2019.04.08 Monday
私の職種では、離任式はこの時期に行われる式典のひとつです。その式典の最中に若い世代の人たちから、離任する職員にお別れのコトバを贈られる場面があります。私は一般職員の頃から幾度となく別の職場へと異動(離任)をしてきましたが、若い人から贈られたコトバで、今日ほど度肝を抜かれたことはありませんでした。コトバを考える人の人選は私自身がやりました。通常は別の職員に任せるところですが、私はこの人にやって欲しいと考えていたのでした。彼女は文章では特筆できる能力を持っていて、発想が豊かです。現在、相原工房に出入りしている若いアーティストに続く世代で、彼女は造形美術に限らず、詩や随筆に才能を秘めています。離任式で贈られた文章を引用いたします。「多様な色が混ざり、マーブル模様を描いている様子は混沌としていて、最終的にどんな色になるのか想像もできません。今の私はまさにその状態です。いろいろな人に出逢っていくたびに影響を受けて、その人が持つ『色』を吸収します。初めは一色しかなかったパレットが、ゆたかな出逢いによって鮮やかな色で飾られていき、やがて溶け合うと一つの色になります。ですが私はまだその色が見えておらず、ぐるぐると回っているだけです。」この人の感受性に何かを感じないわけにはいきません。出合いを出逢いと書いていたのも彼女なりの理由があるのかなぁと思いました。私は彼女に「自分はどういう人間なのか見つけていこう」と話したらしく、その私の弁が語られていました。自己理解、これは表現者の第一歩です。彼女はまだ年齢が若すぎるので、これから知識を身につけながら感性を深めていくようにして欲しいと願うばかりです。私は彼女が一人で綴っている自己ノートを見せてもらいました。詩がそこにありました。まだ詩になれない溌溂としたコトバもそこにありました。彼女に限らず、敏感な感性の育成は周囲の人たちが行うべきだろうと思っています。恵まれた環境を用意してあげたいと思うのは私ばかりではないでしょう。
2019.04.07 Sunday
今日から今年の個展に出品するテーブル彫刻を作り始めました。テーブルの天板は既に切断してあって、今日は天板を支える木の脚をデザインしました。脚は3本で、全て曲面にしようと思っています。下にいくほど細くなっていくように彫っていこうと思います。テーブルから上に突き出た脚は、上にいくほど細くしていこうと思っていて、テーブルを支える中間部分は太めにしようと思います。曲面はきれいな線を描かず、やや凸凹な膨らみがあって、動物の筋肉のついた脚のようなイメージです。テーブルの上下に設置する陶彫部品も曲面を多用した造形で、テーブルの上に2個、下に2個を配置します。そんな彫刻を楽しみながら作っていきたいと今日は考えました。テーブル彫刻は今までに何点か作っていて、テーブルの上に広がる世界と下に吊り下がる世界とを繋げて一体感を図るようにしています。テーブル彫刻の今までに作った一番大きなものは「発掘~根景~」で、昨年7月に東京銀座のギャラリーせいほうで発表しました。「発掘~根景~」くらいの大きさになると、テーブルの上部は見えません。下に吊り下げられる陶彫部品が中心になった立体造形です。それに比べれば、これから作るテーブル彫刻は小さくて全体が把握しやすい立体造形です。テーブル彫刻は時間があれば雛型もたくさん作りたいなぁと考えています。現在雛型は2個ありますが、工房の棚に埃まみれになって置いてあります。もし雛形展なるものが企画されたら、テーブル彫刻の雛型連作が出来たら面白いだろうなぁと考えています。二束の草鞋生活を送っているうちは、とても無理ですが、そのうち実現したい夢のひとつです。
2019.04.06 Saturday
横浜市瀬谷区の職場に転勤してきて最初の週末ですが、職場周辺の地域行事があって午前中は職場に出勤しました。地域住民と一緒に近隣を散策するイベントで、「安全散歩の会」と称されていました。瀬谷区には瀬谷八福神めぐりがありますが、その一部になっているお寺を出発して、また最初のお寺に戻るコースでした。散歩道の中に大きな桜があり、満開の花をつけていて見事でした。好天に恵まれ、汗ばむような陽気でしたが、1時間程度を只管歩いて来ました。午後は家内と東京上野の美術館と博物館に行って来ました。東京都美術館で開催されていたのは「モダンアート展」で、昨年度まで私がいた職場の人が同展に出品していて、毎年招待券をいただいているのです。私も同じですが、仕事をしながら創作活動をやっていくのはなかなか大変です。彼は抽象絵画を描いていて、銅箔を貼り付けた画面と強烈な青の色面が特徴的な作風です。1年間に団体展やグループ展など数回の展示機会を得ています。時間が許す限り、私は彼の平面世界の展開を見にいこうと思っています。次に向ったのは東京国立博物館平成館で開催中の「国宝 東寺」展でした。私は職場の関係で1年に1回は京都を訪れています。昨年度は偶然にも東寺に行って、講堂に設置された立体曼荼羅を見てきました。東寺講堂で見る仏像群と博物館で見る仏像群は同じものとはいえ、印象はまるで異なります。一体ずつ丁寧に照明を当たられた仏像、しかも360度周囲を回りながら見られるのは、仏像に美術的価値を見出そうとしている私には有難い展示空間です。京都で見た時はじっくり鑑賞する暇もなく、空海が齎せた密教や曼荼羅のことを考えることもできませんでした。本展には立派な図録が用意されていて、曼荼羅の理解には欠かせない存在です。私は展覧会の図録を必ず購入します。学生時代、お金がなくて図録が買えなかった反動ですが、図録はしっかり読み込んでいきます。私は滅多に音声ガイドは利用しません。解説なしのファースト・コンタクトを大切にしていて、そこで受けた印象を、後になって図録で確認していくのです。鑑賞は、眼で見た印象と図録にある論評の双方で成し遂げるものだと私は考えていて、論評を踏まえた感想はこのNOTE(ブログ)に書いていきます。「国宝 東寺」展の詳しい感想は後日改めます。帰り道に上野公園の桜並木を見てきました。よくテレビで報道される場所ですが、土曜日ということもあって大勢の人が訪れていました。マナーを守るように大きなゴミ箱が設置されていて、救急車や消防車も待機していました。春の宵、多くの外国人観光客が目につきました。
2019.04.05 Friday
4月1日に転勤してきて、職場の雰囲気にまだ慣れていないのに、今日は大きなイベントを迎えることになりました。このイベントで一気に職場の仲間たちと親しくなれた気がしました。私は自分の職種をNOTE(ブログ)に書いていませんが、多くの同業者がNOTE(ブログ)を読んでくれているので、イベントの雰囲気は伝わるのかなぁと思っています。イベントはどこの職場でも流れが似ています。私は大きな混乱もなく、滞りなく今日の予定をこなしましたが、周囲への気遣いの疲れが出たようです。この1週間はあっという間に過ぎたように感じています。慣れない分かなり疲れているはずですが、実際のところ疲れた感じはしないのです。ただ、何となく気分がすぐれないので、今週は残業をしないで帰ることを心がけました。自宅ではぐったりしてしまうので、これを解消するためには、この職場に一刻も早く慣れて、肩肘張らずに仕事をしたいなぁと願うばかりです。通勤途中のコンビニで見つけた生ハムを挟んだパンや酢漬けのサラダがあります。昼食に買っていきますが、こうしたちょっとした楽しみが気分を楽にしてくれます。休憩時間には読書も出来るので、自分を失うことはありません。おまけに今日のイベントが過ぎれば、益々職場を身近に感じることができるので、私は大きなストレスを抱えずに済みそうです。職員は至って前向きな人が多いのに気がついてきました。これも嬉しい限りです。あとはチームワークはどうなのか、しっかり見ていきたいと思っています。明日は職場のある地域での取り組みがあって、週末ですが午前中出勤です。午後は家内と美術館散策でもしようかと話し合っているところです。
2019.04.04 Thursday
「対峙」とは相対して聳え立つことで、両雄が睨んでいる状態をイメージして、今月のタイトルにしました。最近のRECORDでは「対」というタイトルで、相対するモノを具現化して表現したことがありましたが、似たような表現になることは否めません。同じ要素でも作品は異なると私は考えていて、コトバのニュアンスの微妙な違いが造形に表れるのではないかと思っているのです。造形的なイメージを持ち易いコトバを選ぶと、過去のテーマに似てしまうのです。「対」や「対峙」は私が取っつき易いコトバのひとつで、私にしてみれば造形のバリエーションも豊富なのです。感情的なコトバは一見良さそうで、実は造形化する時に大変苦労することがあります。大きな意味を持つコトバも避けてしまいます。何でもありのテーマでは、そもそもタイトルを決める必要があったのか疑問を抱いてしまうからです。月々のタイトルは結構時間をかけて考えています。1ヶ月分を保つために、どのくらいイメージを展開できるのか、途中で苦しくなったりしないか、さまざまな場面を想定しながらコトバを選んでいます。現在のRECORDは下書きばかりが先行していますが、何かが対峙している風景を模索しながら、鉛筆と消しゴムを使って描いたり消したりしています。この線が気に入らないとか、ここをもう少し省いてみようとか、描き進めていくと対峙する風景とはお世辞にも言えない画面になってしまったり、1時間ほど奮闘しているうちに睡魔がやってくるのです。脇の棚に絵の具が仕舞ってあるのですが、そこを横目で見ながら、今日はここまでにしようと裏面に日付を記して、卓上にRECORD用紙を積んでしまいます。最近は山積みが次第に増えています。RECORDと自分、まさに対峙している風景だなぁと思っています。