2013.08.11 Sunday
昨日の温度が36度。今日の午後に工房の温度計は37度を指していました。朝から工房で制作をしていると、見る見る汗が噴出してきてシャツはびっしょりになりました。今日も昨日に引き続き何度もシャツを替え、頭に巻いた手ぬぐいも替えました。昨日と今日は成形した陶彫部品に彫り込み加飾を施しています。土練りは肉体を使い、成形は神経を使うので、灼熱の工房で行う作業としては、単純作業を伴う彫り込み加飾が一番いいかなぁと思っています。体温並みに暑い場所で、肉体や神経を使う作業を行うとなれば病気になりかねません。それでも加飾をやっている最中にじんわり出る汗とは違う汗が出てきた時は、作業をストップし、車にエアコンを入れて避難しました。突如大量な汗が滴り落ちたので、これは何か変だなぁと思ったのでした。熱中症の初期段階かもしれないと判断しました。昼ごろは自宅で2時間程度休み、夕方再び工房に行って作業を続けました。2リットルのペットボトルでは足りないくらい水分補給をしたので、内蔵も疲れているように感じます。こういう日は不思議と作業が捗ります。例年厳しい気候の時に作品の全体イメージが見えたり、感じ取れたりするのは自分の性分なのでしょうか。明日から職場に復帰します。出来るなら明日以降も勤務時間後に工房へ行って制作の続きを行いたいと思っています。
2013.08.10 Saturday
朝は掛かりつけの動物病院に飼い猫のトラ吉を引き取りに行きました。旅行中ずっと動物病院に預けていたのです。トラ吉を連れて自宅に戻る時間には大変な猛暑になっていて、自宅の空調を点けっ放しにして自分は工房に行きました。工房は空調がなく大型扇風機2台で対応していました。自宅にいる猫のほうが涼しい環境にいて、主人である自分は蒸し風呂のような環境で制作をしていました。今日の横浜は36度あり、ほとんど体温と変わらない厳しい暑さでした。自分は汗かきで水分を人一倍摂取するため今まで熱中症になりませんでしたが、昼ごろ呼吸がやや苦しくなったので、昼食は近くにあるファミリーレストランに逃げこみました。そこで体調を整えてから、再び工房に戻って制作を再開、無理のない範囲で彫り込み加飾をやりました。今日は今夏で最も暑い一日だったようです。工房で身体に不調を感じたのは初めてでした。上着が汗でびっしょりになって何枚か着替えしましたが、その数も今まで以上でした。夕方早く作業を終えて自宅に戻りました。明日も工房は厳しい環境になりそうです。体調を考えながら作業を継続したいと思います。
2013.08.09 Friday
今日は長野駅前のホテルから軽井沢方面に向けて出発しました。軽井沢へは随分昔に行ったことがあり、ほとんど忘れかけているので、この機会に軽井沢に点在する美術館が見たいと思ったのです。中軽井沢にあるセゾン現代美術館、千住博美術館、それから軽井沢にある脇田美術館を見てまわりました。セゾン現代美術館では野外設置された若林奮の錆びた鉄によって思索を誘発させる複数の彫刻、井上武吉の墓地を思わせる場の創出空間、篠田守男のワイアーを張った機械のような彫刻等々、久しぶりに自分の学生時代に刺激を受けた作品群に出会うことが出来ました。企画展「魂の場所」も見ましたが、感想は機会を改めます。千住博美術館では象徴的な滝をテーマに作り続ける日本画家の世界に触れることができました。ここでは美術館建築が面白く、曲面を多用した空間に惹かれました。脇田美術館では画家のアトリエを囲むように建てられたモダンな美術館が、とても心地よい空間を作っていて、その中でゆったりと絵画を鑑賞できるようになっていました。贅沢で快適な空間の中で現代美術を鑑賞する、これが軽井沢に点在する美術館から受けた印象でした。今週月曜日に出かけた長崎の軍艦島は、長い期間放置され、崩壊の一途を辿る空間にアートを感じました。今日金曜日に見た長野の軽井沢にあるモダンで開放感溢れる空間に置かれたアートは、軍艦島で感じたアートとは対極のモノでありながら、何か通じる感覚を持ちました。夏季休暇は今日で終わりですが、アートとは何かを考える良い機会だったと思っています。
2013.08.08 Thursday
今週は長崎旅行に次いで、長野県に出かけました。夏季休暇2日間をここで使い、今夏の休暇は全て終了です。朝から自家用車で中央高速、長野道を通って東筑摩郡の麻績へ向かいました。ここに師匠の池田宗弘先生が住んでいて、先生の住居兼工房エルミタを訪ねていくのが毎年恒例になっているのです。エルミタの住居エリアにキリスト教会の祭壇を先生自ら作られていますが、数年かけてもまだ完成していません。長崎市内の教会から依頼されている十五聖人像の制作が切迫していて、エルミタの祭壇に手が回らないといった状況でした。長崎市には既に舟越保武制作による日本二十六聖人像がありますが、彼の地で殉教したキリシタンは二十六聖人だけではなく、池田先生が制作している十五聖人像も再来年には山中教会に設置されるそうです。二十六聖人像はレリーフですが、十五聖人像は立体群像です。聖人一人ひとりの衣服や身につけている装飾品、表情まで研究して細かな作り込みをしていました。今のところ9体が完成していると言っていましたが、設置までの日程を考えると厳しいなぁと思いました。この師匠にしてこの弟子と考えるべきか、制作工程に追われているのは自分だけではないと実感しました。聖人像は全てブロンズ鋳造によるものですが、先生の面目躍如たる真鍮直付けの作品も同時に制作していて、これは依頼の仕事とは別にやっているそうです。70代半ばを迎えた先生のバイタリティを見習うべきと考えました。夕方エルミタを後にして、長野駅に向かい、駅前のホテルに泊まることにしました。例年日帰りでエルミタに行っていますが、道中が長くてつらいので今年はホテルを取りました。
2013.08.07 Wednesday
軍艦島は極めて刺激的な島でした。1810年頃に石炭が発見されて以来、三菱が本格的な海底炭鉱として操業を開始した端島。人工が増え続け1916年には日本初の鉄筋コンクリートによる高層集合住宅が建設され、その後も住宅は密集し1974年に閉山するまで端島は幾度も埋め立てを行い、独特な景観を作り上げたのでした。端島は外観が軍艦「土佐」に似ていることから軍艦島と呼ばれるようになり、しかも現在はコンクリート廃墟群が並ぶ無人島として存在しています。端島は近代化産業遺産のひとつで、最近になって一部上陸が可能になったようです。島内は野晒しで崩壊が進む中、上陸可能な道が整備され、1時間程度の滞在が出来るようになりました。自分はここでコンクリートの素材感に圧倒されました。また剥落した壁や荒涼とした鉛色の風景に創造的なイメージが掻き立てられました。ロック歌手のミュージックビデオに使われたり、映画撮影に使われたりしたという説明を聞いて、今後もこの景観を利用するメディアが増えるのではないかと思っています。虚無感が美しいと感じる背景に、この島にも悲劇があったものの、原爆ドームのような絶対悪の遺産とは異なるエネルギー資源の変換という社会的状況があることで、まだ美学が入り込む余地があると自分なりに考えました。決して負の遺産ではないところで、そこにアートとしての価値を見いだせるのではないかと思います。