2012.07.16 Monday
今日から東京銀座のギャラリーせいほうで個展を開催いたします。今日はオープニングで、懐かしい人や職場の人、大学の先輩や後輩、友人や親戚まで来ていただきました。今回も感謝に堪えません。とりわけ師匠の池田宗弘先生が長野県麻績から来ていただいたのには驚きました。朝9時前には長野県を出発し、2時過ぎにギャラリーに現れました。池田先生は2時間近く画廊主の田中さんや自分と談笑し、また私を励ましてくれました。思え返せば自分は学生時代に池田先生の個展搬入の手伝いとして、初めてギャラリーせいほうに足を踏み入れたのでした。あれから20年以上も経て、自分が同じ画廊で個展ができる幸せをかみ締めています。今年は池田先生が6月に個展を開催し、自分は今日から個展をやっています。願いは叶うと改めて感じた瞬間でした。オープニングパーティーにも多くの人たちに来ていただいて、楽しいひと時を過ごしました。図録を作っていただいたカメラマンにその場の雰囲気を撮影していただきました。二次会は例年のように銀座ライオンに行きました。来ていただいた方々に活力をもらって、また来年に向けて頑張ろうと思います。
2012.07.15 Sunday
この三連休は充実しています。昨日は東京銀座のギャラリーせいほうでの個展に備えて作品を搬入しました。今日はギャラリーが休みで、明日がオープニングになります。作品は搬入・飾りつけが終わってしまうと万事休すで、気持ちの上では終了しています。後はギャラリーに来てくださった人たちから感想やご批判をいただくだけです。それが未来へ向かう糧になりますが、作品は一人歩きを始めるので過去のものとなっていくのです。三連休の中日である今日は、過去の作品にけじめがついて、次なる新作の作業に没頭することができました。気持ちが良いはずの今日ですが、新作に取り組んでいると今までの作品は頭から消えてなくなり、新作の課題がいろいろ見えてきて、越えなければならないハードルがいくつも見つかって苦しい時間を過ごしました。創作活動とはそんなものかもしれません。例えばこれは螺旋階段を淡々と昇り続け、そのうち足を踏み外したり、出口を見失ったり、回り道をしても無駄になったりするものです。昇り始めは意欲があっても毎回キツい試練が待っているのです。雑駁な言い方をすれば作品制作は最初と最後がキツいと感じます。過去の作品をギャラリーで眺めつつ未来の作品でキツい思いをしている、そんな時期が毎年やってきます。作品を展示していても有頂天になれない自分がいます。最近は創作で苦しい思いをするのはいいものだと自分を楽観視するようになりました。来年の個展も何とかなるさ、綱渡りの綱はきっと太いに違いない、落下を免れて、さらに上昇してイメージ通りの作品が完成する、そんなことを心に刻んで、過去から未来へのバトンを繋ぐことにしました。
2012.07.14 Saturday
ついにこの日がやってきました。昨晩からどしゃ降りの雨が降り、時より雷も鳴っていましたが、朝になると青空が顔を出しました。運搬業者2名、アシスタント2名と自分の5人で、午前10時に工房にある作品の積み込みを終了、一路東京銀座に向かいました。途中首都高が渋滞し、ギャラリーせいほうに到着したのは11時を回ってしまいました。梱包を解き、作品を組み立て始めたのは昼ごろです。大きな三双屏風「発掘~混在~」を手始めに、「発掘~場~」「発掘~住居~」「発掘~棟~」を設置し、最後に5点の「陶紋」を展示台に並べて、お互いの作品の間合いを見ました。今回は全体的にすっきりした印象を与えます。それぞれの直方体の中に陶彫が収められた作品なので、外へ向かう動きがないのです。昨年のようにサークル状に柱を組むものはありません。ひとつひとつの作品が内側に向くようにしてあるため外見はシンプルです。これから時間をかけて、じっくり見ていくうちに課題が見つかると思います。それにしても今日は疲れました。1年1回の晴れ舞台。納得と反省が交差する時。でもこれがあるからこそ次へ向けて頑張れるのだと思います。
2012.07.13 Friday
ドイツの文豪であるヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテがその生涯を費やして書き上げた戯曲「ファウスト」。岩波文庫より出版もされているようですが、いまだに読んだことがありません。「ファウスト」に初めて接したのは、在欧中にウィーン国立歌劇場でグノーのオペラ「ファウスト」を観た時だったように記憶しています。オペラとしてアレンジされている上、細かな台詞もわからなかったのですが、悪魔メフィストの誘惑によってファウストは罪を犯しながら、常に人間として向上しようとする意志やその迷いが伝わってきた印象でした。戯曲「ファウスト」は、人間に与えられた理性を巡って万物の創造主と悪魔が賭けをするところから始まり、ファウストはメフィストとあの世での魂の服従を交換条件に現世での快楽や悲哀を体験していきます。ファウストは素朴な娘マルガリータと恋に落ちて身籠らせ、さらにマルガリータの母や兄を邪魔だという理由で殺してしまいます。皇帝に仕え地位を得たファウストは経済再建を果たし、美女ヘレネーと結婚しますが、一人息子を失います。領地を譲り受けもしますが、ファウスト自身は失明し、やがて死んでいくのです。重大な罪を犯しながら、一方で尽力に対する評価も与えられます。これがファウスト的生き方(魂)と言えるものかもしれません。戯曲の最後にマルガリータの天上での祈りによってファウストの魂が救済されていくのです。ヴァーグナーのオペラにも表れる純粋な愛による魂救済の顛末は、自分にとってはまさに西洋そのものですが、日本人である自分はそこに違和感を覚えました。ファウストは手塚治虫による漫画もあるようです。今夏はこれを読もうかと思っています。
2012.07.12 Thursday
ウィークディは公務員、週末は彫刻家として余裕のない日々を過ごしている自分ですが、時間があれば工房内の室内環境を整えたり、倉庫の効率化を図ったりしたいと願っています。さらに願うことは雛型を多く作ってみたいのです。1年1回の夏の個展のために自分は1年間かけて彫刻制作をしていて、必要に迫られれば雛型を作っていますが、これにしても時間的余裕のない中でやっているので、雛型としては見せられるものではありません。雛型制作を考えるに、これは必要に迫られて作るものではなく、実寸の制作があろうとなかろうと様々なものを数多く作って、自分のイメージの蓄積をしておきたいのです。さらにどこかで「雛型展」ができたらいいなぁと思っています。素材は細工が容易にしやすいという理由で石膏や木材や紙を考えています。建築模型のように自分が模型サイズになって、そこに入り込めたら最高です。野外の広場や緩やかな丘を想定して、そこで憩える造形をやってみたいと思います。イメージの具現化をするのに雛型は時間をかけずに作れます。そんなところが雛型に惹かれる理由です。