2024.01.03 Wednesday
「カラヴァッジョ」(宮下規久朗著 名古屋大学出版会)の第2章「1600年前後のローマ画壇とカラヴァッジョ」の中の「4 アンニーバレ・カラッチ 」の気になった箇所を取り上げます。以前のNOTE(ブログ)に書きましたが、バロック時代の美術史に弱い私は、当時活躍した画家の名前を知らず、また流派も知りません。手探り状態で本書をとつおいつ読みつつ、カラヴァッジョ以外の画家による作品を思い起こすことに難儀しています。「『革新者』カラヴァッジョとともにローマ画壇に衝撃を与えた『改革者』アンニーバレ・カラッチ は、しばしばカラヴァッジョと比較されてきた。~略~より具体的に影響があると思われるのは、アンニーバレの《聖ロクスの施し》である。1594年から95年頃に描かれたこの作品はアンニーバレのボローニャ時代の集大成といわれ、また偉大なバロックの群集構成を示す最初の作品であるともいわれる。~略~1607年にカラヴァッジョがナポリで描いた《ロザリオの聖母》にも、聖ドミニクスの持つロザリオに向かって人々が殺到する情景が見られ、このダイナミックで力強い集中する手の表現にアンニーバレの作品を研究した痕跡が認められるようである。」カラヴァッジョの絵画修業には師匠だけでなく、好敵手となる同僚などもいて、当時のローマ画壇は活気に満ちていた様子が伺えます。私の若い時に出かけたイタリアで、教会や礼拝堂に収蔵された宗教画の数々を見て回りましたが、当時はただ漫然と眺めていたに過ぎなかったことを改めて恥じています。しかしながら、その質量の多さに異文化からやってきた私は辟易していたこともありました。「若い頃からフレスコの大画面で習練していたアンニーバレと比べ、カラヴァッジョが群像処理を苦手としていたことはあきらかであり、強い明暗対比によってその弱点を隠そうとしたといってもよい。いずれにせよ、アンニーバレのモニュメンタルな《聖ロクスの施し》の記憶は、カラヴァッジョの《ロザリオの聖母》と《慈悲の七つの行い》という、1607年のふたつの大画面に投影されたと考えられるのである。」今回はここまでにします。
2024.01.02 Tuesday
NOTE(ブログ)の本題に入る前に、昨日石川県能登を襲った大地震と津波を心配しています。被害が甚大だった輪島は、以前輪島塗を見に訪れたことがあり、そこで何軒かの店で店主さんに伝統工芸について話を聞かせていただきました。美しい佇まいの町に思いを馳せ、そこの被害が映し出される度に心が痛みます。正月のゆっくりしていた時間帯に突如やってきた災害に、我が国にいれば決して他人ごとでは済まない状況に私も複雑な思いを抱きます。亡くなった方にお悔やみと一刻も早い復興を祈願しております。さて、今日1月2日は書初めを行う日ですが、私は書初めならぬ作初めを行いました。書初めは元々宮中で行われていた儀式で、若水で墨を摺り、恵方に向って詩歌を書く習慣があり、江戸時代以降に庶民にも広がったとネットで知りました。教職に就いていた頃は、生徒による書初めを、新学期になって教室の内壁全体に吊るしていて、私はそれを鑑賞するのが好きでした。今日から私は工房に籠って、作初めとして座布団大のタタラを数点作りました。成形はタタラ作りと紐作りの併用なので、まずは大きめのタタラを作り、そこをビニールで包んで一日放置するのです。工房は昨年大晦日に窯入れをしているので、昨日は窯内温度の確認に来ました。元旦に作業をしなかったとしても工房は稼働しているわけです。今日は窯内温度が下がってきたので、電気を復旧し、陶彫の作業をしたのでした。実は昨日やっていた相原家の正月行事で忘れていたことがありました。昨日菩提寺の住職に挨拶に行った時に、墓地の清掃をしていないことに気づきました。今日の昼頃に家内と菩提寺に出かけて、墓地を清掃し、花を手向けてきました。これは先祖への供養ですが、今日は作初めをしましたよという報告でもありました。今年も健康で日々陶土と接していきたいものです。
2024.01.01 Monday
2024年の元旦を迎えました。昨年から世界情勢が落ち着かず、今も戦争が継続しています。領土問題や民族紛争が解決しない限り、戦争の終結が見えません。今年になってこの世界情勢がどうなっていくのか、誰にも分からない状況です。世界中が平穏に過ごせる日が一刻も早くきて欲しいと願っています。さて、元旦になると私は毎年やることがあります。自宅の脇に僅かな山林が残されていて、そこに小さな祠があります。その祠には稲荷の札が納めてあって、毎年その札を新しいものに換えるのです。その祠はもともとそこにあったものではありません。祖父母の時代に近所に捨ててあった稲荷を祖父母が拾ってきて、小さな祠を建てて祀ったものです。私は朝食前に小さく刻んだ餅と油揚げを持って祠に行き、そこに納めてきます。雑煮による朝食を済ませたら、菩提寺に出かけて行って住職に新年の挨拶をしてきます。それから家内と東京赤坂まで出かけていき、豊川稲荷で護摩を焚いてもらうのです。そこで受け取った木札は自宅のリビングに、紙の札は祠に納めてきます。それは両親の時代からやっている我が家の行事で、車好きだった亡父は愛知県豊川市の豊川稲荷妙嚴寺まで出かけたこともありました。私たちはとても亡父のように遠方には行けず、東京別院で済ませています。相原の家は、祖父までが何代か続いた大工で、父が造園業を営んでいたため、商売繁盛の稲荷を拝んできたと思われますが、私にはあまり縁がなく、彫刻はいっこうに売れません。それでも家内安全が守られているので、毎年同じことを繰り返しているのです。私は神仏に対して最低限の事しかやっていないし、宗教にも詳しくありません。自然の赴くまま毎年の行事を行っているに過ぎません。しかもこんなことをするのは元旦だけです。明日からまた工房に行って陶彫制作に励みます。1年間制作をやっているのが私の心の安定に繋がっているので、祈祷よりも創作活動が私に生きる喜びを与えていると言っても過言ではありません。
2023.12.31 Sunday
2023年の大晦日を迎えました。今年は、世界情勢を見ると昨年に劣らず世界史に残るような大変なことがありました。昨年ウクライナに軍事侵攻したロシアは今も硬直状態にあり、戦争は終わっていません。加えて今年はイスラエルがガザ地区に組織を構えるハマスを撲滅するための軍事作戦を続けています。国際社会の無力さが私たちにも伝わってきて、自国を防衛する予算は膨れ上がっています。平和は脆いものだと改めて認識しました。そんな中で前向きな気持ちになることもありました。それはスポーツで、昨年サッカーで興奮を覚えた私は、今年になって野球に心が奪われました。普段は野球を見ない私がWBCの中継に一喜一憂し、活力をもらいました。テレビで大谷翔平選手の姿を見ない日はなく、将棋の藤井聡太八冠を含めて、若い世代の活躍が眩しかった1年でした。日本のアニメの表現力にも溜息が出た1年だったと振り返っています。アニメーションは美術の分野だと私は思っていて、教職に就いていた頃も生徒たちとよくその話をしていました。その教え子たちが美大生になって私の工房にやって来て、アニメ情報を齎せてくれます。最近のJポップはアニメの主題歌に使われることが多く、私には世代を超えて聞き覚えのある歌が多くあります。同世代の人たちが今の歌は分からないと言っていますが、私は今風の複雑な曲想とテンポに何とかついていっています。創作活動は陶彫立方体を2年にわたって作り続けています。今夏は18回目の個展を開催しましたが、毎年続けていかれる身体能力と健康に感謝です。一日1点制作のRECORDは、遅れを取り戻すべく頑張った1年でしたが、なかなか思うように進まず、これも陶彫制作と並んで深化性のある表現活動だなぁと思っています。最後にホームページについて。このホームページは私の創作活動の面から情報発信をしているもので、画像は陶彫作品とRECORD作品に限られています。カメラマンと相談しながら画像の構成をしていますが、今後はさらに充実させたいと考えています。NOTE(ブログ)は日々の記録ですが、日記というより展覧会や映画の感想、書籍等から得た知識、作品の進行具合など思いつくまま書いています。拙い文章を読んでくださっている方々に感謝申し上げます。来年もよろしくお願いいたします。皆さまにとって来年が良い年でありますようにお祈りしています。
2023.12.30 Saturday
週末になりました。いつもなら週末に今週の制作状況を書いていますが、今日は晦日であり、今週とともに12月をも振り返ってみたいと思います。例年、大晦日は年間のNOTE(ブログ)の振り返りを掲載しているので、一日早く今月のことを書いていきます。今週は相変わらず毎日陶彫制作に励んでいましたが、水曜日の夕方に家内とエンターテイメント系映画館に「PERFECT DAY」を観に行って、ベテラン俳優の演技力に感銘を受けました。友人の竹中直人君も機会が与えられれば、こんな役が出来るのではないかと家内と話し合いました。私の彫刻もそうですが、世に出るチャンスがどこかでやってきてほしいし、それは神のみぞ知るので期待せずに待っているのです。今月の制作状況ですが、31日間のうち30日間を工房に通いました。そこには明日も含まれていますが、明日は窯入れをするために必ず工房に行くと決めています。工房に行かなかった日は鎌倉の美術館に出かけていました。教職に就いていた頃は、現在の休庁期間で時間を惜しみつつ創作活動に邁進していましたが、今となっては日々創作活動に取り組んでいるため、休庁期間の有難味はなくなっています。今月の美術鑑賞は「イメージと記号」展(神奈川県立近代美術館鎌倉別館)、映画鑑賞は「鬼太郎誕生」と「PERFECT DAY」(両方とも鴨居ララポートTOHOシネマズ)に行ってきました。映画鑑賞が充実していた1ヵ月でした。RECORDは毎晩食卓でやっていますが、今も遅れ気味です。先日、後輩の彫刻家が工房で作品撮影をするためカメラマンを呼んでいたので、RECORDの追加分もついでに撮影していただきました。読書ではバロック時代の画家カラヴァッジョの生涯を描いた書籍を読んでいます。私は後期マニエリスムからバロック、ロココ時代の知識が抜け落ちていて、カラヴァッジョを取り巻く状況がよく分かっていません。初めて知る画家の名前が多く出てきて、イメージが掴み難いのですが、宗教画史も含めてこの際学習していこうと思います。