2018.12.27 Thursday
今日から休庁期間が始まる29日までは年次休暇をいただいて、職場には出勤せず、連続した制作時間を取ることにしました。毎日のように朝から工房に篭っていると、だんだん頭の中が現実離れをしてきて、不思議な気分になります。退職すれば、毎日こんな風に過ごすのかなぁと思っているところです。現在は公務員管理職とのバランスの上に成り立っている創作活動であることが実感できます。陶彫制作はいつものような週末ごとの制作と違い、制作サイクルが順調に回り、弾みがついています。制作目標である8個の陶彫部品は、今年中に終わりそうな勢いです。ただし、この季節は工房はとても寒くストーブが欠かせませんが、工房全体を暖めるような大きな暖房器具ではなく、手を暖める程度なので、野外と同じような防寒着を着て作業をしています。今日は昼過ぎに家内を誘って、川崎市にある岡本太郎美術館に車で出かけました。岡本太郎美術館は久しぶりに行きました。現在、同美術館で開催されている「イサム・ノグチと岡本太郎ー越境者たちの日本」展が見たくて出かけたのでした。イサム・ノグチにしろ、岡本太郎にしろ、それぞれの展覧会にはよく出かけているので作品はよく知っているのですが、2人の芸術家の作品を同じ空間の中に置いたらどんな効果を齎すのか、興味がありました。戦後の日本美術界で革新的な役割を果たした2人の芸術家。イサム・ノグチはアメリカと日本の狭間にあって苦悩した彫刻家、岡本太郎は長くフランスに滞在し、外から日本を見ていた画家、どちらも越境者として現代日本美術を牽引する原動力になりました。2人の作品を同じ空間で眺めると、従来の概念を壊そうとするパワーが感じられ、同時にパブリックスペースを利用した社会的な関わりを積極的に取り入れようとする意志も感じることが出来ました。1970年に大阪で開催された万国博覧会で2人の作品が設置されたことや、北大路魯山人を介した交流などが写真等の資料で展示されていて、当時の現代美術に対する気運が感じられ、私は満足を覚えました。詳しい感想は後日改めます。
2018.12.26 Wednesday
先日、常連である横浜のミニシアターに19世紀の英国を舞台にした映画「メアリーの総て」を観に行きました。主人公メアリー・シェリーは「フランケンシュタイン」の作者です。18歳でこの物語を執筆した彼女の動機や背景が描かれていて、楽しめる内容になっていました。メアリーは名高い思想家だった母を亡くし、父と継母、義妹と暮らしていましたが、父の友人宅で異端の詩人と噂されるパーシー・シェリーと出会います。パーシーには妻子がありましたが、メアリーとパーシーは互いに惹かれ合い、駆け落ちをしてしまうのでした。メアリーはそのうち娘を授かりますが、借金の取立てから逃げる途中で娘が命を落とす憂き目に会います。失意のメアリーはパーシーや義妹と共に悪名高い詩人バイロン卿の居城で暮らし始めますが、退屈任せにバイロン卿から「皆でひとつずつ怪奇談を書いて披露しよう」と提案され、それが契機になって「フランケンシュタイン」を創作することになるのでした。当時の見世物に「死者を蘇らせる生体電気ショー」があって、メアリーは科学に興味があったことや、パーシーの主張する自由恋愛に翻弄される内縁の妻だったことや、本妻が自殺をしたこと等、さまざまなことがメアリーを巻き込んでいきました。そんな要因が相俟って、メアリーは孤独な悲しみを背負った人造人間を主人公にした小説に昇華させていったように私には思えました。図録にはこんな一文がありました。「才能ある亡き母への憧れと、自分が産まれたために母が死んだという罪悪感。我が子を死なせてしまった喪失感と、命を蘇らせたいという切望。妻子ある男性を奪い、その妻を自殺に追いやったという呵責の念。」(廣野由美子著)これが「フランケンシュタイン」創造の秘密かなぁと思いました。私がもうひとつ感じたことは、若い女性が創り出した文学作品に対する当時の出版社の冷たさと世間の慣習でした。時代が時代だけに最初は匿名で出版されたようですが、その後200年以上も愛され続けているドラマを、その頃誰が想像したでしょうか。「フランケンシュタイン」のイメージの定着は、1931年のユニバーサル映画「フランケンシュタイン」で、俳優ポリス・カーロフ演じる有名な怪物の姿です。その後「フランケンシュタイン」はさまざまに翻案されて、今もSFの元祖ともなっています。私も昔テレビで白黒映画による「フランケンシュタイン」を観ています。その原作者が18歳の女性だったというのが、この映画を観た最初の驚きでした。映画では西欧の街が美しく表現されていて、怪奇趣味を感じることなく、まるで文芸作品の趣だったことを付け加えておきます。
2018.12.25 Tuesday
今日は私の職場では代休になっています。12月1日の土曜日に休日出勤をしていて、今日振替休日を取っているのです。私の職場だけは四連休になって、クリスマスを家族や親しい人たちと過ごせるように配慮しています。クリスマスと言っても私自身は何をするわけでもなく、通常の休日として工房で陶彫制作に明け暮れました。FMラジオからクリスマスソングが一日中流れていて、西洋の行事が日本では洒落た祭として存在感を放っています。20代の頃、ドイツ語圏に住んでいた私は、この時期に日本では見られない宗教行事に接していました。クリスマスはイエス・キリストの誕生を祝う祭で、降誕祭とも言われています。因みにこの日がイエスの誕生日ではないのです。イエスは現在のイスラエルで生まれていますが、降誕祭に何故ツリーが準備されるのか、私には素朴な疑問がありました。ツリーの起源は古代ゲルマン民族の冬至の祭に使われた樹木だったようで、キリスト教とは無関係だったことをこの頃初めて知りました。中世ドイツの神秘劇でアダムとイヴの物語にクリスマスツリーが登場したようで、所謂樹木信仰がキリスト教化したものだったと言われています。さらにサンタクロースって何かの象徴なのでしょうか。これも起源は東ローマ帝国のミラにいた司教ニコラウスが有力だそうですが、ドイツ語圏ではサンタクロースが善玉と悪玉に分かれていて、良い子には菓子を、悪い子には罰を与えていたことが、私にとっては衝撃でした。悪玉サンタはナマハゲのような代物なのか、しかも降誕祭よりずっと前にサンタの日という日があって、プレゼントはそこで交換し合うのです。それらを全てひっくるめて25日にまとめ、さらに美しいイルミネーションで飾るのは19世紀のアメリカから来ているようです。日本ではロマンチックな気分を演出する雰囲気ばかりの聖夜ですが、どんな起源があるにせよ、人間愛を謳っていることは確かです。それにあやかりたい私ですが、今日も相変わらずの制作三昧でした。夜になって年賀状の宛名印刷をしました。個展案内状の名簿がパソコンにあるので、そこから240枚ほど印刷をしました。来年の干支はイノシシです。先月のRECORDにイノシシのデザイン画を描き、業者に印刷を依頼したのでした。年賀状は疎遠になった人にも出すことが出来ます。明日投函してきます。
2018.12.24 Monday
今日は天皇誕生日の振替休日になります。言わば三連休の最終日です。今日は過密なスケジュールで一日を過ごしました。朝から工房に行って陶彫成形をやっていました。昨日タタラを準備していたので、今日は冬季休業の制作目標8個のうちの2個目を作り上げました。順調と言えば順調な滑り出しで、制作サイクルが着実に回り始めています。昼には職場関係の催し物が近隣の公会堂でありました。そこに参加するため、12時から午後3時くらいまで時間を費やしました。催し物の内容はクリスマスらしい雰囲気に溢れたもので、とても良い気分にさせてもらえました。3時過ぎに工房に帰ってきました。陶彫成形の続きをやりましたが、連日陶彫制作をやっていると、陶土がまだ柔らかくて彫り込み加飾が巧くできず、そこは翌日に回すことにしました。いつもなら週末の後、ウィークディの5日間は別の仕事に勤務しているので、この5日間で陶土の硬さがちょうどいい具合になっているのです。嘗て連日陶彫制作をやっていることがあって、陶土の扱いを調整していたことを思い出しました。夕方は家内を誘って、常連になっている横浜のミニシアターに映画鑑賞に出かけました。レイトショーで上映されていたのは英米合作映画「メアリーの総て」。19世紀のイギリスが舞台で、革新的思想の背景を背負った若い女性が詩人と駆け落ちし、当時としてはセンセーショナルな行動が、やがてSF小説の元祖と伝えられる「フランケンシュタイン」を執筆するに至る経緯を描いたものでした。女性の権利が軽んじられていた当時のイギリスに於いて、18歳の女性が創作したグロテスクな物語、その動機となったのはメアリーが遭遇したイギリスの産業革命という時代背景や自由恋愛を標榜する詩人たちの生きざまがありました。「フランケンシュタイン」は天才科学者が作り出した人造人間が、怪物として社会から排除されていく物語ですが、メアリーの執筆を促すさまざまなことがメアリーの周囲で起こり、これらが怪奇的で荒唐無稽とも言える物語を紡ぐ契機になったことがよく分かりました。映画の詳しい感想は後日改めます。三連休の最終日は過密なスケジュールながら充実した一日を過ごしました。
2018.12.23 Sunday
今日は平成最後の天皇誕生日でした。今日は日曜日でもあるので、明日は振替休日になります。天皇陛下は85歳になられたようで、穏やかに国民に話をされている様子がテレビから伝わりました。昭和とは違い、平成は我が国が巻き込まれる戦争が無かった分、大きな自然災害に見舞われました。いつの時代にも有事はあるもので、その都度陛下は御心を痛められていたことが会見で伝わりました。来年4月末の退位が予定されているため、いろいろなところで平成最後という冠がついています。平成を振り返るには少々早い気がしますが、平成は私が彫刻家として個展をスタートさせ、公務員としては管理職に抜擢された時代になります。自分の人生の重要なポジションを占めているのが平成という時代と言えます。私は現在、再任用管理職なので、来年4月末の退位を現職で迎えることが出来るでしょうか。彫刻家としては来夏の個展が決まっているので、一方の職を失っても彫刻家としてやっているだろうと思っています。今日は朝から工房に篭って、昨日準備したタタラを使って陶彫成形と彫り込み加飾をやっていました。冬季休業中に掲げた制作目標である8個の陶彫部品のうち、まず1個目を終えることができました。夕方、明日のためにタタラを準備したので、明日はもうひとつ陶彫成形が出来ます。継続して制作できるため、制作サイクルが回し易くなっていて、気持ちが次第に非日常化してくるようです。創作活動は自分を追い詰める傾向もあるので、時折息抜きをしなければならないと思っています。今日は昼ごろ、近隣のスポーツ施設に出かけて水泳をしてきました。右膝の痛みが治ってきて、平泳ぎが難なく出来ました。クロールと平泳ぎを組み合わせて少し長めに泳ぎました。午後工房に戻って、陶彫成形の続きをやりました。明日も継続です。