Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

  • Tag cloud

  • Archives

  • 「村上隆の五百羅漢図展」雑感
    先日、勤務時間終了後に東京六本木ヒルズまで出かけていき、森美術館で開催中の「村上隆の五百羅漢図展」を見てきました。相原工房に出入りしている若いスタッフがアルバイトで五百羅漢図制作に関わったことが、村上ワールドを身近に感じさせた要因で、自分も国際舞台で活躍する芸術家の作品を一度実物で堪能してみようと思ったのでした。派手な色彩と華美な装飾に彩られた巨大な平面作品を見ると、パワフルでユーモア溢れる独特な世界観が立ち現れていて、天を突き破るような面白さがありました。図録によると伝統美術の中で村上隆は「奇想の系譜に自らを位置づける」ことをしたのであり、「日本の伝統絵画からアニメなどのおたく文化まで、日本美術の視覚表現に通じる平面性を、階級のない戦後日本の文化的在りようや社会学的文脈とも連関させながら概念化した、よく知られる『スーパーフラット』論」を展開したのでした。作品のもつ壮大な雰囲気を感じとりつつ、世代の近い制作者の一人として私は、各作品にかける労力の凄さや厳しさを同時に感じとってしまいました。「全国の美大から参加希望者を募り、スタジオスタッフと合わせて200人以上が24時間態勢で制作にあたった。」と図録にある通り、工房システムを活用し、短期間で完成させるプロジェクトは、現代のルーベンスのようであり、個人でコツコツ作品を作っている私に比べれば、会社組織を作って大々的に創作を展開するパフォーマンスに羨ましさを感じずにはいられません。芸術で起業できた一握りの造形作家、そんなことも展覧会を見て頭を過ぎっていきました。
    中国籍アーティスト2人展
    新宿区にあるアート・コンプレックス・センターで中国籍の若いアーティスト2人による展覧会が開催されているので勤務時間終了後に見てきました。そのうちの一人が相原工房に出入りしている子で、彼女はもう学生ではありません。昨年大学院修士課程を卒業し、同じ大学に副手として就職しているのです。彼女の修士論文がなかなか素晴らしいテーマだったので、昨年は日本語のサポートを兼ねて手伝いました。中国語的な言い回しを日本語のニュアンスに合ったように変える作業でしたが、論文と制作のテーマが一貫され、思索と視覚媒体が両輪となった自己表現を作り上げようと努力していました。テーマの設定も彼女の生まれ育った山東省済南市に関連していて、泉の美しい街に起因した「水」をテーマに選び、中国の山水画や日本の浮世絵等の日本画に見られる象徴的な「水」の表現を比較検討する論法で、芸術を通して人間と水との関係性を問う論文を、彼女は時間をかけて書き上げました。平面作品も波模様を細かく配置して、水のもつ表情を豊かに捉えていました。この2人展でも彼女の「水」は余すところなく表現されていて、今までの努力の蓄積を物語るものでした。もう一人の中国籍のアーティストは現在大学在学中で油絵を専攻しているようですが、感覚的には優れた力を持っていて、その思索に富む画面から深遠な世界が立ち現れていました。朦朧とした大気の中でさまざまな想像を与えてくれる世界観を持っていると思いました。因みに2人展「生々流転」は6日の日曜日までアート・コンプレックス・センター2Fで開催されています。
    年度末の3月を迎える
    平成27年度末の最後の1ヶ月が今日から始まります。今日は春うららかな陽気となり、このまま暖かくなってくれれば幸いですが、三寒四温の季節ではそういかないかもしれません。今月職場では出会いと別れがあります。職員の異動が始まるからです。私たちの異動詳細は今月末に新聞各社で発表されます。書類整理や来年度に向けての引き継ぎや準備が今月後半から始まっていきます。逆に創作活動では年度末の区切りはありません。私は7月の個展から次の年の個展までが区切りと考えていて、3月はまさに制作の絶頂期に入ると言っても過言ではありません。工房が活気づいてくるのは、まさにこれからなのです。図録用の写真撮影を5月に予定しているところですが、果たして今年は全て完成するのかどうか微妙な状況です。昨年は5月と6月に分けて撮影しましたが、制作工程を鑑みながらカメラマンと打ち合わせをしていくしかないと思っています。擂り鉢状の新作が今月どこまで進むのか、集中力が続く限り頑張っていく所存です。今月は見たい展覧会もたくさんあります。勤務時間終了後の夜の時間帯を有効に使おうかとも思っていますが、身体が持つでしょうか。RECORDは勿論継続です。年度末に相応しいRECORDのテーマを考えたいと思います。読書は相変わらずフロイトになるでしょう。精神分析学に興味津々ですが、読書の時間がいつも犠牲になってしまうので、何とかしたいと考えています。もうひとつ、今月の予定に声楽家下野昇リサイタルが入っています。下野昇はテノール歌手で80歳になろうかという年齢ですが、東京文化会館で13日(日)にリサイタルを開催します。下野昇は叔父で、親戚の中では唯一芸術を話せる人です。自分の先達として進むべき方向を照らしてくれる人です。これが人生最後のリサイタルになるのかなぁと勝手に思いつつ、それならば自分は100歳まで個展をやってやると密かに闘志を燃やしているところです。
    閏日に今月を総括する
    4年に1度の閏日。この特別な日に今月を振り返ってみたいと思います。陶彫制作では窯入れを頻繁に行いました。電気代がかなり高くなるので、どのくらい窯入れをしたのか見当がつきます。その窯入れのために乾燥した成形部品にヤスリがけや化粧掛けをしています。土練りや成形もさることながら仕上げにかかった労力が、今月の作業では大半を占めました。制作工程は遅れ気味ですが、制作サイクルはよく回っていて、週末になれば無駄やムラもなく作業していたように感じています。自分を忘れるくらいの集中力はなかったものの、集中が途切れることなく継続していたと自負しています。週末の度に若いスタッフが工房に来ていたので会話も弾みました。平日の仕事で疲れていた自分の心を救ってくれたのは若いスタッフの存在です。その彼女たちを誘い、今月は横浜中華街の春節に行きました。鑑賞では展覧会2本、映画1本という結果でしたが、内容は充実していました。展覧会は横浜そごう美術館で開催していた「日本画の革新者たち展」、東京六本木の森美術館で開催中の「村上隆の五百羅漢図展」、映画は橫浜のミニシアターで上演中の「サウルの息子」、3つとも高水準で印象に残るものだったと思っています。RECORDは相変わらず圧迫を感じる制作が続いていますが、これも慣れているおかげか何とかなっています。読書は停滞しています。フロイトに関する書籍は面白いのですが、無我夢中になってしまわないように自分でセーブしているのです。今月は家内の従兄弟の結婚式もありました。結婚式参列は久しぶりで新鮮でした。花粉症が多少鬱陶しいのですが、今月も健康に過ごせて良かったと思っています。
    週末 新作の内環部分の着手
    今日も昨日に続いて工房に篭り、制作三昧の一日を過ごしました。まだ題名が決まらない新作の進捗状況ですが、作品全体はちょうど古代ギリシャで見られる円形劇場のような擂り鉢状の造形になる予定です。一番外側になる円環部分を20個の陶彫に分けて作っていましたが、一番外側の壁になる陶彫20個と、その上に配置する陶彫20個が完成し、現在は焼成を始めているところです。今日はその内側に位置する円環(内環)の大きさを決め、それをまた20個で構成するため、それぞれをどんな造形にするのか構想を練りました。ちょうどこの内環部分が作品全体の中核を成すので、じっくり考えました。今回の陶彫部品には曲面が少なく、平面を折りたたんだような構成要素が大半を占めます。全体では円形になるのに、ひとつひとつは直線(平面)が多いのです。それが新作の特徴と考えたのです。陶を使っての直線的な造形は難しいものがありますが、過去に類を見ない作品にしようと挑戦をしていると言っても過言ではありません。実際は四苦八苦していますが、何とかカタチにしたいものです。内環部分の成形は来週から作り始めます。制作サイクルは順調ですが、残り60個を何とか3ヶ月で作り上げなければならず、余裕がまるでありません。このところウィークディは窯を2回焚いているため、工房での制作は出来ません。と言っても、ウィークディの仕事が年度末を迎えているため、日々の神経疲れが激しく、夜は工房に行く意欲がなくなってしまっているのです。でも、今が粘り時です。今頑張らなければ、先は見えてきません。制作でも職場でも自分が放り出すわけにはいかない、制作では自分の根っこがそれを許さず、職場では自分の立場がそれを許さないのです。オレはまさに生きているなぁと感じる瞬間でもあります。