Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 新しいテレビがやってきた日
    私は自宅にある家電は故障しなければいつまでも使っていて、家電を購入することは滅多にありません。パソコンも新しいタイプが出ているにも関わらず、私は時代を追うことから逸脱している生活をしています。数年前にスマートフォンを夫婦で購入しましたが、私は家内に比べて使いこなすことがうまく出来ません。こんなアプリがある、あんなアプリがあると勧められてもピンとこないアナログ人間なのです。それでも10年以上も経つと、いろいろな家電が故障して2年前くらいに冷蔵庫や洗濯機を購入して、これが我が家では最新式かなぁと思っていたら、今度はテレビの液晶画面がおかしくなっていました。画面半分が暗くなっているので、これを何とかしようと説明書を読んでも対処方法が掲載されていず、これは新しいテレビを買うしかないのかなぁと思っていました。先日、家電量販店に夫婦で出かけていき、あれこれ選んで購入し、今日新しいテレビが届きました。古いテレビはお金を払って引き取ってもらいましたが、リサイクルにもお金がかかるんだなぁと改めて確認をしたのでした。新しいテレビは画面がクリアで、なかなか楽しい時間を過ごせています。私たちは地上波以外にもいろいろ入れているため、自宅と工房を行き来する生活が多少潤って、楽しみが増えた感じをもちます。私は嘗てテレビを見ることがなく、創作活動や読書に時間を割いていましたが、最近はそんな気負いもなくなってボンヤリとテレビを見ている時間があります。テレビやパソコンは一方的に情報が与えられ、考え方が左右されることもありますが、まぁそれでもいいかと思うようになりました。最近の自分は若い頃と明らかに違っていて、緩やかな時間を過ごしています。
    週末 制作&市長選挙へ
    日曜日になりました。日曜日は2人の美大受験生が工房にやってきます。彼女たちは夏期講習が終わったようで、講習中に出された課題をやっていました。自宅でやればエアコンが効いた室内があるというのに、なぜ工房に来て悪条件の中で制作をしているのか、工房には怠け癖が出ない不思議な雰囲気があるようで、蒸し暑い工房でも集中力が増すのかもしれません。私も彼女たちに負けないように汗を滴らせて夢中で陶彫制作に取り組んでいました。最近は午前中だけ制作をしている私ですが、この日ばかりは夕方まで作業を頑張っていました。昼食だけは近隣のファミリーレストランに出かけ、受験生2人と涼をとります。高校生にもいよいよワクチン接種が始まるようで、彼女たちは早めに予約を入れる話をしていました。私の制作内容は、現在のところ窯入れをする作品の仕上げと化粧掛けに明け暮れています。それと同時に作品全体のスケールも考えています。今年の7月に発表した「発掘~盤景~」よりやや小さくなる予定ですが、全体は不定形になるだろうと考えています。「発掘~盤景~」のようにきちんと円形になることはありません。「発掘~盤景~」は計算づくめで作っていました。結果、均衡の取れた造形になり、大きく失敗することもありませんでした。その分、飛躍した空間がなく、自分の想定通りの作品になりました。新作はその均衡を崩そうと試みているのです。予め雛型を作ろうと思っていますが、雛型も緻密に作ってしまうと、そこでもバランスを考えてしまう嫌いがあって、雛型は最小限のものに留めようと思っています。蒸し暑い工房にて、汗まみれの頭を振りながら、何気なく全体を掴もうと足掻いている一日を過ごしました。夕方、彼女たちを車で送ってから、家内を誘って横浜市長選挙に行きました。人口の多い市政を任せられる人は誰なのか、自分なりに考えたつもりです。
    週末 4点で構成する陶彫「島」
    週末になりました。土曜日は今週の制作工程について書いていきます。今週は3回の窯入れを行い、焼成が終わった作品が4点になりました。土台になる大きめな陶彫部品が2点、その上に積み重なるやや小さめの陶彫部品が2点の合計4点です。それによって新作初のまとまりが具現化しました。4点で構成するまとまりを今回は「島」と呼ぶことにしました。昨年制作した「発掘~聚景~」は蒲鉾型の陶彫部品が連結して四方八方に伸びていき、それが集合し、ひとつにまとまった部分を「ステーション(駅)」と呼んでいました。今回の新作は連結がなく、部品を積み木のように組み立てることから、これを「島」と呼ぶことにしたのです。今のところ「島」は全部で4ヶ所作るつもりでいます。しかも全部の「島」を4点で構成させるわけではなく、構成する数はまちまちです。現在は8点で構成する「島」を作っている最中です。「島」がひとつ出来たことで、周囲の環境が考え易くなりました。今のところ厚板を3層にして重層した空間を周囲に作ってみたらどうだろうと思っています。やはり雛型があった方がいいのかもしれませんが、もう少し時間をかけて周囲の空間について考えを巡らそうと思っています。今月は晴れると暑さが戻ってきて、午前中の作業だけで汗がシャツに滲んできます。雨は雨で湿度が高く作業するのには厳しい状況でした。しかしながら陶土は湿度が高い方が細工がやり易く罅割れも少ないのです。湿潤な日本の風土が陶芸には向いていたという証拠でしょうか。夏に窯を焚いている脇で作業をするのは、なかなか大変で、私にとっては初めての経験です。電気の関係で一日は工房を空けますが、翌日からは窯の温度が下降線を辿るので、電気を復旧して作業を開始します。熱中症にならないように気を使いながら、毎日作業に励んでいます。
    お礼状の宛名印刷
    先月、東京銀座のギャラリーせいほうで開催した個展に来ていただいた方々にお礼状を作りました。個展開催中にカメラマン2人が来廊して、会場の様子を撮影してくれました。個展が終わってちょうど1ヶ月くらいしてお礼状を出すようにしています。忘れた頃にもう一度私の作品を思い出していただきたい意図と、わざわざ東京の銀座まで足を運んでいただいたことに感謝を込めてお礼状を出していますが、これは芳名帳にあった住所が分かる人だけに限られてしまっていて、住所のない人には申し訳ないと思っています。私自身もお礼状に宛名印刷をして、漸く今年の個展が終了した感覚を持つことができるのです。創作活動はずっと続いていくもので、個展が終わったからといって、私は毎年の個展に納得できるものでもなく、そこを補うように新作に励んでいるのです。何を作るのかは、私にはもう分かりきっていて、課題解決のためにどう作っていくのかが問題なのです。過去の作品にこれはいいと思えるものがひとつもないというのが本音です。来年こそは納得のいく作品が作れるように願って、日々工房に通っていて、陶土に向き合っているのですが、未来への願望と現在の迷いや焦燥が綱引きをしているようで、気分が良い日と気分が落ち込む日が交互にやってくるような按配です。カメラマンの力量によるお礼状は、そんな私の内面的な事情とは関係なく、スッキリとまとまっていて、鑑賞者の眼に耐えるものになっています。私にとって救いなのは、そうした人の手が入ることによって、作品が違って見える効果が期待できることかなぁと思っています。
    東京八重洲の「STEPS AHEAD」展
    昨日、東京八重洲にあるアーティゾン美術館で開催されている「STEPS AHEAD」展に行って来ました。ここは旧ブリジストン美術館で、学生時代から行き慣れた美術館だったのですが、建物を建て直し、美術館のコレクションも充実させて、多様なアートを発信する新たな美術館に生まれ変わっていました。石橋財団のコレクションはフランス印象派と日本の近代洋画が中心と思っていました。それがカンディンスキーやクレーのバウハウスや、デュシャンを初めとするニューヨーク・ダダ、瀧口修造による実験工房、戦後のニューペンティングなど、近代から現代に至る各時代の代表的な作品がコレクションに加わり、現代アートの潮流が分かる展示になっていました。会場を巡っているうちに印象に残る作品も数々ありましたが、会場入口にあった石の立体作品とそれに呼応する椅子が気になっていました。立体作品の作者は田中信太郎、椅子のデザイナーは倉俣史朗で、モダンなアーティゾン美術館の顔になっているように感じました。資料によると「田中が石材の裏に照明を入れて行燈のような薄明かりを感じさせる壁面にと、まったく新しい発想で提案したものであった。石材の決定後は、行燈のようなやわらかな光のイメージで壁面をつくり上げるため、照明設計や光を透過するほどの非常に薄い石のパネル製作、大きな壁面に組み上げるためのジョイントの機構などが検討されていった。」(田所夏子著)作家もデザイナーも故人になって完成を見なかったわけですが、美術館に誘う造形としては秀逸な空間を得ていると思いました。私が興味関心を寄せる彫刻作品もU・ボッチョーニ、O・ザッキン、W・デ・クーニング、D・スミス、C・ブランクーシ、A・コールダー、I・ノグチ、A・ジャコメッティが展示されていました。アーティゾン美術館では密度の濃い時間を過ごすことが出来ました。