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  • 「序論・歴史的評価」について
    「ピエロ・デッラ・フランチェスカ」(アンリ・フォション著 原章二訳 白水社)の「序論」と「第1章 歴史的評価」のまとめを行います。本書を読み進んでいくと、美術作品の宝庫であるイタリアに関して、私自身が表面的で概観的な知識しか持っていないのに気づかされて、今まで西洋美術をしっかり学んでこなかったことを悔やむ結果になっています。現代美術を実践する上でも避けて通れないイタリアの偉大な歴史をもう一度振り返る機会のひとつにしたいと考えます。さて、画家ピエロ・デッラ・フランチェスカは生涯の資料が少なく、残された絵画作品でしか画家本人に迫れないことが分かりました。「序論」では次の文章を引用いたします。「ピエロ・デッラ・フランチェスカに対して、絵画の諸問題はどのように現われただろうか?それはむろん、相互に密接に結びついた形で出現したのである。それゆえ問題を分けて考えるのはむずかしい。とはいえ、まず最初に空間構成の問題があったことは疑えない。各時代の空間処理法は、それだけで精神史の重要な一章を成すと私は思う。ついで形体の秩序、つまり形体の比をいかに決定するかという問題があっただろう。そして造形、すなわち比の決定された形体を具体的にどう描くかという問題があり、最後に来るのが詩の問題、つまり形体からどのようなポエジーを生むかという問題であった。」次にピエロが再発見される経緯が「歴史的評価」にありました。「19世紀初頭にいたるまで、つまりスタンダールの『イタリア絵画史』が世に出るまで、ピエロはいわば知られざる画家としてとどまったのである。~略~ピエロの真の再発見、歴史的な再発見とはいわないにせよ、すくなくとも方法的に一貫した再発見は1864年のカヴァルカセッレとクローの共著『イタリア絵画史』をもってはじまる。この著作を契機として多くの学者がピエロ研究に従事し、古文書が渉猟され、作品の鑑定が始まったのである。」
    例年と異なる制作目標
    8月に入り、今月の制作目標を考えることにしました。今までは二足の草鞋生活があって、夏季休暇が取れる8月であっても、週末毎にしっかり制作を行っていて、新作の導入をどう進めていくのかを考えることをしてきましたが、彫刻一本になり、今までとは様子が変わりました。新作の陶彫部品が現在11点も乾燥を待つ状態になっていて、制作工程が早く進んでいます。例年なら最初の窯入れを11月ごろに設定していましたが、今月より窯入れをしていかないと、新作全体の先が見えないところまで来ているのです。窯入れは季節が変わり、肌寒くなる時を見計らって行っていました。焼成中は窯の周りが熱くなるので、真夏に窯入れをする発想はありませんでしたが、今となっては今月のどこかのタイミングで窯入れを行っていきたいと思っています。それに伴って陶土も少なくなっていて、例年なら年の暮れから正月あたりに栃木県益子の明智鉱業に依頼するところですが、これも今月か来月には注文しなければならない状況です。今後はこの制作工程が定番化する可能性があり、それぞれの月の制作目標が例年とは異なっていくのではないかと思っています。今月はRECORDに本腰を入れていこうと思います。余裕が生まれた分、RECORDの積りに積もった下書きをどんどん完成させていきたいと願っています。校長職を退職しても私はやるべきことが多くて幸せを感じることがあります。個展が終わった今は漸くその実感を味わっているところです。自分のやりたいことをやりたいように出来る毎日に新鮮さを感じることは有難いことだなぁと思っています。
    週末 8月に入り…
    今日から8月に入りました。週末なので、いつものように美大受験生2人が朝から工房に来ていました。今日も酷暑で工房はじっとしていても汗が溢れ出る状況だったので、水分補給をしながら制作を進めました。昼はコンビニ弁当ではなく、美大受験生と一緒に近くのファミリーレストランに行って、エアコンの効いた室内で昼食をとりました。私は11点目になる新作の陶彫成形を行っていました。陶彫制作は自分の都合というより、陶土の乾燥具合によって制作を進めるもので、自分が具合が悪くなってもやらざるを得ないところがあります。そこが長所でもあり、短所です。今までなら8月は夏季休暇があって、どこかへ出かける気分になり、いろいろな意味で解放される1ヶ月でしたが、退職した今は8月のもつ特別な気分はなくなりました。おまけに新型コロナウイルス感染拡大で神奈川県にも緊急事態宣言が出されることになり、8月と言えどもいつも通りの制作三昧になるのか、ちょっとガッカリしているところです。先月個展が終わったので、創作活動で言えば8月が来年に向けての出発となり、一番余裕が持てるのは今月になるのです。校長職にいた昨年までは、この8月に夏季休暇をしっかりとって、心機一転を図る狙いもあったのですが、増え続ける感染症もあり、また仕事も退職をしているため、何十年も続いてきた心機一転のあり方を、今年から変えていかざるを得ないと思っています。今月の制作目標は日を改めて書いていこうと思いますが、一日1点ずつ作っているRECORDを今月は何とかしなければならないと思います。読書は継続して知識の蓄積に励もうと決めています。今月は美術館や博物館、映画館に行けるかなぁと淡い期待を持っているところです。
    7月最後の週末に…
    7月の最終日になりました。7月最後の週末に今週1週間の制作の進捗状況と、今月全体を通した振り返りを述べていきたいと思います。まず進捗状況ですが、来年に向けた新作は乾燥を待っている状態の陶彫部品が8点、さらに2点の成形が終わっています。今週も毎日工房に通い、乾燥棚に置いてある作品数点と成形2点を終わらせました。工房は蒸し暑く、常に汗が滴り落ちる環境ですが、まさに昔から続けてきた夏の制作そのものです。ただし、加齢のせいか、工房を引き上げた後で身体疲労に見舞われ、自由人になった今こそ、もう少し緩やかな制作でもいいかなぁと考えています。今月の振り返りでは、恒例になった東京銀座での個展があり、それを中心に全てのスケジュールが回っていた感じが否めません。というか、年間を通して7月個展のために制作工程を組んでいたと言っても過言ではなく、作品は完成していても梱包用木箱の製作と収納、併行して来年に向けた新作の制作が今月の全てでした。工房から帰ってRECORD制作に取り掛かるのが厳しくて、結局RECORDは下書きが先行する始末でした。これでは校長職にいた時と変わらない状況で、これを来月から何とかしなくてはならないと痛感しています。鑑賞では知人や友人が出品していた展覧会やグループ展に出かけましたが、大きな企画展には行けませんでした。緊急事態宣言下ですが、感染防止に努めて、来月は美術館等に出かけたいと思っています。映画では「HOKUSAI」(シネマ・ジャック&ベティ)と「ゴジラvsコング」(TOHOシネマ鴨居)に行って来ました。娯楽映画2本を楽しみながら観てきて、日頃の鬱蒼とした気持ちが晴れました。読書ではゴーギャンの書籍を読み終えて、今はイタリアの古い宗教画家の書籍を読み始めたところです。今月は個展があったおかげで充実していました。来月も緩やかに頑張りたいと思っています。
    個展に寄せられた2通の手紙
    私の個展が終わり、ホッとしていたところに、励ましの手紙を2通受け取りました。今回の個展に関して開催期間中ずっと私はギャラリーに詰めていて、知人・友人として来廊してくださった方々には声をかけさせていただきました。その折に話をさせていただきましたが、さらに作品に対する感想を手紙にして、封書に入れて送ってくださった方々がおりました。口頭で話したことより、吟味された内容になっていたので紹介したいと思います。まずは横浜で文筆家として活動されている90歳代になられた恩師からの手紙です。「『構築~視座~』でしたか、『かるみ』ということばを伺い、納得しました。従来のひたむきな『発掘』にはげむ一時、視点を変えると天空の美しさに気がつかれたのでしょう。~略~芭蕉の俳句に接するには十五~六のキーワードがあります。『わび』『さび』に始まり、晩年は盛んに『かるみ』に言及しています。『奥の細道』の旅を終えて、『不易流行』『風雅の誠』に理解を深め、この『かるみ』へと発展していきます。」私にまだその自覚がはっきり芽生えているとは言えませんが、作品を中空に留めてみたいと考えたのは事実です。私の「発掘シリーズ」は重力の産物で、大地に埋め込まれた存在を表すものです。そこからの解放は次へ繋がるテーマかもしれません。次に横浜に事務所を構える女性税理士からの手紙です。この人とは庭園に話が及びました。「私が見た庭は東福寺の八相の庭と松尾大社の曲水の宴・上古の庭・蓬莱の庭でした。それから東福寺のすぐそばの光明院の波心庭も重森三玲作でした。」彫刻作品を前にこんな庭の話で盛り上がるのは、私の世界観に多少庭園的なニュアンスが宿っているからと考えてもいいのかもしれません。それはそれで嬉しい発想だろうと思います。庭園的な発想は今後も続きます。今回は様々な人がギャラリーを訪ねてこられて、その人なりの作品解釈を聞かせていただきました。有難うございました。