魅力が半減していますが、私はあくまでも彫刻の素材として陶土を選んでいるので、釉薬や焼成方法には拘りがないのです。私が作る陶彫が陶芸ではないもうひとつの特徴は、窯入れする時の窯内体積を考えずに作品を作ってしまうことです。窯内にはぎっしりと作品を詰めることが経済的にも有効ですが、陶彫は扱いにくい形態をしているので、たった1体で焼成をすることも多々あります。贅沢な窯内空間の使い方をしているなぁと思っていますが、こればかりは効率を考えるより、カタチ優先の陶彫では仕方がないことです。今年も漸く焼成が始まりました。陶彫の醍醐味でもある焼成は、人の手が及ばない工程ですが、それだけに不思議な魅力に惹かれてしまう自分がいるのです。
2019.11.06 Wednesday
一日1点ずつポストカード大の平面作品を作っていくRECORD。文字通り日々のRECORD(記録)で、その日のさまざまなことが記録されていきますが、時間がない中で制作をしているため、その効率を考えて5日間で絵柄が展開するようにしています。そうであるため通常の日記とは違い、内容がその日の気分に左右されることがありません。只管日常から離れてイメージに遊ぶのです。今月のテーマを「拡散の風景」にしました。現在のICT社会では、ネットによって個人情報が拡散していく恐れが常につき纏います。そんな悲惨な状況を描きたいと思ったのが最初の動機ですが、「拡散の風景」には私の個人的な別の動機もあります。私が20年以上も前に辿り着いた彫刻表現は、エーゲ海沿岸に残存する遺跡を礎に、古代出土品のような陶彫を組み合わせて表現するものでした。言わば集合彫刻だったわけで、都市構造は単体では表現できないと思ったのでした。それ以来、私はずっと集合彫刻をやってきました。陶彫部品をボルトナットで連結して、それによって大きな塊を構築してきました。現在の新作も集合彫刻です。最近、私は相反する要素もまた空間を解釈したり、演出する方法としてあるのではないかと思い始めていて、それなら集合の相反する要素として拡散も考えてみようと思っているのです。拡散彫刻、これは陶彫部品をバラバラにして空間に配置するもので、旧作では「構築~瓦礫~」と「構築~楼閣~」がそれに当たります。これをもっと大きなスケールでやってみたいと思っているのです。そのためのアイデアを今月のRECORDでやってみようとしています。明快なイメージはRECORD制作を容易にしてくれます。このところ調子の良いRECORDを楽しみながら継続していきたいと思っています。
2019.11.05 Tuesday
昨日、横浜市都筑区鴨居にあるエンターティメント系の映画館にアメリカ映画「ジョーカー」を観に行きました。ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞という話題もありましたが、何よりも衝撃的だったのは、アメリカ本国から伝えられた映画館周辺で警察が待機したというニュースでした。映画に共感した観客が犯罪に走るのではないかという不安は、映画を観ていて成程と思いました。舞台はゴッサム・シティという架空都市で、そこでは街が腐臭を放ち、貧富の差は拡大し、困窮者が暴力に手を染めていました。世界にそんな街が存在することは想像に難くないと思いました。主人公の道化師アーサー・フレック(ジョーカー)は、緊張すると笑いの発作が出る脳損傷があり、それでもコメディアンになる夢を捨てきれず、ピエロ派遣会社で仕事をしながら、その機会を狙っていました。同居の母親は心臓と精神を病んでいて、その介護もアーサーがやっていました。そこに出生に関わるさまざまな悲劇がアーサーを襲い、自分が養子であること、母の交際相手に虐待されて脳に損傷を負ってしまったこと等、動揺を抑えられない彼は入院中の母を窒息死させてしまいました。道化師の扮装のまま地下鉄に乗った彼は、さらに高慢な3人のビジネスマンに対して銃を発砲したのでした。街では富裕層を責めるデモが、3人を殺したピエロを英雄視して、一触即発の事態になっていました。いよいよアーサーがジョーカーになる動機や環境が整い、混乱した街の中で究極の愉快犯とも言うべき悪役が誕生したのでした。この映画の魅力は主役を演じたホアキン・フェニックスで、法を遵守する心優しい男が度々馬鹿を見て、その累加の上に法外の存在になっていく過程を見事に演じていたのではないかと思いました。監督のトッド・フィリップスの言葉に「この映画には、何もかも剥き出しにすることを恐れず、役柄に肉体と魂を捧げられる俳優が必要でした。」とあります。まさに主人公の身辺に起こる事柄がリアルと感じてしまうのは、俳優が役柄に真摯に向き合う力だと思います。映画には、近い将来バッドマンになるブルース・ウェインが子役で登場し、大富豪で実業家だった父と母がデモ隊のひとりに、ブルースの目の前で殺されてしまう場面がありました。アメリカンコミックの原作を所々辿りながら、荒唐無稽な闇のヒーローがどのようにして登場したのか、まさに勧善懲悪では伝えられない現代の問題を掘り下げていく内容を盛り込んだ映画だったと振り返っています。
2019.11.04 Monday
三連休最終日です。今日は文化の日の振替休日で、今月の三連休は今回だけです。因みに勤労感謝の日は土曜日に当たってしまうので、今年は三連休になりません。今日はまず朝8時から工房に篭りました。根の陶彫部品の3点目の成形を行い、昨日作った1点目の陶彫部品に彫り込み加飾を施しました。なかなか厳しいスケジュールでしたが、その分朝から集中して作業をやっていました。午後になって、第1ステーションの1点目の陶彫部品に、ブロックサンダーをかけて表面を整えて化粧掛けを行ないました。これは窯入れの準備です。新作の窯入れは今回が最初になります。新作の焼成第一歩はいつもながら緊張します。毎年同じ工程で、同じ素材を使っているのに毎回カタチが異なるので、上手くいくかどうか心配になるのです。窯入れをすると、明日から毎朝出勤前に工房に立ち寄って、焼成温度を確認して仕事に行きます。窯出しは木曜日になります。焼成は週2回やっていますが、今回は新作初の陶彫部品なので、まず1回目の窯入れをやってみて、その焼成具合を見ようと思っています。陶彫にとって、焼成は最終工程で窯出しをして完成となります。焼成ができていないとけじめがつきません。最後は人の手の及ばないところで、作品の良し悪しが決まるのです。今日は窯入れをしたところで工房を後にしました。夕方は家内を誘って映画鑑賞に行きました。常連にしているミニシアターではなく、今日はエンターティメント系の映画館に足を運びました。観た映画はいろいろ話題になっているアメリカ映画「ジョーカー」でした。悪役が主人公の映画とあって、犯罪に共感する人が増えるのではないかと、本国アメリカでは警察が出動する事態があったようですが、内容を観た感じでは犯罪を正当化するものではなく、貧困や格差社会を背景にした架空都市の物語でした。それでも現代に通じるものがあるために、荒唐無稽な演出ではなく、リアルな心理を描き出しているなぁと思いました。映画に関しては詳しい感想を後日改めて載せたいと思います。三連休は陶彫制作と映画鑑賞もあって充実していました。幸先の良い11月が始まったなぁと思っています。