2013.09.05 Thursday
このところ連日NOTE(ブログ)にアップしていますが、今日も「渦巻紋と輪廻転生」(藤田英夫著 雄山閣)から引用した論考を使ってNOTE(ブログ)を書きます。「縄紋人の心を探求するとき、物の外観だけで判断する人ではなく、その内部に秘められた力が外ににじみでる文化を感じ取り、それを文字に置き換えて大胆に表現できる才能が必要である。外観ではなく内部に秘められた心の内部を読む技術は、前衛彫刻や抽象画の表現技術にも似ている。それはとりもなおさず、研究者は縄紋人と同じ状態になることが求められることを意味する。即ち前衛芸術を理解できない人には、この仕事はまず無理なように思う。また、あれだけ素晴らしい芸術土器と土偶を作った芸術家が大勢いたのであるから、ほかの文化である音楽、踊り、宗教行事などの分野でも当然優れた才能ある人たちがいたと考えなければ理屈が成り立たない、との基本理念で研究を進める必要がある。」限りある出土品の中で縄紋人の心にどのくらい迫ることができるのか、生命力に溢れる火焔土器等がどんな背景と環境で作られたのか、イメージするだけで興味が尽きません。以前に読んだ岡本太郎著の「日本の伝統」の中に縄紋土器に関する文章があります。「強烈な矛盾に引きさかれ、それに堪え、克服する人間の強靭な表情を縄文土器ほどゆたかに誇り、しめしている芸術を私は知りません。」といったことを思い出しながら、縄紋時代に思いを馳せつつ工房で陶土と格闘している自分がいます。
2013.09.04 Wednesday
「キュビズム手法でデフォルムされた井寺古墳型紋様と、単純な直線と円弧が単にコンビネーションで描かれただけの紋様は厳密に区別されるべきものである。井寺古墳のようにキュビズム的手法でデフォルムされ、再構築された紋様は、ここではとりあえず『キュビズム紋』と呼ぶことにする。」と主張する「渦巻紋と輪廻転生」(藤田英夫著 雄山閣)に自分はまだ拘り続けています。本書の論考が自分のツボに嵌ってしまいました。縄紋文化はますます自分を魅了していて、続けてNOTE(ブログ)に掲載することにしました。キュビズムとは形態の革命で、具象絵画がひとつの視点で描かれたのに対し、複数の角度からモノのカタチを描いて、それをひとつの画面に収めたものです。これはルネサンス以来の一点透視法を否定し、20世紀以降の芸術に活路を見出した方法です。ピカソの「アビニヨンの娘たち」が描かれたのが1907年、ピカソとブラックが共にキュビズムを追求したのが1909年ですから、まさに20世紀初頭の芸術革命でした。それが我が国の縄紋時代に同価値観をもって抽象が行われていたとなると、これは衝撃という他にありません。私たち日本人は土着の縄紋人と渡来した弥生人、その他諸々の民族が混血して成り立っているので、縄紋人が直接の祖先というわけではありませんが、芸術的に優れた文明の曙期があったことは自分にとって嬉しい限りです。本書を読み終えた後も縄紋文化関連の書籍を探してみたいと思っています。
2013.09.03 Tuesday
大陸から渡来した紋様ではなく、我が国独自に作られた紋様が直弧紋です。それは渦巻紋にX型を入れて再構築した紋様で、20世紀に興った抽象芸術運動で絵画を抽象化していく過程に似たものがあり、そうした抽象衝動が縄紋時代にあったことが私には驚きです。縄紋人は土着の民で、芸術感覚に優れていたらしいことが様々な文献により分かっていますが、その後、大陸から渡来した弥生人によって国家が形成され、稲作のための開墾や河川の潅漑、また武力による制圧が始まります。そこでは文明としての多くの発明があったものの、功利的な社会構造に移行した反面、縄紋人の芸術性は失われていったようです。直弧紋を見ると太陽神信仰の変形だけではなく、純粋に造形的に見ても美しさを感じます。先日のNOTE(ブログ)の再引用になりますが、「単渦紋をモチーフとして残し、そこにX型の直線を入れ、円弧を鋭角化した上、円弧と鋭角、内部と外部、赤と白、実存と空間、善と悪、真と偽、支配と従属など、彼らの心の内部にある二項対立の視点のもとに渦巻紋を分解し、各部の断片をシフトし、傾け、直角にターンしてX型直線にそわせ、赤白の配色を逆にするなどの移動も含めて、意識的な操作を繰り返して別の絵に再構築した」(藤田英夫著)のが直弧紋です。二項対立の視点はまさに現代芸術の視点です。藤田氏の著した「渦巻紋と輪廻転生」からのさらなる引用を続けます。「縄紋系前衛美術家によって創作された古代キュビズムの直弧紋は3世紀から6世紀まで約300年も創作活動が続いた。その後に前衛美術が世界に表れたのが20世紀になってからであったという歴史を考えれば、日本における古代キュビズムの出現は、まさに世界の驚異的出来事であったというしか言葉がない。キュビズム的直弧紋を描くには特殊な意欲的才能と根気が必要であった。だが渡来人との混血が進むにつれて前衛芸術家の気概を持つ人が次第に減少し、500年ごろにはついに直弧紋は途絶えてしまったのである。」
2013.09.02 Monday
2011年1月分のRECORDをホームページにアップしました。RECORDは一日1点ずつポストカード大の平面作品を作っていく総称で、現在も継続中です。時に彫刻作品のエスキースやメモとして考えたい意向もあるのですが、ホームページにRECORD作品としてアップする以上は、完成度を上げていこうと思っています。所謂作品にするための試行錯誤を繰り返し、きっちり仕上げているのが現在のRECORDです。ですからRECORDにも彫刻と同様に表に出ないエスキースやメモが存在します。ただ、画面のサイズが小さいので自分の作品の中では比較的気楽に作れているかなぁと思います。軍艦島や古墳をテーマにした自分の時事的な出来事を作品にできるのもRECORDの良さです。2011年のRECORDは月ごとの造形要素は決めていたものの語彙テーマを決めずにやっていました。造形要素を見ながら判断し、コトバを捻り出しました。ホームページのRECORDに入るには、このNOTE(ブログ)の左上にある本サイトのアドレスをクリックしてください。扉の画像が出てきますので、RECORDをクリックしていただけると入れます。さらにRECORD一覧が出てきますので、2011年1月をクリックしてください。ご高覧いただけると幸いです。
2013.09.01 Sunday
9月になりました。厳しい残暑から凌ぎ易い季節に変わっていくことを望みます。さて、9月の制作目標を考えたいと思います。夏の暑さから一転し、涼しくなる9月は夏の疲労が出る季節でもあります。疲労を抱え込まないように気遣いながら制作を進めたいと考えています。具体的には陶彫による塔の制作を出来るだけ進めます。塔の彫り込み加飾の基本プランは縦柱の集合体です。未完の塔を陶彫による骨組みで表現したい意図があるのです。塔の構築要素が塔だけでなく床を這っていくようにしたいと考えています。現在、塔とは別に地を這うカタチを作っていますが、これは有機的なカタチで曲面を多用しています。塔の一部となる地を這うカタチは直線的な要素を入れます。RECORDは現在読んでいる渦巻紋や直弧紋に関する書籍から発想を得て作っていこうと思っています。週末である今日は朝から工房で制作に励みました。残暑が厳しく作業はなかなか進みません。9月は三連休がありますが、休日出勤もあり、制作の時間は限られます。例年のことなので、限りある時間をやりくりして頑張っていきたいと思います。