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  • 「みちのくの仏像」展
    東日本大震災で被災した東北地方の寺院に伝わる貴重な仏像が、東京国立博物館で見られると知って、先週金曜日の夜に出かけていきました。同展に出品されていた仏像で、まず眼を引いたのは岩手県天台寺から来た聖観音菩薩像です。鉈彫と言われる荒々しい鑿跡を残した表現で、顔や両腕は滑らかな処理がされているため、これは未完成ではないことがわかります。図録によると、鉈彫のような鑿目をはっきりと刻む表現の背景に、仏を刻む音を聴くことで功徳が得られるとする経典の記述があると掲載されていました。今まで鉈彫と言うと聖なる樹木より神仏が現れ出る表現とする解釈が行われてきたようですが、鑿の音を聴くことに意味を見いだすことが意外でした。東北の仏像と言うと当時都のあった京都から伝わった像で、どちらかというと素朴なイメージがつき纏いますが、実物を見ると決して鄙びた表現ではなく、堂々とした豊かな仏像群に眼が奪われました。円空の仏像が出品されていましたが、彫刻を略するいつもの円空流ではなく、細部まで作り込まれたもので伝統的な形式に則ったものでした。さまざまな印象を抱いた「みちのくの仏像」展でしたが、自分に強烈な印象を残した十二神将立像4点は、機会があればまた取り上げたいと思います。
    「眠れる森」のワイン登場
    先日、家内の従兄弟夫妻が経営するワイン会社の新作ワインにつけるラベルのデザインをやりました。アールヌーボー風の木版画で冬眠する動物たちを表現しました。そのワイン「ソレイユ メルロ 2012 ボア・ドルマン」が出来上がり、山梨県から送ってきました。黒壜に詰められた赤ワインで、芳醇な香りを漂わせています。ギャラリー関係の知り合いに贈ろうと思います。ラベルに関わる色彩の彩度はデザイナーにお任せしました。渋い朝焼け(または夕暮れ)のような雰囲気になり、レトロな味わいになりました。木版画の手作り感が生きていると自負しています。製造に関するコメントがラベルの下方に貼られていました。それによると山梨市産メルロー100% 生産本数619本だそうで、限定販売されるワインのようです。さらに「八幡地区自社畑のうち、変形垣根式の風畑産のみを通常より長く小樽熟成した良年だけの限定品です。ボア・ドルマンは仏語で眠れる森の意。熟成の眠りから覚めようとしているこのワインを冬の森に喩えています。プルーンシロップのような果実味とオーク由来の厚みをお楽しみください。無濾過のため澱が沈殿しますがワインの成分です。飲用適温18℃前後。木版画制作 相原裕」という一文が添えられていました。注文用に会社名を記しておきます。旭洋酒(有)山梨県山梨市小原東857-1 0553-22-2236
    週末 木彫は粗彫りから
    「発掘~群塔~」の土台部分になる木彫を始めました。先週末は木材を切断して、それぞれの場所に置きました。今日から鑿と木槌で彫っていくことになります。まず削ぎ落とす部分にチェンソーで等間隔に切り込みを入れ、刃渡り4センチの内丸鑿で落としていきました。今日一日で全部は終わりませんでしたが、木彫は2年ぶりだったので慣れるのに時間がかかりました。自分は木彫家ではありません。作品の必要に応じて木材を使い、木彫をしていくのです。昨年の作品は木彫部分がなく、全て陶彫によって作り上げました。今年の作品はかなりの比重を木彫が占めています。今日から毎週末は木彫に終始するのです。場合によってはウィークディの夜の制作も木彫を入れる予定です。夜は騒音を発する電動工具は使えませんが、鑿を振るうだけなら出来そうだと思いました。陶彫部品の小品1点ずつの制作も夜を予定しているので、ウィークディはなかなか大変なことになりそうです。気温もやや緩んできたので、ちょうどいいかなぁと思っています。それにしても木彫は切り屑がいっぱいでて、ゴミ袋が忽ちなくなってしまいます。鑿も研がなくてはならず、長い時間鑿を振るっていると腕の筋肉がへとへとに疲れていきます。単調な作業なので、なおさら辛いのかもしれません。でもカービングの作業は、自分は自分で思っているほど嫌いではないと自覚しました。気分が浮き浮きしてくるのです。いかにも彫刻らしい作業だからかもしれません。今週も夜の作業はやっていきますが、1回は窯入れをしたいと考えています。水曜日に職場の飲み会があり、この夜は工房に行けないので、火曜日夜に窯入れをしようかとも思っています。
    美大の卒業制作展
    自分の母校ではないけれども、同じ東京にある美大の卒業制作展に行って楽しんできました。相原工房に出入りしている中国籍の大学院生の作品を見に行くことが目的でした。美大生たちの作品は粗削りな反面、気概に満ちていて魅力的です。中にはどうしてこんなものを作ったのか意味が伝わらない作品もありましたが、概ね良い出来栄えではなかったかと思いました。今日は早朝6時に工房に寄って制作工程を多少でも進めました。僅か1時間半、されど1時間半で陶彫の彫り込み加飾を行いました。その後、家内と菩提寺に出かけて墓参りを済ませ、8時半には一路東京の八王子に向かって自家用車を走らせました。知り合いの大学院生には構内ですぐ落ち合うことができました。彼女が籍を置くグラフィックデザイン科の学生作品は、大学の中では突出した水準にあり、イラストレーションやタイポグラフィーやパッケージデザインに至るまで大変充実した楽しいものでした。良質な作品に出会うと自分の創作意欲も刺激されます。逆に首を傾げたくなる作品は、これを作るために4年間も学んだのかと疑いたくもなります。4年間または6年間頑張った学生には、才能や努力に見合った将来があることを願っています。案内してくれた中国籍の子は「水のイラストレーション」というタイトルで波模様の繰り返しを大きな画面にまとめていました。彼女にも日本での活躍を期待しているところです。それにしても今日は疲れました。数多くの作品を一気に見たので、帰宅後は工房に行けず、自宅で休んでしまいました。
    夜間時間帯で見た「仏像展」
    今週、職場では来年度人事が始まっていて、気忙しく骨の折れる仕事が続きました。ストレス解消に博物館の金曜日夜間時間帯を利用して、東京上野まで出かけていきました。勤務時間後に寄り道する展覧会というわけですが、職場と自宅が近くにあるため、橫浜から東京経由でかなり遠回りして帰途につくことになりました。それでも心の解放を求めて仏に縋りたい気持ちになって、東京国立博物館で開催中の「みちのくの仏像展」(本館)と「インドの仏展」(表慶館)を見てきました。行き帰りの電車では千利休に関する書籍を読み耽り、目的地に着けば東北やインドの仏像に眼を凝らす、それはもう西欧の入り込む余地がないような東洋感覚になっていました。東北やインドの仏像は見応えがあって、上野まで来た甲斐がありました。詳しい感想は後日に改めますが、勤務時間後に立ち寄れる展覧会で、創作意欲が刺激されて幸せになりました。週末を制作で有効利用するために、金曜日の夜に展覧会を見に行くことを習慣にしたいとさえ思いました。