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  • 10月RECORDは「そよぐ」
    一日1点完成させることを目標に、ポストカード大の小さな平面作品を作り続けて10年以上経ちました。この媒体をRECORDと総称しているのは日々のイメージの記録を刻みたいからで、どんな日でもどんな環境にあっても創るという行為を忘れないことを目的にしています。現在は仕事から帰って夕食を済ませた後、ポストカード大に切断したケント厚紙を取り出し、毎晩下書きを描いていることが習慣になりました。ただし、仕事で疲れた夜は彩色や仕上げまでいかず、下書きだけで終わってしまうことがあります。睡魔と闘いながらイメージを絞り出す作業は辛いものがありますが、それでも継続を誓っています。今月のRECORDのテーマを「そよぐ」にしました。秋が深まり、風が心地よい季節になりました。そんな空気感を伝えたいために爽やかなテーマにしたのです。天高く馬肥ゆる秋。晴れ晴れしたイメージを具現化するために毎晩苦しむのは可笑しな話ですが、今月も頑張っていきたいと思います。
    10月の制作目標
    新作のテーブル彫刻の制作工程は、現在のところ順調に進んでいます。陶彫は土練り、成形、彫り込み加飾、乾燥、化粧掛け、焼成という段階を踏んで制作が進むため、予め計画を練っておかないとならないのです。来年の個展は新作として4体のテーブル彫刻を予定していますが、そのうち一番大きなテーブル彫刻を現在作っているところです。一番大きなテーブル彫刻は、今年の7月に発表した「発掘~宙景~」の発展形です。テーブルの下に吊り下げられた陶彫部品に加えて床置きの陶彫部品があります。上と下から攻めていくイメージですが、床置きの陶彫部品には床に這わせる根を接合するための部分があります。根も陶彫で作り、四方に迫り出していきます。これも陶彫部品を連結していくつもりですが、全部で16個の部品が必要です。今月の週末だけで16個全てを作るのは不可能なので、とりあえず半分である8個の成形や彫り込み加飾を目指します。今月頑張らなければならないのはRECORDです。下書きだけが日々終わっている状態で、仕上げていない作品が増えつつあります。早いうちに仕上げたいと思っています。鑑賞は今月見たい展覧会や映画があるので、何とか時間を作りたいと思っています。加えて工房に出入りしている若いスタッフたちの大学で学園祭(芸術祭)があり、これにも行ってみたいと思っているところです。読書は継続ですが、故赤瀬川原平の過激な文章に先鋭的な面白さを感じています。今月も頑張ろうと思います。
    週末 10月になりました。
    10月になりました。今月の制作目標は後日書くとして、今日は新作の陶彫部品が次の段階に進みました。新作では大きなテーブル彫刻を作ります。テーブルの下に陶彫部品が吊り下がりますが、それは既に出来上がっています。テーブルから吊り下がる陶彫部品と床から立ち上がる陶彫部品があって、そこをどう繋いでいくかがこの作品のポイントになります。床から立ち上がる陶彫部品の一番下に設置する6個の部品は、成形と彫り込み加飾が終わっていて乾燥を待っている状態です。6個の部品から4本の陶彫の根を床に這わせようと思っていて、次の段階というのはその根の部分を作ることです。昨日まで作っていた6個の部品に比べれば、やや小さな部品になりますが、成形にかかる難易度や手間はなかなかのもので、今日は早朝から取り組んで、午後2時になって漸く1個目の成形が終わりました。彫り込み加飾はまたウィークディの夜になりそうです。根は一本につき4個の陶彫部品を連結する予定なので、4本の根を作るのには16個の部品が必要になってきます。今月はそれをどこまで作るのか、目標を立てる際に考えていきたいと思います。今日の午後は、工房に出入りしているスタッフの一人が多摩美術大学アートテーク・ギャラリーで開催している「ポガティブ」展に出品しているので、もう一人のスタッフを連れて見てきました。工房から車で1時間10分で、同大八王子キャンパスに到着、最近出来上がったばかりの新校舎の1階にあるギャラリーに向かいました。ギャラリーは広々とした美しい空間で、それぞれの作品が映えていました。彼女の作品は音響を視覚化した微細な空間を獲得していて、今までの染めの作品の発展形とも言える新作でした。まだまだ伸びしろがある若いアーティストをこれからも応援していきたいと思っています。日曜日でほとんどの校舎は閉まっていましたが、彫刻棟のあたりを散策しました。石材や木材が積んである工房を見て回ると、自分は意欲が湧いてくるのです。いい刺激をもらえた一日でした。
    週末 9月を振り返って…
    週末になり、朝から工房に篭りました。9月の制作目標であった大きな陶彫部品は、6個とも成形や彫り込み加飾まで到達しました。陶彫は窯に入れて焼成してみないと完成とは言えないのですが、何はさておき制作目標が達成したことを喜びたいと思います。次はその大きな陶彫部品に接続する一回り小さな陶彫部品を作らなければならず、来月の制作目標にしていこうと思っています。今日の工房での作業は、6個目の陶彫部品の彫り込み加飾の仕上げと、次の陶彫制作に備えての土練りやタタラ作りを行いました。秋になり工房の窓から涼しい風が入ってきて、心地よい中で作業をしていました。今月は週末だけではなくウィークディの夜にも頻繁に工房に出かけ、彫り込み加飾をやりました。週末は職員の結婚式に呼ばれて福島県に出かけたり、地域行事があったりして、全てを制作に充てられたわけではありませんが、それでも時間を有効に使って目標とするところまで辿り着けたのではないかと思っています。RECORDは再び厳しい状況になりました。一日1点のノルマはやはり大変で、今も下書きだけが日々終わっていて、少しずつ制作途中の作品が山積みされています。来月は早いうちにこれを解消していきたいと思います。ウィークディに工房に行ってしまうと、自宅に帰った途端に睡魔に襲われて、RECORD制作に支障が出てしまうのです。どうもひと昔前の自分と今の自分は疲労度が違っているように思えます。鑑賞は充実した1ヶ月だったように思っています。美術館は「アルチンボルド展」(国立西洋美術館)、「ベルギー奇想の系譜」展(Bunkamuraザ・ミュージアム)その他に「二科展」(国立新美術館)や知人・友人が出品していた個展やグループ展にも足を運びました。映画は「少女ファニーと運命の旅」「ウィッチ」「パリオペラ座 夢を継ぐ者たち」(全てシネマジャック&ベティ)の3本を観てきました。読書は故赤瀬川原平の初期の頃の著作集を楽しく読んでいるところですが、青年時代の原平氏は少々理屈っぽい人だったのかもしれません。こうして書いていくと今月は結構頑張っていたなぁと思います。秋が深まる来月は制作や鑑賞にさらに精を出そうと思っています。
    映画「パリ・オペラ座 夢を継ぐ者たち」雑感
    常連になっている横浜のミニシアターには遅い時間帯に上映するレイトショーがあって、私は仕事から帰った後でミニシアターに行くことがあります。自宅から車で出直し、ミニシアター近くの駐車場に車を入れて、チケットを購入した後、レストランで夕食を取るのが習慣となっています。家内と一緒の時もあれば、一人の時もあります。「パリ・オペラ座 夢を継ぐ者たち」は家内と一緒に観に行きました。バレエに従事するダンサーやコーチ、振付家や芸術監督がそれぞれの立場で真摯に取り組み、映画全般を通してドキュメンタリーならではの鬼気迫る雰囲気がありました。エトワールとして選抜された上に立ち、それでも理想に近づけない葛藤があり、日々自己を追い込んでいくダンサーの姿勢は素晴らしいと感じました。稽古場に張り詰めた空気感は、彫刻制作にも通じるものがあり、精神的な意味で勉強になりました。パリ・オペラ座バレエ団は1661年のルイ14世の勅命によって創立され、ロシアから亡命した伝説のダンサーR・ルドルフが芸術監督を務めた時代がありました。この時に難解な技術と心理的解釈が取り入れられ、現在も踊り継がれているようです。現代的な音響や動きも取り入れられて、今やバレエはコンテンポラリーアートになっていると思いました。嘗て私がウィーンに住んでいた頃に国立歌劇場で初めてバレエを観て感激したことを思い出しました。その時はロシア・バレエ団が客演をしていましたが、身体が宙を舞う超絶技巧に時間が経つのを忘れました。映画「パリ・オペラ座 夢を継ぐ者たち」もあっという間に上映が終わった感じがしました。躍動する身体をずっと注視することにより、身体言語と言うべきか、私たち鑑賞者はダンサーの腕の角度や手の先のちょっとした動作に、訴えたい主張や表現を感じるようになります。滑らかに移動する身体は瞬時に変化し、ドラマ性をもつようになるのです。この映画でひとつ気になったことは、ダンサー各人がトゥシューズを自分で管理していたシーンでした。足首や足がバレエには重要な要素です。夢を継ぐために妙に現実的な仕草が印象的でした。