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  • 週末 版画による2つの美術展
    昨夜から私の職場では職員研修として湯河原に来ていました。一晩ゆっくりお互いの仕事を振り返る機会を、私は大切にしています。夜が更けるまでお喋りが尽きない職員たちの雰囲気を、今後も継続していくのも私の役割かもしれません。私は旅館で朝食を済ませた後、他の職員より早く湯河原を出させていただきました。自宅に戻ったのが9時を回っていましたが、今日は2つの美術展に行く予定にしていて、家内とすぐに自宅を出ました。2つの美術展は神奈川県茅ヶ崎市と東京都町田市でそれぞれ開催していて、かなり離れていたので車を使いました。東名高速から圏央道へ車を走らせ、茅ヶ崎で降りました。茅ヶ崎市美術館で開催されていた「小原古邨展」は、先日NHK日曜美術館で放映されていたためか、鑑賞者でかなり混雑していて、比較的小さな美術館だったにも関わらず、行列を作って鑑賞している有様でした。私もテレビで知ったばかりだったので、美術史に埋もれていた超絶技巧を凝らしたこの木版画家の作品をひと目見たいと駆けつけた一人でした。人を掻き分けて観た作品は、期待通りの表現力を持った素晴らしいものでした。「小原古邨展」は別稿を起こしたいと思います。後日詳しい感想を書きます。次に向ったのが東京都町田市だったので、再び圏央道と東名高速を走り、横浜町田で降りました。町田市立国際版画美術館で開催されていた「ヨルク・シュマイサー 終わりなき旅」展は、絶対行こうと決めていた展覧会でした。ドイツのハンブルグ美術アカデミーでパウル・ヴンダーリッヒに学んだヨルク・シュマイサーの作品を、私は学生時代に知りました。その頃、渡欧を考えていた私は日本に関係の深かったヨルク・シュマイサーに会いたいなぁと思っていたのでした。展覧会場に私の見たことのある何点かの作品も並んでいました。初めて見る作品が多かったのですが、エッチングの面白さに溢れた世界に、暫し我を忘れてしまいました。質量共に凄さを見せつけられ、旅で得たイメージを版画に刻み込んだヨルク・シュマイサーは比類なき芸術家であろうと思います。この展覧会も詳しい感想を後日に改めます。今日は奇しくも版画技法を用いた2人の優れた芸術家の作品に触れました。私は学生時代より彫刻とともに版画に興味を持ってきました。版画は現在制作を休んでいますが、時間が出来たら再開をしたいと思っていて、その起爆剤になった2つの展覧会だったなぁと思いました。
    「つくる」という意味
    創作行為は人の持つあらゆる能力を最大限に活用するものだという考えが私にはあります。「つくる」というコトバを漢字にすると「作る」と「造る」と「創る」の3つの漢字が当てはまりますが、いずれも多少意味が異なります。一般的には「作る」という漢字を用います。私も通常、彫刻を作ると書いています。たまに「造る」を用いますが、これは構築物としての意味合いが強くなります。彫刻は立体なので「造る」という漢字を使っても一向に差し支えないと思っています。一般的には建築や庭園や造船の場合に用いているようです。それでは「創る」とはどういう場合を指すのでしょうか。これは新しいモノを作り出す創作行為に他なりません。「創る」はあまりに仰々しい意味になるので、照れくささもあって「創る」という漢字は使い辛いなぁと感じますが、私の作る彫刻は明らかに創るものだと思っています。私の場合、創る行為は最初のイメージを固める時に一番フィットする漢字かなぁと思っています。創作行為の最大の要素は原初的なイメージにあると私が感じているからかもしれません。その後は実材との関わりになりますので、作ると言う漢字がフィットします。私の彫刻は集合彫刻という形態をとっていて、最後にユニットを連結して全体を構成していきます。その行為は作るではなく、創る行為かもしれません。創るは最初と最後だけ、途中の作業は全て作る行為だろうと私は考えています。そういう意味であれば、創る行為は大変な精神的負担と面白さを兼ねていると言えます。まさに創作行為の本領がそこにあるからです。日本語は「つくる」という意味だけでもバリエーションに富んでいて、日本語を学ぶ外国人からすれば難解と受け取られる言語だろうと思います。私が外国人だったなら日本語を学ぶのは御免蒙りたいなぁと思います。
    「プロジェクション・マッピング2018」実施
    今日、職場で文化を中心に据えたイベントがありました。毎年このイベントのオープニングでは、職場のチームが制作したプロジェクション・マッピングを流しています。今年で3年目になります。私の職種では市内でのプロジェクション・マッピングの制作上映はまだ珍しく、関係各方面から問い合わせがあります。プロジェクション・マッピングは3年前、職場の近隣にある大学の映像メディア研究室の協力を得て制作をしました。毎年テーマを変えて、夏ごろからチームを編成して制作にあたっていますが、今回はアニメーション主体の映像を作りました。今まで野外取材した動画が中心でしたが、今回は絵画的な要素が強く、花々や森林や動物が象徴化されていました。夏に出かけた東京お台場のデジタルアート・ミュージアムで見た華麗な映像から多大な影響を受けているのではないかと感じました。私の職場はミュージアムのチーム・ラボに敵うはずもないのですが、頑張った形跡があちらこちらにあって微笑ましく思いました。私は若い頃から彫刻制作を自己表現媒体としてやってきました。まず実材ありきの世界で勝負をしてきましたが、現代は映像文化が華やかで、職場ではプロジェクション・マッピングの共同制作が恒例化してきています。私も映像は嫌いではありませんが、パソコンのソフトにある技巧を駆使して自ら制作しようとは思いません。人が作ったものをあれこれ外野から指摘するだけで、文句の多い管理職と思われているかもしれません。ただ管理職としては、プロジェクターやパソコンを新しく購入し、プロジェクション・マッピングの環境を整えてきました。ソフト面では若いパワーに任せたいところですが、美術をやっている私は黙っていられない性分も身についてしまっています。今後も職場ではプロジェクション・マッピングを継続していきたいと考えています。
    六本木の「京都・醍醐寺」展
    先日、東京六本木にあるサントリー美術館で開催されている「京都・醍醐寺」展に行ってきました。副題を「真言密教の宇宙」としてあって、そうであれば弘法大師空海の流れを汲む寺院であることは理解できました。開創したのは聖宝尊師で、空海の弟である真雅阿闍梨の弟子だったようです。展覧会場に入ると「如意輪観音坐像」が出迎えてくれました。これは惚れ惚れするほど美しい観音で、醍醐寺のもつ文化財の質量に惹かれました。この像は「寛治三年(1089)に上醍醐の鎮守として勧請された清瀧宮の社殿内に、准胝観音像とともに清瀧権現の本地仏として安置され、近代まで伝わったようであるが、その本地仏の選定に際して聖宝由来の両観音像を当てることは自然と言える。」(佐々木康之著)と図録にありました。この他にも象に跨った「帝釈天騎象像」や牛に跨った「閻魔天騎牛像」に気が留まりました。数々の名品に加え、「醍醐の花見」で有名になった豊臣秀吉に関する資料もあって、歴史に登場する場面を想像して楽しみました。京都によく出かける私は、まだ醍醐寺に足を踏み入れたことがありません。伝承された文化遺産を見ていると、醍醐寺が果たした役割が多大なものであることがわかります。「聖宝の私寺として始まった醍醐寺は、醍醐天皇の御願寺となったことをきっかけに定額寺として大きく発展して以降、常に国の中枢と接点を持ち続けてきた。」(同氏著)とありました。歴史の中で仏像や絵画は信仰の対象として寺院に奉納されてきましたが、現在は美術品としての視点を持って、美術館で展示される機会が増えました。私としては美術館の照明に浮かび上がる個々の作品を見ていると、信仰よりも鑑賞としての存在感が大きいと感じています。その流麗さや美的感覚に新鮮な驚きがあるからで、寺院の所蔵品に私が惹かれる理由がここにあります。
    HPのGalleryに「発掘~環景~」アップ
    「発掘~環景~」は2016年に制作した陶彫による集合彫刻で、個展が始まるギリギリまで窯入れをしていて、かなり焦っていた記憶が残る作品です。陶彫部品一つひとつが大きくて、窯にはひとつずつしか入らなかったのが、時間に追われた原因でした。搬入が終わった時に、安堵感で全身の力が一気に抜けました。私は危ない綱渡りを毎回繰り返して個展を開催していますが、作品として出来上がったものを見ると、裏事情が吹き飛んでしまうほど、個々の作品はすました表情を見せてくれるのです。デジタル化した「発掘~環景~」を見ると、どこを苦労したのか見当がつかないほどで、結果でしか評価されない芸術作品はこんなものなんだろうなぁと思っています。今回、ホームページのGalleryに「発掘~環景~」をアップさせていただきました。床に広がる背の低い作品を作ろうとイメージしたことが「発掘~環景~」を生み出しました。屏風やテーブル彫刻に比べれば、搬入搬出は楽ではないかと思っていましたが、前述の通り思ってみなかったところで躓きました。そんな事情はともあれ、カメラマンの眼を通したデジタル画像は、作者には思いもよらない視点を提供してくれています。自分は敢えて指示を出さずにカメラマンに全て任せているのは、そんな他者の力を信じているからです。私のホームページに入るのは左上にある本サイトをクリックしてください。ホームページの扉にGalleryの表示が出てきますので、そこをクリックすれば今回アップした画像を見ることが出来ます。ご高覧くだされば幸いです。