2022.03.04 Friday
新型コロナウイルス感染症の3回目の接種券が届いたので、1・2回目と同じ自衛隊東京大規模接種センターに予約を入れ、今日ワクチンの接種に行ってきました。前回は家内と別々の日程にして出かけたのですが、副反応の様子がわかったので、今日は家内と一緒に出かけました。以前は接種当日より寧ろ翌日に副反応があったので、今日のところは東京駅近くの美術館へ鑑賞にも出かけても大丈夫と判断しました。自衛隊東京大規模接種センターは3回目なので、流れをよく理解していました。東京駅丸の内から送迎バスに乗って、会場に到着するとすぐに受付に案内され、そのままあっという間に接種場所に通されました。12時の予約でしたが、終わったのは12時20分。拍子抜けするほど簡単でスピーディーでもありました。東京駅で昼食を取ってから、駅に隣接している三菱一号館美術館で開催している「上野リチ展」を見てきました。上野リチは本名をフェリーツェ・リックスといい、リチというのは愛称です。1893年にウィーンに生まれて、ウィーン工芸学校で学び、同校を卒業後はウィーン工房でテキスタイルを中心としたデザイナーとして働いていました。ウィーンの建築事務所に勤務していた建築家上野伊三郎と知り合い、結婚に至ります。夫妻はその後、京都に住んで、リチは京都とウイーンを往来することになり、まさに洋の東西の橋渡しをデザインを通して行う位置に置かれたのでした。私は20代の頃にウィーンにいましたが、その頃上野リチのことは全く知りませんでした。工芸学校(現在のウィーン応用芸術大学)は環状道路(リング)に面して応用芸術博物館の隣にありました。私たちの間ではクリムトが学んだ学校として知られていました。ウィーン工房は19世紀の折衷的歴史主義を克服し、20世紀に相応しい新たな美学の創造を目指していました。私の捉えとしては、ドイツのバウハウスより一時代前の革新的なデザインを担った集団ではないかと思っています。当時の建築家オットー・ワーグナーの仕事も含めて、ウィーン工房は心地よい象徴的な形態を持つスタイルだなぁと私は感じていて、20代の頃なけなしのお金を出して、ウィーン工房に関する書籍を何冊か手に入れました。今ではドイツ語で書かれた原書を読むことは出来ませんが、同美術館のアートショップでウィーン工房に関する書籍を見つけました。いずれこれを読んでいこうと思います。「上野リチ展」の詳しい感想は別の機会に改めます。
2022.03.03 Thursday
今夏、東京銀座の個展で発表する中規模作品の題名を「発掘~灰壁~」にしました。「発掘~灰壁~」は2009年に発表した「発掘~赤壁~」に続くもので、立体の形態としては同じものです。直方体を横長に立てて、上部に陶彫部品置いて、それを複数個連結させます。NOTE(ブログ)のアーカイブから長い引用をいたします。「新作陶彫の土台に砂マチエールを貼りつけて、ようやく油絵の具で砂に色彩を施すところまできました。土台は直方体を立てたような形態で、それを崖に見立てて、その上に陶彫を置き、ちょうど街が連なるようなイメージにしました。崖の壁の部分は厚板を彫ってレリーフ状にしたものです。砂が貼ってあるので木目は消えています。崩れかけた壁といった最初のイメージに従い、色彩をばら撒いてシミのような斑点を作りました。何度も色彩を重ねて重厚さを出しました。それは彫刻的な作業ではなく、絵画的な要素をもった作業でした。」これは2009年の「発掘~赤壁~」制作時に記されたもので、当時この作品は連作になるだろうと書いています。あれから13年も経ってしまいましたが、漸く次の連作が出来上がってきたと言えます。崖の上に街が連なるイメージがまだ自分の中で眠っていたことが不思議ですが、壁には格子状の文様が彫り込まれ、その文様を陶彫部品にも施しています。この文様は大規模作品にもあって、今回の個展のコンセプトが以前の作品とは少しばかり異なっていると自分は考えています。個展に展示する2点の作品に共通する文様を施すのは、私にとって新しい試みで、この2点でひとつの世界観を表すように考えたのです。作品は一つひとつが独立したものですが、作者の中では鎖のように繋がっていて、その展開の中から新作が生まれてくるものではないかと私なりに思っています。
2022.03.02 Wednesday
「九州の民俗仮面」(高見剛 写真・高見乾司 文 鉱脈社)を読み始めました。本書をどこで手に入れたものか記憶がありません。昔、九州を旅していた頃に湯布院にあった旧・由布院空想の森美術館を訪れて、壁面に掛けられた多くの土俗的な仮面に感銘を受けたことがあり、そこで購入したものか、それとも東京の日本民藝館で「九州の民俗仮面展」を見に行った時に購入したものか忘れてしまいましたが、私の家の書棚に長く眠っていました。先日まで読んでいた「仮面ーそのパワーとメッセージ」(佐原真監修 勝又洋子編 里文出版)の関連で、今回は本書を手に取りました。もともと私は仮面好きで、とりわけ九州の高千穂に行ったときに夜神楽を見て、仮面が生き生きとして活躍している様子を拝見しました。夜神楽とは何か、これを調べてみると、里ごとに氏神(うじがみ)様を神楽宿と呼ばれる民家や公民館にお招きし、 夜を徹して三十三番の神楽を一晩かけて奉納する、昔からの神事ということが記されていました。九州にはさまざまな仮面が残されていて、日本の伝承文化の一端を知ることが出来ます。本書のはじめに高見乾司氏のこんな文章がありました。「九州は、民間に分布する神楽面や、呪術や祈祷などの民間祭祀に使われた種々の信仰仮面などが数多く分布し、さまざまな芸能や民間信仰、神話・伝説などと混交しながら伝承される、いわゆる『民俗仮面』の宝庫であり、『仮面文化の十字路』と形容される。~略~『民俗仮面』は、庶民の生活、信仰とともに生まれ、伝えられてきたものである。そしてそれは様式化されることなく、多種多様の相貌をみせる。縄文時代の土面文化とどこかでつながっているのではないかと思わせるものさえ存在する。民俗仮面の多くは、村や神社、家などに『神』として伝承される例が多いことも古型を保ち続けてきた重要な要素である。世界の仮面文化を俯瞰すると、仮面は悪霊が宿ると考えられ、祭りや祈祷・呪術などに使用された後は火で浄化され(つまり焼却され)たり、再生儀礼として塗り直されたりするため、残存する例がきわめて少ない。村の神や神楽に登場する神々、家の守り神などとして伝えられてきた日本の民俗仮面は、貴重な資料であり文化遺産であるということができる。」
2022.03.01 Tuesday
3月になりました。NOTE(ブログ)に「人生の岐路に立った昨年の3月に…」というタイトルをつけました。「今月は公務員管理職としての職務整理をきっちりしていかなければなりません。35年前に海外から帰国したばかりの放浪癖のある若者を雇ってくれた横浜市に感謝を込めて、しっかりと次の方に引き継ぎをしていきます。二足の草鞋生活をしていくために、それが職務に影響してはいけないと、私は仕事を人一倍やってきたつもりです。負い目をバネに仕事に励んできましたが、その原動力を来月から根本的に見直さなければならない時期にやってきたと自覚しています。今月は錯綜する思いを整理して、次のステップに備えたいと思います。」長い引用になりましたが、昨年の3月1日に私が書いたNOTE(ブログ)です。私は某公立中学校の校長職にあって、この1ヶ月で職務を全うしたいという願いを込めて、こんな文章を残していました。あれから1年が経ち、校長の重責から解放された私は、自分が理想した通りの創作活動一本の生活になりましたが、人生の岐路は私に何を齎せたのか、もう一度立ち戻って考えてみたいと思います。確かに創作活動一本の生活は私にとって豊かな情緒を与えてくれています。作品の世界がさらに身近になり、作品と共に私は呼吸し、寄り添い、また息づかいがあるように思えます。二足の草鞋生活は、やはり多忙化が齎すデメリットがあったと今更気づきました。ただし、気持ちを追い込むことで得られる切迫した緊張感が作品に魂を与えていたこともあり、これはメリットだったのかもしれません。余裕を持ってやり遂げられたことがなかった昨年までの制作が、現在では信じ難い感想として定着していますが、危うい綱渡りをすることで妙な自信がついたことも確かです。時間があり余るほどあると、作品が緩慢なものになってしまうのではないかという怖れもあります。果たしてどうなっていくのか、今後の私の制作に対する姿勢にもよるものだろうと思います。もう一度気持ちを引き締めて今月を乗り切っていこうと思っています。
2022.02.28 Monday
2月の最終日になりました。工房の周囲は暖かくなってきて、窓辺にある梅の古木に花が咲きました。まだ蕾が綻ぶ程度のことですが、春がやってきた実感があります。周囲は暖かくなっても、工房内はまだ寒くストーブを焚いています。それでも晴天が続いている横浜では、空気も柔らかくなり、気持ちも明るくなります。今日も午前中は工房で過ごし、新作の木材加工をやっていました。昼ごろに近隣のスポーツ施設に出かけ、水泳をやってから、午後は建材店に追加の厚板材購入に出かけました。建材店の軽トラックをレンタルして工房まで6枚の厚板材を運びましたが、まだ不足しています。どのくらい足りないのかは制作しながら考えていくつもりです。今月は来年発表予定のRECORD立体版を作りながら、今夏発表する大規模作品の土台作りに着手しました。2月は28日間あって、そのうち26日間を工房に通いました。窯入れをした翌日は工房に行かなかったので、制作としてはほぼ全日程を費やしたことになります。実家の解体工事が始まって、実家を支えてきた大黒柱を工房に運びました。これは大変な存在感のある柱で、古くなり黒ずんだ大黒柱をどのようにしていくか、今後の検討にしていきます。実家を解体した後、集合住宅を建てる計画があり、銀行の融資を受けることになりました。借金をしなければ新しい事業は出来ません。さらに亡母から私に相続された不動産があり、その処理に長年付き合いのある税理士2人にお願いしました。彼らは個展にも来ていただいていて、しかも美術に興味があって私としては嬉しい限りです。RECORD平面版は立体版との関連でやっています。ちょっと平面版は遅れ気味になっています。鑑賞では新型コロナウイルス感染拡大が高止まりしていることもあって、東京に行くことに躊躇してしまい、結局横浜にある映画館に行っただけになりました。「ウエスト・サイド・ストーリー」(TOHOシネマズ鴨居)は面白いリメイク・ミュージカルでした。読書では仮面に纏わる書籍を読んでいました。来月も仮面に関する書籍を取り上げてみようと思っています。