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  • 週末 新作の具現化第一歩
    日曜日になり、いつものように美大受験生が2人工房にやって来ました。ウィークディを予備校で過ごしている高3の彼女は、今年は夏季休暇がなく受験体制に入っているようです。日曜日はその補充的な勉強をやっていて大変だなぁと思っています。台風の影響のためか雨が降ったりやんだりする一日で、湿度は相変わらず高めでした。台風の被害を心配しながら、今日は過ごしました。東京オリンピック最終日を迎え、FMラジオからはその中継が流れていました。筋書きのないドラマは人に感動を齎せ、競技会場から目を移すと新型コロナウイルス感染症が増え続けています。ひょっとしたら感染症との関係で微妙なオリンピックになり、そういう意味で歴史に刻まれるのかもしれません。今日、私は新作の12点目の陶彫制作をやっていました。新作では崩壊された場所に点在する立体のまとまりをイメージしていて、庭園に準えるならば、石庭に置かれた島々が私の頭にあります。一つの島は4個の個体が集合し、もう一つの島は8個の個体が集合してカタチを成しているのです。島はまだまだ新たに点在させるのですが、とりあえず2つの島が出来上がって、焼成前の乾燥を待っている状態なのです。次に行う段階としては、まず最初に作った4個の陶彫部品を窯に入れて完成させていこうと思っています。これは新作の具現化第一歩になるはずです。それと同時に崩壊された場所に関する具体的なイメージを固めていきたいと思っています。新作に向かう現在の気持ちが制作工程全体を通して一番快い時でもあると思います。来年に向けての意欲が漲る時でもあり、余裕のあるこの時期にさまざまなイメージが去来し、また取捨選択を楽しむ時期でもあるのです。
    週末 蒸し暑い工房で…
    週末になりました。今週の工房での制作状況を書いていきます。美術館に出かけた木曜日以外、今週は全て工房で過ごしましたが、真夏の蒸し暑い工房での過ごし方を考えていこうと思いました。工房には空調機器がなく、大型扇風機で暑さに対処しています。とくに午後の暑さは身体に応えるもので、夕方になって工房を後にしてから胃腸の具合が悪くなる始末なのです。以前の生活から比べれば、毎日工房に通っている今は制作工程が進んでいる状況なので、陶彫制作は午前中のみにして、昼から近隣のスポーツ施設で水泳をやって、そのまま自宅に帰るルーティンに変えようと思います。午後はRECORDの山積みされた下書きの制作に手をつけています。工房に行くと、あれもこれも目に入ってしまって、今までのように追い立てられるように作業をしてしまう癖がありますが、そこは余裕を持って日々のノルマを緩和していきたいと思います。現在、来年に向けた新作は11点の陶彫作品が乾燥棚にあって、もう1点追加すれば、ここでとりあえず窯入れを行いたいと考えています。窯入れ前の1点追加は明日陶彫成形を行う予定です。明日は美大受験生が来るかもしれず、ちょっと無理をして一日制作を考えています。そのためのタタラの準備を今日やりました。順調と言えば順調ですが、毎日工房に行く生活とはこういうものかと認識をしながら過ごしています。作品に対する思索も途切れることなく、煮詰めていくには好都合な状態です。ただし、以前の生活は作品との間に敢えて距離を置くことで見えてくるものもありました。週末毎に作品を客観的に眺めて、方向を確かめることをしていました。今は作品が近いので、近視眼的になりそうなところが危険かなぁと思っています。その対応として複数の作品を同時に進めてみようかとも思っています。いずれにせよ時間があるという贅沢を満喫できることは、自分の人生に感謝しかありません。
    Exhibitionに2021の画像をアップ
    私のホームページにExhibitionの頁があります。毎年、東京銀座のギャラリーせいほうで個展を企画していただいていますが、会期中に懇意にしているカメラマン2人が訪れて、会場風景を撮影しています。新作はまず図録用の撮影を工房内外で行って、その画像を案内状等さまざまなところで使っていきますが、ギャラリーに設置された作品は、このExhibitionの画像で全貌をすべて現していると思っています。ギャラリーでは作品の最終的な状況を、きちんと照明を当てて見せているのです。私に言わせれば、これは作品をステージに乗せ、よそいきの格好を纏わせていると考えていて、工房で見せる作品の素顔とはまるで違う雰囲気が感じられます。歌舞伎の演目で歌舞伎十八番のひとつである「暫」とも私は勝手に想定していて、「ハレ」の舞台でもあるのです。今回、2021年のExhibitionの画像を短いコメントとともにアップさせていただきました。この画像を見ていると、私が毎回ギャラリーせいほうで個展をさせていただいている理由が分かるのではないでしょうか。とにかく広く美しい空間がそこにあって、私の作品が映えるのです。私は泥臭い出土品のような造形をずっと作っていて、地を這うような「発掘シリーズ」は、その造形とは対照的な白い空間で見せると、原初的で縄文的なニュアンスがモダンで近未来的な空気感を纏ってくれるのです。Exhibitionの画像が作品の完成ゴールです。Exhibitionをご覧になるにはホームページの扉の右上にあるアイコンをクリックしていただけるとその頁に入れます。ご高覧いただけると幸いです。
    葉山・横須賀の美術館巡り
    酷暑が続いているため、今日は工房に行くのを止めました。陶彫制作が今なら中断できると判断し、今日は家内と神奈川県立近代美術館葉山館とカスヤの森現代美術館に行くことにしました。県立近代美術館葉山館は入場に予約が必要で、予めネットで予約を入れていました。開催されていた展覧会は「空間の中のフォルム」展と「若林奮 新収蔵作品」展で、いずれも彫刻作品が主体になるものでした。「空間の中のフォルム」展は、県立近代美術館が開館して70周年を記念する展覧会で、その間にコレクションされた彫刻作品を見渡すと、なかなか先端性のある話題作品ばかりだと気づきました。私は個人的には「虚実」と題された部屋が大好きで、向井良吉と毛利武士郎の作品を久しぶりに見て、その崩れかけた形態と秘めたる迫力に、自作の陶彫作品を頭の中で重ね合わせたりしました。D・ナッシュや砂澤ビッキ、最上壽之の木彫作品にも造形的な面白さを感じました。「若林奮 新収蔵作品」展の若林奮の独特な世界は、度々NOTE(ブログ)で取り上げてきましたが、「空間の中のフォルム」展と「若林奮 新収蔵作品」展は改めて別稿を起こしたいと考えています。次に向かったのが横須賀のカスヤの森現代美術館で、「等温帯Ⅱ」という4人のアーティストによるグループ展をやっていました。4人はいずれも評価が定まった現代アーティストたちで、「等温帯」というのは等温線から派生させた造語で、等しい温度を示す地帯という意味だそうです。数年前に「等温帯Ⅰ」があり、今回はその2回目に当たる展示だったようです。これも詳しい感想は後日に改めます。今日は現代彫刻を含めたアート作品ばかりを見てきました。日頃から工房に篭っていると、たまには外部からの刺激が欲しくなります。今日はそんな自己欲求を満たしてくれる展覧会だったと思っています。
    8月RECORDは「戯印に遊ぶ」
    RECORDは一日1点ずつポストカード大の平面作品を作っていく総称で、10年以上も続いています。一日1点完成するというのがなかなか厳しい課題で、このところは一日1点の下書きだけで終わっているため、今月からは完成を目指してやっているところです。同時に過去の作品も下書きに手を入れて、何とか完成させたいと思っています。RECORDは毎月テーマを決めて作っていて、5日間で展開する方法を取っています。5日間の展開というのは、私は長く二足の草鞋生活を送っていて、制作時間がなかったために編み出した方法でしたが、4月から創作活動一本になり、そろそろこの方法も見直していこうかなと思っています。それでも今年いっぱいは今まで通りの制作をしていくつもりでいます。さて、今月のテーマを「戯印に遊ぶ」にしました。戯印とは私の造語です。私は陶彫作品にその年に作成した印を押して制作年代を明らかにしています。印は氏名を彫っていますが、篆刻に限らず自由にデザインをしています。つまり戯言の印章です。文字は古代文字であれ現代文字であれ、意味があって初めて通用するもので、歴史的な内容の記録として保存されています。意味が分からなければ、単純に不可思議な文様であり、謎を孕んだ抽象世界とも言えます。パウル・クレーの絵画に登場する文様は、そんな抽象世界に鑑賞者を誘う記号なのかもしれません。意味を持つ持たないに関わらず、記号として美しいと感じられるのは造形美術以外にないのではないかと思うところです。未知の象形文字を見れば、学者はその意味の究明に努めたいと願うでしょう。美術的には刻印された部分とそうでない部分のバランスを見て、その構成の妙に感心するのです。8月のRECORDは戯印として抽象世界に遊び、その構成によって感覚を広げたいと考えています。