Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 週末 撮影までの1週間
    図録用の撮影日が新作の完成日になる関係で、今週は全作品が無事に完成することを祈る1週間でした。というのも、陶彫には最終工程として焼成があり、窯に入れると人の手が及ばない世界が待っています。そこでは無事に作品が焼き上がるのをただ祈るしかなく、今週の最後になって窯に入れた「発掘~坪庭~」の陶彫部品4点が気がかりでした。無事に焼き上がってホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、「発掘~坪庭~」の土台制作に取り掛かりました。「発掘~坪庭~」は従来の作品と同じような制作工程を踏んでやっていきましたが、何とか砂マチエールとそこに染み込ませた油絵の具が一刻も早く乾燥することを願っています。昨日は図録の雛型作りと新作陶彫に欠かせない新しい印のデザインをやっていました。正直に言えば、よくぞここまで辿り着けたものだと思っています。今週は作品撮影に向けた気忙しい1週間になりましたが、教職にあった頃に比べれば、気持ちは落ち着いていたように思います。毎日工房に通って制作に邁進できることが、以前の生活よりも精神的に安定したものになっているのだろうと私自身は振り返っています。もうひとつ気がかりなことがありました。台風接近に伴う天候で、撮影日に暴風雨になっていたらどうしようかと思っていたことです。台風は日本各地に甚大な被害を齎せたものの、明日は台風一過で晴れる模様です。これにもホッと胸を撫で下ろしました。まず明日の撮影が無事に終わることを考えたいと思います。
    図録&印のレイアウト
    私は図録撮影の時には必ず、図録の雛型を作ってカメラマンに渡します。雛型の内容は鉛筆で走り書きした簡単なものですが、頁ごとに撮影場所や作品の種類を示しています。自分の中で考えたレイアウトをカタチにして、自作の見え方を確認するのです。私は自分自身で撮影はしません。現在読んでいる「像をうつす」(金井直著 赤々舎)では、現代彫刻の父と呼ばれたブランクーシが自らの作品やスタジオを、自分で撮影した写真で保存しているようですが、私はカメラマンという別の個性を入れることで、私自身が気づかなかった視点を入れています。もう20年近く懇意にしているカメラマンとは、よく一緒に仕事をしているので、そこに感覚の齟齬はありません。寧ろ私の作品に対して意外な解釈をしてくれて、私自身の世界観が広がるような思いがあります。今日は図録の雛型を作っていました。私の図録はもう18冊目になりますが、同じサイズ、同じ頁数で作っています。そうしたシリーズ化によって、作品の展開の経緯が分かるのです。今回は平面RECORDを図録に入れるのが今までにない特徴です。今日は陶彫作品に貼る印のデザインもやっていました。私の陶彫作品は集合彫刻なので、その組み合わせを番号順にするために、和紙に印を押し、そこに番号をつけて、陶彫作品の見えない部分に貼っていました。陶彫作品は毎回部品が多いので、混乱を避ける目的で印を毎回新しく彫っているのです。これは梱包を解いた時に他の作品と区別するためでもあるのですが、作品につけるサインという目的もあります。「発掘~記録~」は全体構成がないので、番号をつけた印は必要ないのですが、サインという目的だけに固執して印を新しく作ることにしました。実はこの作品には日付が陶面に刻印されていますが、印にも日付を入れるつもりです。「発掘~坪庭~」は従来通り、印に番号をつけて貼っていきます。印は撮影にはまだ必要ないので、撮影後にゆっくり制作をしていきます。
    個展準備に費やす6月
    6月になりました。来月は東京銀座のギャラリーせいほうで個展があります。毎年企画していただいていますが、今年で18回目の個展になります。今回の個展には「発掘~記録~」と「発掘~坪庭~」、それと額装した平面RECORD5点を出品する予定です。毎年出していた小品「陶紋」は出しません。今回、平面を壁に掛けることが私にとって初めての試みです。5点というのは月ごとにパネルにして額装するので、1月から5月までのRECORDになります。このRECORDと「発掘~記録~」は連動していて、同じ日付の立体と平面が同じデザインとして造形しています。陶彫という素材感が前面に出た立体と、色彩や描写がある平面との違いを自分としては一番関心を持ってもらいたいと思っているところです。さて、その準備に今月は費やす予定ですが、まず4日に図録用の撮影があります。それが終われば梱包に入りますが、今年の作品は数が多いので、どのくらいの木箱を用意したらいいのか見当がつきません。並行して来年に向けた「発掘~記録~」の継続制作にも入ります。今回の個展が最終ゴールではなく、折り返し地点の中間報告になるため、すぐに来年に向けた取り組みを始めていかなければならないのです。この継続姿勢は私が望んでいるもので、まだ結果が見えないことに私は意欲を燃やします。終着点やら決着することに私は苦手意識があって、どんな状況であっても展開していく世界観を持ちたいのです。自分の性格から言って、創作活動は生涯挑み続けていくんだろうなぁと思います。とりあえず今は図録用の撮影がうまくいけば、多少肩の荷がおりるのですが…。今月は余裕をもって過ごしたいと願っています。休日がないのは慣れましたが、遊び心まで擦り減ってしまうのが問題です。
    陶彫に明け陶彫に暮れた5月の日々
    今日は5月の最終日です。7月の個展で発表をする作品の完成を今月末に設定している関係で、今月は陶彫に明け陶彫に暮れた日々でした。陶彫は一昨日最後の窯入れがあって、これがうまくいけば完成になります。まだ「発掘~坪庭~」の土台の塗装が残っていますが、ここに設置する陶彫さえ完成すれば目標達成になります。151点で構成する「発掘~記録~」は全て焼成が終わっています。先月の最終日に書いたNOTE(ブログ)を読むと、先月もほとんど作業を休まず、一生懸命制作に取り組んでいましたが、今月はさらに拍車をかけて制作に邁進していました。31日のうち1日だけ東京の美術館に出かけた日がありました。それ以外は朝から夕方まで工房に籠っていました。今月は4回の窯入れをしました。窯入れをした翌日は、焼成にかかる電力の関係で工房の照明が使えませんが、それでも自然光のもとで作業を続けていました。平面RECORDも5月末までの作品を完成させ、落款をしてケースに仕舞いました。今月これだけ焦ってやっていたのは来月4日に図録用の写真撮影を予定しているからです。台風の到来が心配ですが、今回の図録は室内撮影を多く占めるので、何とか予定通りやっていくつもりです。今月は寝ても覚めても陶彫のことばかり考えて過ごした1ヵ月でした。鑑賞では2つの美術館に出かけました。「重要文化財の秘密」展(東京国立近代美術館)、「古寺巡礼」展(東京都写真美術館)に行ってきました。制作が佳境を迎えた時に出かけた美術館での体験は、自分自身の芯に染みわたるほどの気持ちになりました。世の中は美的なものに溢れていると本気で思ってしまいました。世知辛い国際情勢の中で、心を豊かにするものがこんなにあるんだと改めて思った次第です。ただし、今回作っている「発掘~記録~」は来年も継続していくもので、半分以上は来年に向けての課題です。私はこうした考え方が大好きで、遠くに見えるゴールに向かって、焦らず休まず、只管積み重ねていく道程を信条としています。今回の図録撮影は折り返し地点に過ぎません。さらに先を見据えながら、来月もやっていくつもりでいます。
    「写真家ブランクーシ」について
    「像をうつす」(金井直著 赤々舎)の「3 ブランクーシ 彫刻を拡張する写真」について、その後半部分の「写真家ブランクーシ」を取り上げます。「アマチュア風と評されるも、ブランクーシは生涯、自作の撮影を止めなかった。結果、ブランクーシの遺品を受贈したパリの国立近代美術館には、彫刻家による560点近いオリジナルネガと本人が焼いた1250枚ほどのプリントが遺されている。」これは単なる彫刻作品の記録ではないと考えた方がよさそうです。「ブランクーシは何を写そうとしたのだろうか。個々の彫刻ではあるだろう。しかし、それと同時に、像表面をかすめる微候や、スタジオ全体の雰囲気、そこに現れる対比や変化のしるしではなかっただろうか。~略~ブランクーシはそれなりに手間のかかる置き換えを、スタジオ風景の撮影のためだけにおこなっているのだ。つまり、ここでは明らかに、個別の作品よりも空間(の写真)の構成、言わば画作りに意が払われているのである。ブランクーシは、スタジオ内の作品というよりも作品のあるスタジオを写し続けていたのだろう。~略~さらにはスタジオ内で一人鋸を挽き、ハンマーを振る姿を自撮りすることで、あるいはスタジオ内で自作に囲まれてたたずむ、打ち解けた雰囲気のセルフポートレイトを仕立てることで、スタジオこそがひとをアーティストにし、石や木を彫刻に変える創造の坩堝なのだ。そのことを彫刻家の数多の写真が教えてくれる。」ブランクーシにとっては写真は彫刻と同じ表現媒体であったのは確かなようです。「いずれにせよ、写真をもってブランクーシが自身の多様な造形世界を支え、さらに拡張し、また、自らの創造者イメージを強化していたことは間違いあるまい。近代彫刻史上、傑出した役割を果たしたブランクーシこそが、じつは彫刻と写真の接続を、もっとも確かなかたちで実現した人物であったことは、あらためて強調しておきたい事実である。」今回はここまでにします。