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  • 「少年殉教者・聖マテオ小兵衛」
    先日、東京六本木にある新国立美術館で開催していた自由美術展に出かけました。自由美術展は師匠池田宗弘先生が会員として出品されている美術団体で、毎年招待券をいただいています。今年の夏に長野県麻績の池田先生の工房兼住居であるエルミタに家内と行って、制作途中の作品を見せていただきました。その時は、先生の得意とする真鍮直付けの作品が置いてあり、これが完成すれば自由美術展に出品すると言っていましたが、同展に出品されていたのは長崎聖人像15体のうちの1点でした。長崎県の教会に依頼されている15聖人像は完成期限が迫っていて、これもなかなか日程的に厳しいと感じていたところ、同展には「少年殉教者・聖マテオ小兵衛」が出品されていました。ブロンズで鋳造された具象作品の表情が、亡くなられた先生の奥様に多少似ていると思いました。穏やかで美しい顔と両手を合わせた祈りの姿勢は、美術館の野外展示場の中で、清楚な雰囲気を醸し出していました。
    三連休 仕事と美術鑑賞
    三連休の最終日ですが、午前中は止むに止まれぬ仕事が入っていました。結局、三連休はいずれも職場関係の仕事が半日程度あって制作がままならない状況でした。今日の午後は工房には行かず、東京の美術館を家内と見てきました。今日は東京竹橋の国立近代美術館で開催していた「竹内栖鳳展」に行きました。開催日程が今日までなので急遽行くことにしたのでした。東の大観、西の栖鳳という言われる日本画の巨匠が、横浜と東京でそれぞれ展覧会をやっているので、まずは西の横綱である竹内栖鳳の世界を味わってきました。国立近代美術館は大変混雑していて、入場券を求める列が続いていましたが、入場規制はありませんでした。館内では人垣の隙間から絵画を見ていました。ただ、写実表現の凄さに打たれて、混雑が気にならなくなっていました。詳細な感想は機会を改めますが、細密で迫力のある描写に心が揺さぶられました。この三連休は仕事をしながら、芸術に触れた3日間でしたが、振り返ればかなり充実をしていたと思っています。創作活動では密度の濃い時間を過ごしました。時間制限がある分、気持ちが入り込んでいたのではないかと考えています。
    週末の読書 「足型の石膏取り」
    「コーヒーを飲んだあと、いよいよ石膏の流し込みを始める。中庭は四方を囲まれているわりには、不思議に涼しい風が時おり吹き抜けるが、この夏の異常な暑さで頭がクラクラするほどだった。日陰で石膏を水に溶かし、三回に分けて木箱に流し込む。それから用意した50ペニヒ硬貨を記念に石膏の中で沈める。この硬貨にはオークを植樹する女性の姿が彫られていて、ボイスは今も七千本のオークの植樹の実行中であり、私がこの貨幣を使用する意味を了解したのだろう、ニヤッと笑ってうなずいている。ボイスは私の用意したクリームを足に塗り、『いつでも足を入れるときがきたら言ってくれ』と私に言う。基礎となる石膏層が少し固まったところへ足を入れてもらう。ボイスは細心の注意を払って片足ずつそっと入れる。自分の作品でも作るように、すこぶる慎重な態度である。石膏内に足の位置が決まると、ボイスは完成までの一時間強の間、石膏の柔らかさで、足を宙に浮かせ気味の姿勢を強いられながら一度も足を動かさなかった。ある猛暑の中での忍耐強さには感心させられた。~略~」現在読んでいる「ヨーゼフ・ボイスの足型」(若江漢字 酒井忠康共著 みすず書房)の石膏取りの作業をしている箇所を抜きました。自分も学生時代は人体塑造を保存するため石膏取りをよく行っていました。今でも石膏は好きな素材のひとつです。そんなこともあって、ついこの箇所に注目してしまいました。今日は三連休の中日ですが、職場での仕事を片づけながら本を読んでいます。
    三連休の微妙な制作時間
    この三連休とも職場関係の仕事があって制作時間が微妙です。工房では少なくても3時間以上制作をしなければ作品が先に進みません。早朝や夕方の時間を使って時間を確保したいと思っています。往生際の悪い自分は休日に職場の仕事があるからといって制作をきっぱり諦めることができません。自分にとって制作は活力剤にもなっていて、工房に足を踏み入れただけで別世界へ誘われてしまうのです。それは幸せなひと時です。今日は朝7時に工房に行き、正午まで制作をしていました。午後は職場に行って仕事を済ませ、空いた夕方の時間で東京の美術館に出かけました。師匠の池田宗弘先生が出品している自由美術展は六本木の国立新美術館、藤田嗣治(レオナール・フジタ)の展覧会は渋谷のBunkamuraザ・ミュージアム。2つの展覧会を僅かな時間で駆け巡りました。詳しい感想は機会を改めます。ジュンク堂書店にも立ち寄り、美術関係の書籍も買ってきました。ともあれ三連休初日は制作をして、公務もやって、美術館巡りもして充実させました。明日も職場に出かけますが、空いた時間を制作に充てたいと思っています。
    読書に夢中になって慌てた日
    通勤時間帯に読んでいる「ヨーゼフ・ボイスの足型」(若江漢字 酒井忠康共著 みすず書房)に夢中になっていたところ、降りる駅のアナウンスが流れて、ドキっとしたことがありました。読書はその中に自分が入り込んでしまうと、周囲が見えなくなり、突如耳を掠めるアナウンスに慌てることが多々あります。朝の通勤で自分は敢えて各駅停車を選び、ゆっくり座って読書を楽しんでいます。逆に帰りは混んで座れないため急行に乗って一刻も早く帰宅することにしています。帰途、立ったまま吊革につかまって読書の世界に耽ることは少なく、周囲が見えなくなるのは朝の出勤時に限られるのです。夢中になっていた箇所は、ヨーゼフ・ボイスが西武美術館の個展のために来日し、搬入・展示をしている場面で、館内の空間を見据えながら、作品を置いている状況が描写されていて、自分がギャラリーせいほうで作品を並べている状況に似て、ついボイスと自分を重ねてしまったのでした。ボイスの作品は置かれる場所も作品のうちとしているところがあって、その思いを巡らせていると、ボイスの言わんとしているところが見えてくるのではないか、そんな気持ちになっていました。危うく駅を乗り過ごすところでしたが、20分程度の乗車時間が一瞬の如く過ぎていきました。