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  • 白金台の「EXOTIC×MODERN」展
    先日、東京白金台にある東京都庭園美術館で開催されている「EXOTIC×MODERN」展に行ってきました。東京都庭園美術館は旧朝香宮邸を改修した美術館で、美術館そのものが美しいアール・デコ様式に統一されて、その室内装飾に彩られた空間で見る展示作品は、周囲と美的に対峙し得るものでなければならないと思っています。本展は副題を「アール・デコと異境への眼差し」と称して、アジアやアフリカの民族的なデザインを取り入れたモードや装飾、絵画や彫刻を展示していました。図録によると植民地美術との関係は複雑で、当地の略奪品を収蔵する博物館が出来たりして、政治的な意図もあったようで、単なる異国情緒だけではない事情も垣間見れます。「植民地的企ては、エキゾティシズムを我がものとすることで、過去の芸術家をうまいこと引き込んだだけでなく、東方風、アフリカ風、極東風といったピトレスクな趣を備えた魅惑的な装いでもって植民地的企ての野心を覆い隠すことに成功したのだ。」また別の文章では「アール・デコと植民地美術との間には深い類縁性が存在している。地球規模の美意識として構築されたアール・デコは植民地主義のうちにひとつの支えを見出していたが、それは芸術家らによって異国情緒たっぷりに仕上げられたイメージに加え、地方の製品、素材、職人技、さらには原住民の学生らによる作品までもアール・デコは促進していたからである。」(ドミニク・ジャラセ著)とありました。アジアやアフリカの民族的なデザインは確かにアール・デコの範疇に見事に収まっていて、今も美しさを感じさせます。私はモードやポスターにそれが顕著に表れていると思いました。個人的に私はアール・デコが大好きで、時折自分の創作にもアール・デコ的な要素を取り入れています。陶土に彫り込む市松模様がそれで、「地球規模の美意識として構築されたアール・デコ」と文面にありましたが、私にとってはまさに共感するデザインなのです。
    横山崋山「祇園祭礼図巻」について
    「『祇園祭礼図巻』がすごいのは、まずひとつには行列の情景や山鉾など詳細に記された記録的価値です。幕末の大火で焼失した山鉾も多くあるため、記録としての貴重さは増します。長い行列もすべて描き通している。しかもタペストリーの図柄など、はっきり細かい図柄まで表現されている。~略~記録的価値と同時に、やっぱり描き方のおもしろさというのが傑出している。アングルやトリミングを変えて、全体を見せたり、部分を見せたり、そういう変化を与えて長い行列を見る人に飽きさせないようにしている。このあたりの描写には非凡なものがあります。~略~この絵巻の記録が、山鉾復興に貢献しているものもあります。」(辻惟雄 談)先日出かけた東京ステーションギャラリーの「横山崋山」展で見応えのあった作品が、上下巻で全長30メートルにも及ぶ「祇園祭礼図巻」でした。これは崋山最晩年の作品で、横山崋山の再評価にも繋がる力作だろうと思います。また崋山の画業の集大成でもあると思いました。祭礼に群がる人々はいったい何人描かれているのか、そのひとり一人が全て異なった仕草をしていて、ずっと見ていて飽きない絵巻です。しかも保存状態も良く鮮明に残されているのが幸運でした。絵巻の中にあった薄墨を使って細密に描かれた「四条河原の納涼」や「祇園ねりもの」にも注目しました。祇園ねりものとは何か、図録に解説があったので引用します。「祇園の芸妓たちが、仮装した姿で花街を練り歩く仮装行列のことで、~略~祇園ねりものは芸妓の晴れ舞台で、旦那衆がスポンサーとなって贔屓の芸妓のために豪奢な衣装をあつらえた。番付を一つでもあげて、ライバルの芸妓に負けまいと、旦那衆はこぞって多額の金銭を援助した。さながら、現代のアイドル総選挙と重なる。」(八反裕太郎著)江戸風俗としても楽しい絵巻だなぁと思いました。
    東京駅の「横山崋山」展
    先日見に行った東京ステーションギャラリーの「横山崋山」展の情報が、奇しくも今朝職場にあった朝日新聞の「天声人語」に掲載されていました。横山崋山という名が「日本画の巨匠、横山大観とも渡辺崋山ともまぎらわしい」と書かれてあり、続く文章に「横山崋山は豪放な性格で、泥酔して暴れる癖があった。刷ったわび状をいつも懐に携え、酒席で迷惑をかけた相手には、即興で絵を添えて手渡したという。」とありました。へぇ、横山崋山はそんな人だったのか、そうとは思えない理知的で丹念に描かれた絵画の世界が本展では印象的だったために、この記事には驚きました。作者の性格と画業が違いすぎる場合も多々あるとは思いますが…。横山崋山は江戸後期に生まれ、京都西陣で機織業を営む旧家の養子になり、その縁で絵師曾我蕭白を知り、模写を通して絵を学んだとされています。既に故人だった蕭白の絵に似せた「蝦蟇仙人図」が蕭白のそれと比較して展示されていて、これは面白いと感じました。それにしても巧いなぁと思わせる数々の作品に目が釘付けになりました。最初に蕭白に学んだキャリアも異色だなぁと思っていましたが、その後蕭白の影響はあまり見られなくなくなりました。図録によると「奇想の系譜」を著した辻惟雄氏の談話の中にこんな箇所がありました。「(蕭白は)自分の気質とはあまりにも合わなかったのか。」「蕭白の絵のような奇矯さとは無縁の人ではないだろうか。」「非常に健康的な精神の持ち主であったというように私は思います。」という文章を拾い上げると横山崋山の画風が多少見えてきます。素朴な疑問としては、これだけの画家が何故今まで埋もれていたのか、図録には画業を体系的に捉えた文章がありました。「崋山の名品はその多くが欧米へ早くに持ち出されてしまい、それによって国内で崋山の画業を顧みる機会が減じたのは否めない。~略~さらに、崋山が御所障壁画の作画に携わっていない点は、関心を持たれず研究を遅らせた原因の一つと考えられる。~略~『略伝』には『崋山豪放にして当時の画家と敢テ交流せず』と記されるが、崋山は人付き合いが苦手だったのかもしれない。」(八反裕太郎著)絵は器用なのに人は不器用で世渡り下手な大酒飲みであるならば、世間に忘れられてしまうのも頷けます。本展の要である代表作「祇園祭礼図巻」は別の機会に書こうと思います。
    週末 16個目の陶彫制作
    今月は4回の週末がやってくるので、それに応じて4個の陶彫制作を目標にしています。昨日はタタラを準備した後、東京の美術館に出かけてしまったので、今日は朝から陶彫部品の成形と彫り込み加飾をやっていました。新作は50個近い陶彫部品で構成する集合彫刻ですが、現在焼成が終わっている部品が11個、成形と彫り込み加飾が終わって乾燥を待っている部品が4個あります。今日は5個目の作品を作りました。トータルで16個目になります。完成まで4分の1強になったところです。朝9時から夕方4時までという決めた時間帯に、成形と彫り込み加飾を確実に行うという自分のスタイルを今日も保っています。全体を構成するまでは、こうした職人的な作業で制作工程を進めていくのです。この順序よくやっていく作業は、気持ちとしては楽な仕事です。部分にしか関わらないのは近視眼的で、あれこれ見通すことがないため健康的な仕事と言えます。全体を考えるようになると、作品の良し悪しが見通せるようになって精神的な負担を強います。これは芸術家としての資質が左右する苦しい仕事になるのです。それまでは部品作りが続くので、焦りも休みもせず坦々と制作をするだけです。ただし、この労働の蓄積が最終的に作品に効果を齎せます。手間をかけた分だけ説得力のある表現になるのです。作業中に手許しか眼に入らなくなり、陶土との対話が始まる極上の瞬間も、こうした手間を惜しまない姿勢からくるものだと思っています。これは心理学で言うところのフロー状態のことを言うのではないかと思っています。スポーツで言えばゾーンです。少し前までは制作中にフロー状態はよくやってきて長く続いていましたが、今は滅多にやってきません。また長く続きません。加齢のせいなのでしょうか。しかも私は彫刻制作しかフロー状態を体験したことがありません。私にとって真に集中できるのは彫刻だけなのかなぁと思っています。少しでも長く彫刻制作に関わっていたい思いで、今日は昼ごろに久しぶりに近隣のスポーツ施設に水中歩行に行ってきました。先日痛めた右膝が万全ではないため水泳はせず、俄かに汗をかく程度の歩行にしました。夕方には16個目の成形と彫り込み加飾が終わりました。
    文化の日に制作&美術館へ
    11月に入って最初の週末になりました。今日は文化の日でもあります。家内が地域の文化祭に自作のジュエリーを出品していて、朝9時に家内を車で送るため、私は早朝7時から工房に行き、2時間程度制作をして来ました。明日、陶彫の成形と彫り込み加飾をするための準備として、大きいタタラを6枚作りました。家内を車で送った後、私は東京の美術館に行く計画をしていました。夕方までに帰宅して、家内を迎えに行く予定にしていたので、私は6時間で2つの美術館を回ろうと考えていました。初めに訪れたのは東京駅にある東京ステーションギャラリーでした。この会場で開催されている「横山崋山」展は、どこかで情報を得ていてその絵の細密さを知り、必ず見に行こうと決めていた展覧会でした。内容は期待通り圧巻でした。凄いと思ったのが京都の祇園祭を描いた「祇園祭礼図巻」で、山鉾巡行を賑わう人々まで克明に描写してあって、暫し眺めてしまいました。上下巻約30メートルにして延々と続く山鉾や人物たちの細密描写、横山崋山とはいったいどれほどの画家で、これほどの力量があったにも関わらず、今まで知られていなかったことに驚きを隠せません。詳しい感想は後日に改めたいと思います。次に向ったのが目黒にある東京都庭園美術館でした。この美術館は旧朝香宮邸を美術館として改修したもので、アール・デコ様式の美しい景観をもつ施設です。東京都庭園美術館の学芸員は、この独特な雰囲気に合う展覧会を企画しているようで、今回訪れた「EXOTIC×MODERN」展も美術館の内装によく合っていました。「アール・デコと異境への眼差し」という副題が示す通り、アジアやアフリカの民族要素を取り入れた当時のアール・デコ様式の作品の数々が展示されていました。これも詳しい感想は後日改めます。私が午後3時に帰宅したら、ちょうど家内から連絡が入りました。今日は文化に日に相応しい美術館巡りをしてきました。土曜日はいつもウィークディの仕事の疲れを残しているので、制作一辺倒ではなく、こうした鑑賞がいいのかもしれません。明日は制作を頑張ります。