2019.07.10 Wednesday
個展の案内状は遅くても2週間前までに郵送しなければならないので、印刷を急ぎましたが、図録は個展会場で配布するため、個展開催までに出来上がっていれば基本的には大丈夫です。ただし、私の職場では職員に予め図録を配ってしまうので、早めに届いてくれたら有難いと思っていました。私の二足の草鞋生活を職員に示すことで、仕事一辺倒の職員が、多少なりとも余暇を楽しめる環境を作ってほしいと願って、こんなことをしているのです。今回の図録は14冊目になり、出来るだけ演出を控えたリアルな画像で撮影してもらいました。室内風景の写真は、ロフトが出来て新しく昇降機がついたので、そこに作品を置いて撮影しました。大きな作品の部分カットの画像は、作品の説明的要素よりも、画面の構成や角度の意外性などに注目して選んだものです。新しい試みとしては野外工房の床面を水で濡らして撮影したことです。水に映る作品が面白みを与えてくれるのではないかと思いました。小品5点は作品そのものに水をかけています。陶も石と同じく素材に水をかけると雰囲気が変わって美しく映えるように感じます。撮影日が梅雨時であることを逆手にとって、水を有効に使った演出で、季節感のある図録にまとめることを念頭に入れていました。私は蓄積を楽しむ傾向があるので、14冊という図録の積み重ねが自己満足を助長してしまい、つい笑みが出てしまいます。ただし、創作活動の蓄積は満足を生むものではありません。今度こそ満足いくものを作ろうと思っても、どこか足りない気がしています。創作活動はそれでいいのではないかと考えますが、撮影も自分でやったらいつまでたっても満足出来ないものになってしまうと思っています。カメラマンにお願いして、彼らの感覚で撮ってもらい、他者のセンスで図録にまとめてもらうくらいがちょうどいいと思っています。図録が誇りに思えるのはカメラマン任せで作っているおかげなのです。
2019.07.09 Tuesday
通勤中に読んでいる「ヨーロッパの形 螺旋の文化史」(篠田知和基著 八坂書房)に影響されて、今月のRECORDは「螺旋の風景」というテーマにしてみました。螺旋や渦巻きは私の大好きなカタチで、RECORDにも度々登場しています。今月は設定を変えて螺旋や渦巻きばかりを毎日描いてみようと思っていて、飽きないようにあの手この手を考えているところです。螺旋や渦巻きはまとまりやすいカタチです。中心に向かっていくカタチは安定を与えてくれるからです。中心が失われると心理的な不安要素が出てきます。敢えて不安を掻き立てることを狙いとする芸術作品も多くあり、むしろその方が深遠な世界が覗けるとも考えられます。螺旋は上昇するカタチで、中世の絵画でテーマになっているバベルの塔もそのひとつです。「ヨーロッパの形 螺旋の文化史」に出てくるさまざまな螺旋形態を自作の中に取り込んで作品化できるといいなぁと思っています。動物が成長していく過程で、骨や筋肉などに捻りが見受けられます。人間は螺旋を描きながら成長すると学生時代の彫塑実習で教わりました。植物も同様で、よく観察すると茎や葉に捻りが見られます。まっすぐ天に向かって伸びていく植物もありますが、捻ったカタチが美しいと感じるのは私だけでしょうか。RECORDは陶彫制作のスケジュールが厳しくなったり、個展の準備が立て込んだりすると、忽ち影響を受けてしまいます。一日1点ずつポストカード大の平面作品を仕上げていく作業は、実は大変辛いものであり、その日の気持ちの持ち方や体調によっても左右されます。それを10年以上もやってきましたが、意地でも継続していこうとする意志が芽生え、RECORDは私のライフワークになっています。旅行にもRECORD用紙を携帯しています。
2019.07.08 Monday
先日、常連にしている横浜のミニシアターに映画「クリムト」を観に行ってきました。正式なタイトルは「クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代」となっていて、グスタフ・クリムトだけではなく、その時代背景や同時代を生きた芸術家を巡るドキュメンタリーになっていました。折しも東京都美術館や国立新美術館では日本オーストリア友好150周年記念として、クリムトを中心とする大きな企画展が開催されていて、私も東京都美術館の「クリムト展」を先月見てきました。映画では旧態依然としたウィーンの芸術界に新しい風を吹き込んだウィーン分離派をクローズアップしていて、その面白さを若い頃にウィーンで堪能してきた私には、あっという間に過ぎた上映時間という感じを持ちました。ウィーンは疑似古典様式の建造物が街の中心を飾っていて、20代前半でウィーンに暮らし始めた私には、西欧の歴史を感じさせる重厚な建造物群に圧倒されていました。そうした環境の中でクリムトやシーレの作品は、エロスやタナトスを描いていていたため、当時は物議を醸したであろうことは想像に難くないところです。S・フロイトの精神分析学もここで誕生しています。O・ワーグナーの合理的な近代建築やG・マーラーの音楽など、時代が変わっていく状況が準備されていたおかげで、近代都市ウィーンは現在の私たちにとって大変魅惑的な都市に生まれ変わりました。ここでクリムトとシーレについての論評を図録より引用いたします。「クリムトは人であれ、自然であれ、美しいものへの憧れを語った耽美主義の人であり、装飾的な美しさによって美の王国を築き、そこに安住の地を見出した世紀末のデイ・ドリーマーであった。クリムトの生涯の半分の28年の短い生涯を、奇しくもクリムトと同じ1918年(これは第一次大戦終焉の年でもあった)に終えたシーレは、快楽よりも苦痛に、外面よりも内面に、安らぎよりも不安に人生の真実を見た画家であった。」(千足伸行著)シーレの絵画はクリムトのそれより現代に近づいているように感じるのは私だけではないと思います。
2019.07.07 Sunday
週末とは言え、今日も昨日とは別のメンバーによる地域会議がありました。私は来週の搬入を控えていて、時間が足りない中で地域会議に出席してきました。その関係で今日も昨日と同じく早朝6時に工房に出かけ、梱包作業に精を出しました。梱包用木箱を構成する横板が無くなり、昨日中に日用大工センターに追加の板材を注文していました。地域会議が終わった後、板材を取りに行って、夕方から工房で作業の続きをやっていました。梱包がほぼ出来上がったのは夜7時を回っていました。それでも最終的なチェックが必要ですが、それは来週の土曜日に行ないます。今回は梱包で右往左往してしまいました。6月の図録用撮影日も陶彫部品がまだ窯に入っていて、作品完成前にジタバタしていましたが、作品が出来上がっても余裕が持てず、結局搬入を予定している次の日曜日まで休む間もなく過ぎていきそうです。搬入前日は一度立ち止まって、あらゆるものに目配りすることが大事です。確認作業を怠ると、とんでもない事態になることは過去の事例から学んでいます。組立ての手順、それに要する電動工具、接合金具、修整用の接着剤など、前日は個展の空間をイメージしながら準備していくのです。図録が出来上がってきたら、ギャラリーせいほうに届けに行かなくてはならず、搬入前にもう一度、東京銀座に足を運ぶことになりそうです。このところ連日の多忙で身体は疲労をしているはずですが、何故か疲労を感じずにいました。しかし今日になって胃腸の具合が悪くなった時間帯がありましたが、それも束の間で、作業をやっているうちに治ってしまいました。気持ちの頑張りが体力を超えたのでしょうか。明日から金曜日までは公務が待っています。まったく違う仕事をしていくのも、搬入に向う切羽詰った気持ちのクールダウンになりそうです。二足の草鞋生活は大変な面もありますが、意識せずに2つの世界のバランスを取っているのかもしれません。
2019.07.06 Saturday
週末になり、個展のために搬入の準備している最中ですが、職場の地域が座談会形式の会議を計画していたため、今日はこれに出席してきました。公務員と彫刻家との二足の草鞋生活では、こうしたことで時間のやり繰りが難しく、ある面では仕方がないところがあります。今週末はまとまった休みが取れないことが予め分かっていたためにウィークディの夜に工房に来て、梱包用木箱をコツコツ作っていたのでした。ウィークディは仕事から帰って1時間程度工房で作業し、さらに自宅の食卓でRECORDを制作している生活が続いていました。木箱作りもRECORD制作も身体が休まる状態ではないので、疲労が溜まっているかもしれないと思うこの頃ですが、何故かいつもより覚醒していて不思議な力が湧いてきています。今日は早朝6時に工房に行って2時間ほど梱包作業を行い、9時前に地域会議に出かけ、昼過ぎに帰ってきて、再び工房にやってきました。そこで1時間くらい梱包作業をやって、午後は家内と常連にしている映画館に出かけました。映画「クリムト」は前から観たかった映画で、今日しか時間が取れなかったので、思い切って出かけたのでした。映画を観終わってから、夜になってからもう一度工房にやってきました。そこで2時間の作業をやりました。今日は早朝2時間、昼に1時間、夜に2時間の通算5時間を費やして飛び石で梱包作業をやりましたが、短期集中で何とか今日のノルマは果たせたかなぁと思っています。実は明日も職場の地域で別会議が組まれていて、また早朝から工房に行こうと思っています。映画「クリムト」は副題が「エゴン・シーレとウィーン黄金時代」とあって、ウィーン分離派時代のクリムトやシーレを巡るドキュメンタリーになっていました。本作の制作はイタリアで、主演男優もイタリア人でした。映画の中ではエゴン・シーレの強烈な画家個人の自己分析とエロティックな世界観が印象に残りました。私は1980年から5年間ウィーンで暮らしていたので、その空気感を思い出し、時折微妙な気分になりました。映像の編集で街の捉えがこんなにもハイセンスでシャープになるのかと感じ、私はこんなにも新旧取り混ぜたヨーロッパの文化が濃厚に詰まった街にいたんだなぁと改めて振り返っていました。映画の詳しい感想は後日改めます。